子供が23歳の時、ドアに指を挟んだ。

扉ではなく蝶番のある方の壁に付いている部分。

そこを道に見立てて、トミカを走らせていた。

そこに元夫が帰って来て思い切り開けた。

火がついたように大泣きして、小さな指が

裂けていた。少し変形して見えた。

私は家事をしていたので、瞬間は見ていない。

骨まで行っていたらどうしよう。

直ぐに病院へ行く用意をした。


「そんな所で遊んでる方が悪いだろ!!」


取り乱した元夫を無視して、ちょうど来ていた

母と病院へ行く用意をしていた。

指は真っ直ぐしてとりあえず包帯のような物で

固めた。

普段穏やかな母が元夫に静かに言った。

「こんな小さい子供はわからないのよ、、」

元夫は慌てて用意をして玄関を降りた。

自分が運転すると言う。

そうなると私の方が冷静だ。

「私が運転するのでいい」

それを振り切って運転席についた。

「何処行けばいい?」てめぇも考えろ。

とりあえず近くの病院を指定して車が走り

出したが、怒りがフツフツと湧いてきた。

子供の肩を抱いて後部座席に居た私は

信号待ちの瞬間に運転席の後側を蹴った。

元夫の背中部分だ。

何度も蹴った「この子の指無くなったらあんたのをちょうだいよ!同じことしてやるから!!」

何度も蹴っているうちに元夫は泣きながら

謝り始めた。

「ごめんね、ごめん、ごめんなさい」

「私じゃない!子供に謝れ!!」

子供の名前を呼びながら「ごめん」を繰り返す。


幸い、骨は大丈夫だった。

何針か縫って固定した。

少し傷が残るだろうが、成長でわかりにくく

なるとは思う、と言われた。

刃物で切った物ではなく、歪な線だったので

少し残ってしまうと言う。


元夫は愛情を受けて育っていないと思う。

悪い人ではないのはわかっている。

事故は仕方ない。でも、1番先に

「オレのせいではない」を主張してくる。

処置が先なのに。いつもそうだ、「オレじゃない」

何故そんなに自分を正当化したいのだろう。

自己防衛の気持ちが強いのだろう。

誰かに責められて育ったのか?


まだ私も若かった。

可哀想だな、と思った。

少しずつでも変わって行ってくれれば、と

私の力でなんとか変えてみよう、と思っていた。

自分から変わらないと、人なんて変えられない。

そう思おうと頑張っていた。

元夫には私達しか居なかった。


でも、私も自分自身を変えられない事に

まだ気づいてないだけだった。

人なんて変わらない。