所用のため更新が遅れてしまい申し訳ございません。

前回お伝えした通り、今回からは、噴火のメカニズムについて

まずご説明し、そのあと、マグマの粘性と噴火の激しさとの関連について

ご説明していきたいと思います。

 

さて、噴火が発生するまでには、様々なプロセスがありますが、それは

一般的に次のようになっています。

 

 マグマの発生→マグマの上昇→マグマの上昇停止→マグマの蓄積

  →マグマだまりの形成→マグマの再上昇→噴火

 

噴火のメカニズムについて知るためには、噴火の前のプロセスについても

知っておく必要があるので、今回は、そのプロセスについてご説明いたします。

 

1.マグマの発生と上昇

 

マグマは、マントルを構成する岩石の一部が融解することで発生します。

しかし、マントルを構成する岩石は、ある一定の条件が満たされていなければ、

融解することはないので、普通の場所でマグマが発生することはまずありません。

しかしながら、その「条件」が満たされ、マグマが発生するような場所があります。

それが、「プレートの沈み込み帯」」です。

 

(図一, 片側に三角形のついた線がプレートの沈み込み帯の位置を表す

 

「プレートの沈み込み帯」とは、地球表面を覆っているプレートが、

別のプレートと接して、そのプレートの下に潜りこんでいる場所のことです。

 

それでは、この場所でなぜ、マグマが発生するのでしょうか?

 

(図二, マントルを構成する岩石が、水を含んでいないときに融解する温度、

 マントルを構成する岩石が、水を含んでいるときに融解する温度、および地下の

  温度と、圧力との関係を表している

 

マグマが発生する、つまり、マントルを構成する岩石が溶融するためには、

その地点の温度が、その地点の圧力のもとで岩石が溶融する温度、を

上回ることが条件となります。でも、図二を見て頂くと分かるように、普通の

深度(圧力)、温度では、絶対にこの条件を満たすことができません。

 

しかし、プレートの沈み込み帯では、海洋プレートが大陸プレートの下に

沈み込んでいます。そして、海洋プレートは水を含んでいます。

図二からもわかる通り、マントルを構成する岩石は、水を含んでいる場合、

より低い温度で融解するので、ある一定の深度よりも深い地点では、

その地点の温度が岩石の融点を上回るようになります。

すると、前出の「条件」が満たされたことになり、マグマが発生するのです。

 

つまり、プレートの沈み込み帯でマグマが発生するのは、海洋プレートによって

水が供給されて、岩石の融点が下がるので、地下の温度が岩石の融点を

上回るようになり、岩石が融解するからなのです。

 

(図三, 海洋プレートの沈み込みを表している

 

このようにして発生したマグマは、周辺の岩石よりも密度が小さいので

少しずつマントルの中を上昇していきます。

しかし、マグマが上昇を停止するときがいずれやってきます。

 

2.マグマの上昇停止とマグマの蓄積、そしてマグマだまりの形成

 

先ほどご説明したようにマグマは発生し、上昇していくのですが、

やがて、マグマは上昇を停止します。今度はその理由をご説明します。

 

マグマがマントル内を上昇するのは、マグマの密度が周辺の岩石の密度

よりも小さくなるからでした。

しかし、マグマがある程度上昇してしまうと、マグマ周辺の岩石の組成が

変化してしまい、マグマの密度は周辺の岩石の密度と変わらなくなってしまうのです。

すると、マグマの上昇は止まってしまい、マグマはその場所でとどまることになるのです。

 

しかし、マグマがそうして停滞しているうちにも、マグマの発生は続きます。

そうして、下の方からどんどんマグマが上昇してきて、上昇を止める、ということが

繰り返されます。

すると、同じ場所に大量のマグマが停滞するので、一つの塊が形成されます。

これが、「マグマだまり」です。

 

マグマの発生は止まらないので、マグマだまりには次々と上昇してきたマグマが

蓄積していくようになります。こうして、マグマだまりはどんどん大きくなっていくのです。

 

しかし、マグマが上昇を停止している状態は長くは続きません。

いずれまた、マグマは動き始めるのです。

 

次回はいよいよクライマックス。マグマが停止している状態からどうやって噴火が起こるのか、

ご説明します。それと同時に、前回湧いてきた疑問も解決されるはずなので、

次回もどうかお付き合いください。