涼宮ハルヒの救済

涼宮ハルヒの救済

涼宮ハルヒさんが私を救済します。

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 「ハルヒハルヒ。またうっかり2ちゃんを見ちゃったよ。ぼくはバカだよ」

 「あなたは諦めるべきなのよ。バカはバカだし、救えないわ」

 「ううう」

 「あなたのことじゃないわ。2ちゃんねるに群がってなんでもかんでもディスってるような連中。いや、2ちゃんに限らないわね。とにかくそういうのは諦めるべきなのよ。あなたは適当に積み重ねていくしかないわ」

 「ううう」

 「のんびり生きなさいよ。人生は長いんだから」

 「ううう」

 「なんなのよそれ」

 「言うほどしたくないことは結局しないに限ると思うだろ。ぶっちゃけどうでもいいなって、たくさんのことにたいして思うんだよ。だいたいさ、今までいらなかったものなんてこれからも要らないだろ?」

 「それと、ううう、と、なんの関係があるのよ」

 「人間とはさ、その場その場で付き合いたいわけだよ。だから適当に生きててそのままで人と関われナインだとしたら人と関わりようがないんだよ」

 「で、だから、」

 「俺一人暮らしするよ」

 「すればいいんじゃない?」

 「うわーってなるとね、ぼくは2ちゃんを見たくなるわけだよ。傷をぺろぺろ舐め合いたくなるわけだよ。ほんとにぼくはつらいんだよ。自分を満たすのは怖いんだよ。幸せじゃないのは罪ですか?」

 「なによそれ」

 「んんんー。ホールドするのが苦手なんだよぉ」

 「時間がかかることがわからないわけね」

 「時間感覚がないんだよぉ。あお~ん。うお~ん。えおえふー。」

 

『キラキラ系女子』

ねぇ神様

幸せじゃないのは罪ですか?

満たされない私は

ねぇ神様

満たされないといけないの?

幸せな人を

気まずくさせる?不快にさせる?

優しい人を

悲しくさせる?苦しませる?

だってね神様

本に書いてありました

幸せは周りに伝染(うつ)るんだって

不幸も周りに伝染(うつ)るんだって

それなら私は、ねぇ

今日も希望を歌って

そして笑顔を振りまいて

それから一人部屋で泣くの

 

 「だからなんなのよ!」

 「ハルヒ。自分が惨めで仕方がないよ」

 「惨めなあんたを満たせるものはどこにあるの?」

 「うら若き男女が交わっているところですかね」

 「ずいぶん素直に言葉を吐けるようになったわね」

 「でも辛いんだよ」

 「どうすることもできないわ。変わってあげることはできない」

 「他人の言葉が頭に響いてこんがらがって大変なんだ」

 「他人なんて基本ただのノミみたいなもんよ。大事なのはあんた自分の言葉じゃない。あんた自身の思いを映した言葉よ。オリジナリティっていうのはね、つまるところあんたの想いや意欲や夢がオリジンであるようなもろもろが宿しているものなわけ。主観的な話なの、わかる?外側からじゃなくて内側から生まれるの、高いところからじゃなくて、深いところから湧いてくるの――あんたのばあいは浅いところからかもしれないけど」

 「とすると、オリジナリティを引き受けるのは大変だなぁ。自分自身のことなんだろ、じゃあオリジナリティって。身も蓋もないな」

 「身も蓋もいらないでしょ。身はいるかもね。身って、身のことでしょ?」

 「知らん」

 「あ」

 ハルヒが遠くを指さした。子どもだ。まだ6時だっていうのに、小学生低学年くらいの子どもが公園にやってきた。ランドセルを背負っているわけでもないし、どうしたんだろうと疑問に思ったが、今は夏休みの時期だった。これだからひきこもり生活はよくない。にしても早い。ラジオ体操でもあるのかもしれない。ぼーっと眺めていると、うすい雲が太陽をほのかに遮り、やわらかい光が子どもを包み込んだ。目が悪くてよくわからなかったが、その子はどうやら女の子のようだった。いつの間にかハルヒはどこかへ行ってしまったらしく、俺も家に帰ることにした。

 

 

 「医者とかはどうなの。精神科とか。私行ったことないし、責任取れないけど」

 「治ろうとする意志がない。健やかな自分は想像できないし、人との関わり方がわからない。人を疑ってかかって、信じないようにしているから、患者との信頼関係を云々とか言ってるのを見ても、警戒心しかない」

 「ふーん」

 「それに、治っちゃったら、どんな言葉を吐けばいいのかわからない。本でもニュースでもネット記事でも、生存バイアスだらけだろ。希望を持たせようとしているんだろうけど、希望なんて持ちたくない。惨めに思うし」

 「みじめかしら」

 「良い性格してないからな。ネガティブなものに親和的なんだよ。建設的な人間でもない。」

 「それは修正できないの?」

 「わからない」

 「つまりよ、こういうゲームを想像してみて。きらきらキラキラとかハートハートとか音符ルンルンを集めるとプレーヤーは笑顔(-^□^-)になるの。一方で、もやもやもやもやとかむかむかムカムカとか焦りアセアセとかを集めるとプレーヤーは苦悶の表情(×0×)を浮かべて苦しむことになる。このゲームの目的は、なんだろう、たぶんだけど、笑顔を維持すること」

 「集める、集めるというか、集めなくても、いや、集めちゃう分もあるけど、もやもやとかは俺自身の中に巣くってる感じで、ちょっと違う気がするな。ステータス異常みたいな感じというか」

 「だったらあれよ、毒消し草とか金の針とかを探すのよ」

 「理屈はわかる。理屈はわかるけど、毒消し草に相当するものがなんなのかわからない」

 「そ、そんなの自分で探しなさいよ!」

 「提案したのはそっちだろ」

 「私の提案を役立てられるかどうかはあんた次第でしょ」

 「うーん」

 「前も言ったけどさ、海の中でリンゴの実を探しても仕方がないわけじゃない。数学の先生に西洋史について質問したってきっと満足いく答えは返ってこないわよね?」

 「わかったわかった。眠りたいときは布団に入れってことだな?」

 「あ、逃げるのね」

 「おやすみ」

 「おやすみ」