「子どもが感じた痛みを認めるとき、大人は自由になる。」

「私たちは、自分を傷つけた親を罰する必要はない。」

「ただ、あのときの子どもの真実を、今こそ理解してあげればいい。」

                            アリス・ミラー

 

インナーチャイルドの癒しに役に立つ本を紹介します。

心理学者アリスミラーの『才ある子どものドラマ』という本です。

現在手に入りにくくなっていて、古書でも値段が高くなっているので、まずは公立図書館に置いてないか確認することをおすすめ致します。

 

原書はドイツ語ですが、英語や他の言語にも訳されている有名な本なので、別言語ができる方はそちらの方が簡単に本を入手できると思います。

 

 

あらすじ

 幼いころ、親の愛情や承認を得るために、子どもは自然に「親の望む自分」を演じてしまうことがあります。

感受性の高い「才ある子ども」は特に、親の気持ちを敏感に感じ取り、怒りや悲しみを押し殺し、期待に応えようと懸命にふるまいます。

 その結果、子どもは「本当の自分の感情」を表に出せなくなり、「愛されるための自分(偽りの自分)」と「ありのままの自分」の間に深い分裂を抱えたまま成長します。

 大人になっても、その“演じる自分”を手放せず、どれだけ成功しても心の空虚さを感じたり、人との関係に疲れたりします。

著者アリス・ミラーは、このような人々の背景に「無意識のうちに感情を抑圧してきた幼少期の経験」があると指摘しています。

そして、真の癒しとは、過去の痛みを認め、「今の自分が幼い自分を理解し、受け止めること」だと説いています。

 

 

 

 著者が言う「才能ある子」とは、いわゆる知能的に優れた子ども(ギフテッド)ではなく、感受性が高く、他人の気持ちを敏感に感じ取る子どものことを指しています。このような子どもは、相手の望みや期待をすぐに察して、先回りして応えようとします。

 子どもの場合、相手は親や教師、周りの大人たちです。子どもにとって特に親は絶対的な存在であり、親に見放されることは「生きること」そのものに関わる問題なので、相手の要求を察して先回りすることが命取りなのです。

親の期待に応えることが、無意識のうちに自分を守る方法になっていくのです。

 日本のように「空気を読む」ことが重んじられる文化では、この傾向を持つ人が少なくありません。外から見れば、優しくて気が利く良い人に見えるかもしれませんが、本人の心の中では、何をしても満たされない虚しさを抱えていることがあります。

 その理由を、アリスミラーは「本当の自分として生きていないから」と指摘します。どれほど成功しても、評価されても、内側から満たされない感覚が続くのです。

 

 過去の自分が感じてきた悲しみや怒りに少しずつ向き合い、受け止めていくことで、本当の自分とつながることができます。本当の自分と繋がることで、他人の期待ではなく、自分の心の声に従って生きるという力を取り戻していけます。

 

 自分の内側にいる“かつての子ども”と向き合うことこそ、他人の期待から解放され、自分自身として生きるために必要なこと