苦しそうでもそばにいる! | 看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

どうか大切な人の最期を穏やかに看取れますように
どうかあなたが最期まで、笑って楽しく生きられますように
最期まで笑って楽しく過ごせる生き方をサポートしたいと奮闘中。


死が近づくと、眠っている時間が増えていきます。
意識も次第に低下し、呼びかけても反応が乏しくもなっていきます。


当然、口からものを食べたり飲んだりが難しくなりますが、その結果として起こる終末期中後期(余命週単位~日単位)の脱水の状態は、脳内麻薬であるβ―エンドルフィンやケトン体を増加させ、本人に鎮静効果をもたらすとも言われています。

実際病棟で見る終末期の方のお顔は、意識が低下していて穏やかな表情をされていることが多いです。


もっとも苦しそうなのは、やはり最後の24時間前後のようです。

その時期を過ぎて、余命数時間になるとまた穏やかな表情をみせます。



『大切な人を看取る作法』(大和書房 2014)の著者大津秀一先生は、苦痛の印となる明らかな症状は、「苦顔(くがん)」と「多い体動(たいどう)」の2つだと言っています。


「苦顔」とは、眉間にしわを寄せて苦しそうな表情をすることです。
常に苦顔であると苦しさも強いと判断でき、体を動かしたり何かケアをすることで苦顔になるものはその行為を苦しいと感じていると判断できます。


「多い体動」とは、身の置き所がないために、身体をあちこちへと動かして少しでもなくにしようとすることです。
やはり常に身体を動かしていると苦しさも強いと判断できます。



常に続くような苦顔もしくは多い体動、あるいは双方がみられる場合は、鎮静薬をもちいてうとうと眠っていただくことで苦痛を取り除く処置が中心になります。
それ以外にも身体をさすったり、軽くマッサージをしたり、足や身体と位置を動かして楽な姿勢をとらせたり、本人がラクと思えるケアをしていきましょう。


苦しそうな大切な人を前に、ずっと居続けることは難しいと思います。
でも、どんなに苦しそうでも傍にいることはとても重要なことです。

そばにいても何もできないのはツラいことですが、そのような時間はもう長くはありません。

死にゆく人の多くが通る道であり、家族や私たちケアをするものもいずれ通る道です。


しっかり最後に苦しむ数日をそばで声をかけたり、身体をさすったりして支え続けてほしいと思います。