俺はかつて、電話口によるセールスで家にADSL回線を引きながら数年間インターネットをしていなかった。回線の無駄使いだ。
やらなかった理由は、俺に生きる気力が乏しかった事と、金銭的に貧乏だったからだ。
(今でも生きる気力があるかと問われれば薄いし、貧乏だ。情けない事に。)
3年......?下手すると5年ぐらいは、ネットをせずADSL回線の金を払い続けてたかもしれない。
それでは余りにも勿体ない。
そんな折、このままではいかんと観念した。そこで俺は中古ファミコンショップに赴き、中古の筐体を手に入れた。
それが任天堂DSだ。DSiも売ってはいたのだが、DSの方が圧倒的に安かったのだ。
これでもネットが出来るとの触れ込みだったので期待したのだが、思ったよりも能力が貧弱だった。
ちょっと画が多いサイトになると上半分しか表示されないのだ。結局満足に見れるのは文字だけのページ。
グラフィックばかりの写真サイトなんてまず見れないし、ダウンロードも不可能。
当時はまだ僅かに生存してた任天堂DS専用サイトからは辛うじてダウンロード出来たみたいだったけど、それも有料なので諦めた。
それも3DSの登場と同時にすぐ無くなったしね。
そこで俺は割り切って、文字ページの閲覧と自分の作品を書く事で退屈を紛らわす事にした。
その当時も夢小説サイトや創作サイトもあったけど使いづらいからやめた。
何せDSは、文字はでかくて画面は小ちゃい。普通の創作サイトだと見るのも手間だし操作も大変。
それに対し、掲示板、特に携帯用のはDSで書きやすかったのだ。
(その後、3ヶ月ぐらいでDSiに買い替えた。ちょっとだけ性能は良くなったが事態はさして変わらなかった。)
俺が自分の作品を無銘の掲示板に書く事に拘ったのは、初期からのそういう流れがあったからだ。
そして俺は初めてネット上にDSで書いた。
ドラクエIVをテーマにした、『ライアンですが、馬車内の空気が最悪です』だ。
これは、誰かに消されないようあちこちに拡散コピペしたからまだネット上に残ってると思う。
だいたいにおいて2ch初とか書かれてるかもしれないが、実は2chが存在しなかった頃の作品だ。
これを初めに書いたのはドラクエブームだったという事もあるが、ドラクエ四コマという漫画本を書店で買って読んでいたからだ。
人によっては作品を書きだめてからネット上に挙げるという人もいるみたいだが、俺はそうはしなかった。
書きつつ作品を考え、資料を見据え、考えつつ書き込んだ。
誤字や脱字もたまにあったが、それすらもご愛嬌。
この作品を皮切りに、数ヶ月もの間、ドラクエ風ネット小説を量産していった。