温かい気持ちー看取りの準備 | 看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

どうか大切な人の最期を穏やかに看取れますように
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2日前・・・・・
モニターのアラーム音がなり響きました。

訪室すると患者さんは真っ青な顔をしていました。
いまにも止まりそうなほど弱弱しい呼吸。
モニターの心拍数は20~30回

家族を電話で呼びました。

実はこの患者さん
すでに終末期と言われ余命数日と伝えられていました。
ちょうど家族が面会にきて、帰ったあとでした。

私は手を握り
「家族に連絡したからもうすぐ来ますよ」
と伝えました。

すると患者さんの心拍数は60~70回まで上昇しました。

ああ、もう一度家族に会いたいんだな・・・・・
私はそう思いました。

時間は18時を回っていました。
日勤者は帰る時間。
夜勤者は私を含め3人しかいません。

私は夜勤者に言いました。
「○○さんについていたいです」

すると夜勤者の2人は
「他のことは任せて」
「だから○○さんをよろしく」

快く忙しい時間帯に患者さんについていていいことを承諾してくれました。

家族が来たらすぐに駆け寄れるように、ベッドサイドの柵を外し、両サイドに椅子を並べました。
私は患者さんの顔をタオルで拭きました。
手も汗でべとべとしていたのでタオルで拭きました。
患者さんの着ていた浴衣や寝具を整えました。

家族に患者さんの最後に生きてるきれいな姿をみせてあげたかったから・・・
温かい手のぬくもりを感じて欲しかったから・・・

私はベッドサイドの椅子に腰かけ
患者30分くらい患者さんの手を握っていました。

患者さんの心拍数はどんどん下がっていくのに、私の心拍数はどんどん上がっていきます。
血色のあったピンク色の唇は、みるみる青くなっていきました。
温かかった手はだんだん冷たくなっていきました。

患者さんの呼吸も心拍も止まりました。
モニターのアラームが鳴り響きます。
モニターの電源を私は切りました。
そしてずっと患者さんの手を握り、反対の手で腕をさすっていました。

家族に大事にされていた患者さん
すごくきれいな顔をしていました。
家族は毎日面会にきていました。
きっと家族に心配をかけたくなくて、あえて家族がいない時間に旅立ったのかもしれません。

家族がやってきました。
私は席を譲りました。
両サイドから家族は患者さんの顔をさすり手を握りました。

そして医師の死亡確認をみんなでしました。

家族は
「こんなによくしていただいてありがたかった」
そう告げられ患者さんと共に帰っていきました。

患者さんの最後の顔、笑っているように思えました。
家族も涙を流していましたが、ありがとうと言いながら笑っていました。

とても温かい看取りができたと思いました。