仕事はいよいよ佳境に入り
イギリスからNYへ
大学の時、同級生でその人物を表現するには
言葉の足りない程の天才がいて
彼は何を考えているものか
休み時間など
校庭を夢遊病者の様にふらふらと歩き、
その姿と言ったら
着古した穴のあくTシャツとコットンパンツで
すれ違いざまちらっと目線を合わせると
小さく手を振り
「じゃねー」
と訳の分からぬ言葉をかける
いつも唖然として後ろ姿を眺めてしまい
「あの頭脳があったらなぁー」
と思ったものだ
なんとその彼と、
来ているニューヨーク
Fifth Ave Bergdorf Goodmanで
ばったり鉢合わせた
私は買わねばならぬ物があり、
急ぎ足で売り場へ突進するところを
「うわぁー懐かしいじゃないか」
と両肩をむずんとつかまれいきなりHug
「うーっと!」
叫び声を上げるところだった
驚愕する私をまじまじと眺め
「同級生のMatthewだよ」
と言う
まさにこれぞMatthewと思えるのは顔の造作と
変わらぬ際立った知性を感じさせる青い目だ
「うわぁー!」
と双方が驚愕
それよりも何よりも驚いた彼の今の職業
かの有名ファッションブランドの
統括マネジャーと言う
あの穴あきTシャツと私は思わず言い
2人で大笑いした
とにかくコネチカットの家へ絶対来てくれと譲らず
「明日、朝から行くわ」
と約束させられた
