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『高校で戦争したらどの部活が最強か』考えてみるの回その5。
前回で物語が少し進行しましたので、ここからはネタバレを含みます。
読んでいない方は前回以前を先に読んでください。
544th以降の偶数回が
『どの部活が最強か考える回』です。
【ルール確認】
・生徒974人vs生徒会+各クラブ部長の26(6+20)人
・制限時間無し(どちらかが全滅するまで)
・戦場はぽよちゃか高校敷地内全域
・教師及び公務員は敷地外で見張り。逃亡しようとする生徒を射殺する
・生徒にはナイフ、ハンドガン、グレネードのいずれかを1つ、『所属クラブに対応した』武器1つの計2点が与えられる。
なお、武器を交換、譲渡、強奪することは認められている。
・各部長にはナイフ、ハンドガン、グレネードの3点すべてと、生徒のものよりも強化されたクラブ別武器が与えられている
【『生徒会側』メンバー】
※○→生存者、×→死亡
・クラブ部長
○野球部
○サッカー部
○バスケットボール部
○アメリカンフットボール部
○テニス部
○バドミントン部
○バレーボール部
○ハンドボール部
○卓球部
○剣道部
○薙刀部
○水泳部
○陸上部
○軽音楽部
○吹奏楽部
○ダンス部
×料理研究会
○理科研究会
○マンガイラスト研究会
○放送部
・生徒会
○生徒会会長
○体育委員会委員長
○文化委員会委員長
○保健委員会委員長
○経理委員会委員長
○書記(ナンバーシックス)
★★★★★★★★★★
【芸術棟2階 図書室】
「うへぇ…………キモッ」
ったく、まさか自分の好きなテニスで人を殺す日が来るとは夢にも思わなかったぜ……まぁ人を殺すためにやってるんじゃないんだから、当然と言えば当然なんだけど。
テニス部長であるこの俺、越前(えちぜん)に与えられたクラブ別兵器は『超酸性爆弾(アシッドボム)』。
コイツをラケットで打って何かにぶつけてると破裂して中の液体一一一『王水』が飛び出す。
ちなみにこの『王水』、ほぼすべての金属を融解することが可能だ。
そんなものがヤワな人の肌に直接触れたらどうなるか?
———皮膚がただれ、ひどいヤツは骨が剥き出しのゾンビみたいな人間になるのさ。
「全員殺ったか?」
俺は隣でピコピコ機械もいじっている放送部部長、木村(きむら)に尋ねる。
彼の武器は『レーダー』。
生徒や生徒会側全員の居場所がわかる装置だ。
俺たちが図書室を襲撃したのは、そこにたくさんの生徒がいたから。
入り口のドアを盾にして、まずはグレネードを投げ込む。
爆発に驚いて姿を現したヤツに超酸性爆弾をぶつける。
木村がいるおかげで本棚の裏に隠れていようがこちらからは筒抜けだから無駄なんだよね、本棚ごと溶かせばいいだけの話だし。
「…………3人飛び降りた」
木村が図書室の奥を指差した。
「…………いや、なんにもないじゃん?」
「隠し部屋がある」
「そんなもんどこにあるんだ…………って本当だ」
俺は木村が夢中になって触っているレーダーを覗き込む。
それによると確かに隠し部屋はあるようだ……しかしこんな部屋の存在初めて知ったぞ?
何のためにあるんだろう?
「それで?その3人はどこに行ったんだ?……っと、」
俺は立ち上がりこちらに銃を向けた生徒にサーブを打ち込んだ。
「「ヴッ…………!」」
俺の打球は生徒の顔面にクリーンヒット、王水が顔面の腐蝕を始める。
俺、グロいものの耐性ないんだってば…………!
バシャ
え?
…………グロ耐性の無いことは木村も同じなようで、コイツ、吐きやがった!!!
目の前の頭部が骸骨になった野郎や木村の吐瀉物のニオイのせいで、俺の口にも何か酸っぱいもんがこみ上げてきたぁ……!
「木村、ここから出るぞ!」
「……お、おぅ」
俺は木村の背中をさすりながら図書室を後にした。
アイツらの処理は野玉とか好戦的な奴に任せよう。
全員瀕死だぜ、美味しいところ食い放題だぜ……!
【食堂前】
坂本龍太郎です。
俺たちは無事隠し部屋から脱出できました。
どうやって逃げたのかって?
「龍太郎、まさかお前が窓から飛び降りるなんて言うと思わなかったぜ。
気ィ狂ったか?」
「戦おうとしたお前に言われたくねぇよ。
とりあえず安全なところに移動しよう」
———そう、窓から飛び降りたんだ。
2階なので高さは4メートル程、死ぬことはないし。
下手すりゃ足を捻挫するけど、な。
「安全な場所などもうどこにも存在しない。
この殺し合いに参加している以上、これからは敵との接触は免れられないだろう」
あれ、神林さんもついてきたんだ。
「———なんだその目は、坂本」
「いえ、別になにも…………」
「戦う、ねぇ。
先輩はこれからどちらへ?」
「神木、そのことについてなんだが———
君たちと行動を共にしてはダメかな?」
神林さん、体が直角になるまで頭を下げた。
「龍太郎、お前が決めろよ」
えっ、なんでこのタイミングで俺に判断を委ねんだよ。
「…………まぁ強そうだしいいんじゃない?
逃げ腰ってわけでもないだろ、男にだって刀をむけられるんだし」
「そか。…………神林さん」
神木の声で、神林さんは折り曲げた体を元に戻す。
「ついてきてもいいですけど、自分の命は自分で守ってくださいね。
少なくとも俺はあなたを守らない。俺が殺られたとしても助けなくていい。
人間の命はみな一つ、誰かの命を守るには数が足りなさすぎるでしょ?」
「———確かにそうかもしれない。だが、背中くらいなら守れるのではないか?」
「……………………」
神木は黙り込み、フリーズしてしまった。
「いや、私ではなく、坂本のことだぞ?どっちにしろお願いする私が言える台詞ではないが。
よろしく頼む、私も先輩の名に恥じぬように戦う」
———こうしてぽよちゃか屈指の美男美女2名を含むトリオが結成された。
しかし、気になることが一つある。
「神林さん、何故一人で行動していたんですか?」
「…………私のクラスに『部長』がいるんだが、全員で協力して殺そう、という話になってな。
嫌気が指してな、私は教室を飛び出して、書庫の隠し部屋に隠れたんだ」
そんな、なんで…………そういえば、2年4組はどうなったんだ?みんな生きてるのか?
「龍太郎に神林さん、お話のとこ悪りぃが敵さんの登場だぜ」
え?
「コイツらか、飛び降りたヤツらってのは……ってあれ?お前、神林?なぁに後輩に守ってもらってんの?」
芸術棟の出入り口から男が二人現れた。
ようやく神木が口を開いたと思ったら、それは殺し合い開始のゴングだったようだ。
一人はラケット、もう一人は機械———レーダー的のようなものを手にしている。
「守られてなんかいないぞ、越前。偶然出会い、それから共に行動しているだけだ」
いや、あの時俺が声をかけていなかったら———でも二人か、だったら神林さんと神木でいけたのかもしれないな。
「ふぅ—ん。
まぁ後輩二人もイケメンだし、いいトリオなんじゃない?
さて、御託はこのくらいにして、
殺し合いを始めよう」
ラケットの男、越前の言葉を聞いて、神林さんは鞘から剣を、神木はポケットからナイフを取り出した。
"俺は守らねぇし、神林さんも俺を助けなくていい"
神木はそう言い、神林さんはそれを承諾した。
それは俺も同じ。
『攻撃は最大の防御』———サッカーでよく言われる言葉だ。
それと同じで、逃げずに部長を殺す、それがこの殺人ゲームで生き残るための最善の術なのかもしれないな。
ポケットから銃を取り出す。
不思議なことに、銃を持つ手は震えていない。
【北棟2階 連絡通路】
ぽよちゃか高校は敷地面積が狭いため、プールは地下に存在する。いわゆる『室内プール』ってヤツだ。
そのため天気に関係なく水泳の授業が行われるため、水泳が苦手な人にとっては悪魔の施設と言えよう。
で、アメフト部部長である俺、海藤は何故プールにむかっているのかと言うと、
「海藤先輩、ヘルメット貸してください」
「いやお前、これがぶりながら潜れねぇからだろ」
———水泳部部長の鎧塚(よろいづか)を見送るため。
彼の武器は『携帯型水圧切断機(ウォーターカッター)』。
水を圧縮して発射し、高い水圧で物を切断する機械だ。
会長曰わく『金属も切断することも可能、人肉なんざ容易い』そうだ。
ただし『携帯型』なので発射時間が短いのが弱点。
だがプールの水を利用すれば?
半永久的にウォーターカッターを連続して使用することが可能だ。
それに気づいた鎧塚は俺にプールについてくるようお願いし、俺はそれを快く受け入れ、今こうして連絡通路を仲良く歩いているのさ。
「しっかし誰もいなですね」
「当たり前だろ。
北棟には生徒会側の拠点『生徒会室』があるんだ。
そこにのこのこ近づく自殺志願者はいねぇだろ、いやいるわ、ここに」
ちなみに鎧塚、何を思ったか海パン一丁です。彼曰わく、『着替えている間に殺されたくない』そうだ。
連絡通路を渡り終え、階段を降りる。
2階は体育館、1階は部室———ダンス部や軽音楽部の使う部屋がズラリと並んでいる。
ちなみに運動部の部室は別棟の西にある。
「うわっ」
鎧塚が悲鳴を上げる……も無理はない、首から下がない顔が何十個も転がっていたから。
うん、こりゃスプラッター映画よりも過激だわ、だって本物だし、リアルだわ。
「海藤先輩、生徒にやる気ある方はいらっしゃるの?」
1階の出入りするドアにもたれかかっていた女が口を開く。
彼女は石川。剣道部部長だ。
1年生のときから団体戦では先鋒として大活躍していて、去年大将を務めたエース、神林よりも注目されているらしい。
「…………800人くらいはないんじゃない?
残りのそこそこ強い100人がやる気があって、そいつらを殺すのが大変なんじゃない?」
「そうですか。ときに鎧塚クン、アナタほど破廉恥で無防備な方は、生徒に一人もいませんでしたわよ?」
「う、うるさい!
今からプールに行くんだよ!」
「『女にうるさいっ!』は嫌われますわよ?」
「……………………」
黙り込んで頬を赤くする鎧塚。
なにニヤケてんだよ……その裸体にタックルしてやろうか?
「生徒は全員殺しましたわ。
プールに誰一人いませんよ」
「そ、そうか、わかった。
石川、海藤先輩、ありがとうございます」
鎧塚は頭をぺこりと下げると、地下へと続く階段を下りて行った。
残ったのは俺と石川、大量の死体。
「海藤先輩、次は何処へ?」
石川が俺の腕に抱きついた。
そしていたずらな笑みを浮かべる。
…………なるほどな、鎧塚がニヤニヤするわけだ。
「隠れてるヤツを探していこうかなぁ—、なんて思ってるんだ「それはいいですわね!
私もお供させていただきますわ!」
「…………どうぞ御自由に」
いや、このシチュエーションは決して悪いもんではない。
ただ、
石川の顔が返り血で汚れてなければいいことこの上なかったんだがな。
「———中庭とか人隠れてそうじゃない?」
「弱い人間を斬るのは飽きましたわ」
「お楽しみは最後までとっておくもんだろ?」
【to be continued……】
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