『スカルマン』
この有名漫画タイトルは 石森章太郎※注1 マニアなら知っていよう。
仮面ライダーの前身として知られるダークヒーローだ。
この作品に関する有名なエピソードとしては、石森作品を映像化する際に石森自身に候補として選ばれたのだがどくろの仮面が当時の純朴な子ども視聴者を怯えさせるだろうという理由で断念。
だが石森先生はスカルマンのデザイン自体は非常にお気に入りだったので、代わりに何かモチーフがないかと苦肉の策で考えられたのがスカルマンのデザインによく似たバッタをモチーフにした仮面ライダーだったというのは有名な話だ。

スカルマンの話の内容は謎解きありのヒーロー版ブラックジャックみたいなものである。
要するに復讐劇だ。
この手の話は古くは聖書の時代からあり、シェークスピアの三大悲劇のテーマでもある大定番だが、時代背景を考えるに、バットマンには少なからず影響をうけてるに違いない。
ZETMAN※注3 の先達というわけだ。
この復讐劇は仮面ライダーの話の根幹にもなっている。
原作の最後は復讐を遂げたスカルマンが炎の中に消えて終わっていた。
なんと当時は打ちきり作品だったらしい。

この作品は以前アニメ化もされた。
その際、話の続きが追加され、サイボーグ009と話が関連付けられていたのはアニメを最後まで見ればわかることだが、
この話の展開をアニメオリジナルと思っている方が殆どではないだろうか?
ネット上でもそういう風に書いてあるし。
だが実は「スカルマン」がアニメ化されるより以前、メディアワークスより新装版「スカルマン」石ノ森章太郎作品として出ていたのだ。
もちろんこのブログのタイトルにうろ覚えの名を冠してる以上、この本を私が実際に持っているわけではないので、この情報の詳細は保証できない。
ちなみに、同時期に発売されていたのは、石ノ森作品では無いが小説「摩陀羅 天使篇」などだ。

この『新装版・スカルマン』にはアニメと全く同じ内容の追加要素が描かれていたのだ。
要するに事件の背後に黒い幽霊が暗躍していたという話である。

そして「スカルマン」アニメ放映中、最終回を目前に控えた出来事。
とある雑誌※注3 に連載中だった サイボーグ009最終章序章※注4 を未完としたまま、石ノ森先生は急逝なされた。
それはひとつの時代の終わりを感じさせるものだった。

その後、石ノ森先生のオフィスや自宅から仮面ライダーのプロットと設定画が続々と大発見され、その約二年後にblack以来のライダー復活に繋がるわけだが……それはまた別のお話である。

※注1=石ノ森章太郎先生の初期から中期にかけてのペンネーム)

※注2=「ウイングマン」「電影少女」で有名な、ジャンプ作家、桂正和・作のダークヒーローもの。
週刊YOUNGJUMP連載作品。見ると解るが、スカルマン以上にバットマンの影響を色濃く受けている。

※注3=『週刊SPA!』だった筈。
『小林よしのりのゴーマニズム宣言』と同じ雑誌。これもうろ覚え。

※注4=平成アニメ化第一段の最終回が未完なのは石ノ森先生の原作がそこまでしか描かれないで急逝なされたから。
最終章続編を石ノ森先生がプロットとして遺したものを石ノ森先生の息子の小野寺丈氏が小説として興された作品を現在少年サンデー系の雑誌で漫画化しているらしい。