昨年僕の住む東京都内を初め、関東でも数多くのホット・スポットが見つかりました。
今年に入り新聞、テレビでの報道が少なくなった影響か、各自治体による除染作業が進んで被爆線量が問題ないくらいに低下した——と勝手に判断している人も、僕の知る限り少なくありません。
しかし、インターネットからも積極的に情報収集している人たちの間では、都内ですら殆ど除染作業が進んでいなく、むしろ「放置」に近い状態になっているのが問題視されて来ました。
特に都内有数のホット・スポットの中でも最大の汚染地帯である「都立水元公園」は、今年に入ってから部分的に放射線量が以前より高くなっている、とインターネット上では危険視されていた有名スポットです。
その情報ソースの1つは、後でご紹介することにして、話を進めます。
昨年汚染が高いと話題になってから、除染作業が行われたのかは知りませんし、確認していません。
なぜならば、除染が行われたかどうかは問題ではなく、放射線量が下がったかどうかが重要だからです。
先日、放射線量計を持って「都立水元公園」を訪れたのですが、部分的ですが昨年より放射線量が高くなっているところがありました。
雨風等の様々な影響で、公園内で放射性物質の移動があって、濃淡の差が出ているのだろうと思われます。
ということは、現在まで有効な(つまりは大規模な)除染作業は殆ど行われて来なかった、と推測されます。
しかし水元公園を訪れている他の人たちは、そんな事実を知らないかの様子で、子供連れの家族も多くいました。
そのような状況のまま、昨日「ようやく」という感じで、水元公園の現在の放射能汚染の実態がテレビで報道されました。
東京都内の土壌、25万ベクレル地点も
比較のため、他局の報道も併せて掲載します。
葛飾の公園で土1kgから25万ベクレルの放射性物質(12/06/11)
東京・葛飾区の都立水元公園の駐車場の土から25万Bqの放射性物質(12/06/11)
なんとも「あっさりしすぎる」報道と言うか……。
今回の報道でビックリしている方のために、もう少し詳しい情報ソースのリンク先をご紹介します。
【ホットスポット11万2000ベクレル!】葛飾区都立水元公園で高濃度放射能汚染地点を発見! ベスト&ワースト
共産党都議団が発見した放射能汚染の高い地点
1位:葛飾区水元公園(6/8)同112,000ベクレル
2位:葛飾区水元公園(2/21)同23,300ベクレル
3位:江戸川区土手民家(3/16)同20,700ベクレル
4位:江戸川区土手河川敷(3/16)同13,700ベクレル
5位:江戸川区土手河川敷駐車場(3/16)同12,500ベクレル
6位:足立区東綾瀬公園(3/16)同12,400ベクレル
7位:お台場海浜公園(3/16)同10,400ベクレル
共産党都議団の発表資料は次のリンク先から閲覧できます。
都内の放射能汚染調査結果について - 日本共産党 東京都議会議員団
自治体の不作為というか、体たらくぶりはこの際脇に置いときます。
今年の初め2月頃に、民間団体の指摘(警告)によりインターネット上に流れた今回の水元公園の放射能汚染の実態について、大手マス・メディアは4ヶ月近く無視するかのように、調査・報道しなかったのはどうしてなのか?
その理由はともかく、情報入手を「新聞・テレビだけ」に頼っていると、今回の例では4ヶ月近く「無駄に被曝する」可能性がある日本の現状の問題を、この際肝に銘じておく必要があるかと思います。
ちなみに、僕が今回の情報を知ったきっかけは、今年の2月の初めにアップされた次の動画によります。
東京ホットスポット.AVI
東京都内水元公園にて測定 0.96μSv/h と言う極めて高い線量が計測された。
岩上安身取材クルーと合同で計測を実施。
紹介は、エリアマネジメント推進協会 代表理事 出口晴三氏。
2012年2月8日 計測。
都内においても多数の高濃度の汚染地域がありホットスポットとして報告されているが、
このまま放置しておくのは、極めて危険。
特に公園は、子供たちが遊ぶ場所でもあり早急なる除染活動が必要。
岩上安身取材クルーと合同で計測を実施。
紹介は、エリアマネジメント推進協会 代表理事 出口晴三氏。
2012年2月8日 計測。
都内においても多数の高濃度の汚染地域がありホットスポットとして報告されているが、
このまま放置しておくのは、極めて危険。
特に公園は、子供たちが遊ぶ場所でもあり早急なる除染活動が必要。
これまでの僕の知り得た情報の範囲内で率直に述べさせてもらえれば、水元公園のような森や緑のあるところでの除染作業は、殆どその効果はないだろうと予測されています。
葉に付いた放射性物質を除去するには、樹を伐採するしか他に方法がないから、と言われています。
昨年の 3.11 以降、このブログをつぶさに閲覧している方は既にご存知のはずですが、ヨーロッパの科学者たちは、日本の除染計画を大変驚いているようです。
「日本はどうして費用と労力を浪費するだけの除染活動をするのか? チェルノブイリでのデータから、除染は殆ど効果がないのが明白なのに!」
と言うのだそうです。
フランス政府は、福島第一原発事故後の早い段階で、チェルノブイリ等の自国が有している情報の提供を日本政府に申し出たそうですが、日本側は情報の提供を「拒否」したそうです。
なぜなのか解りません……。
話は変わって、僕の知り合いに、今も東北へボランティアで行っている人がいます。
今年の春先に、福島の除染活動のボランティアに行く、と聞きました。
そこで、「チェルノブイリの例から、一番放射能被曝の危険が高いのは除染作業だから、十分気をつけて」と助言しました。
実は、除染活動の危険性を十分レクチャーされないまま除染をしている作業員が少なくない、とインターネットで情報が流れていたのです。
その知り合いがどれだけ僕の言葉に真実味を感じたのかは分かりませんが、他人の言葉だけで左右されるのが今の時代最も危険なので、根拠もなく鵜呑みにしない方が良いと思います(^^;。
ただ、いずれにせよ情報は知っておいて方が、後で何かあっても後悔は少ないと思います。
「一番放射能被曝の危険が高いのは除染活動」ということを僕が知ったのは、昨年の夏頃の東京大学アイソトープ総合センター所長「児玉龍彦」教授の発言でした。
その児玉龍彦先生の福島での除染活動もリポートした、【ETV特集】「除染と避難のはざまで ~父親たちの250日~」(5/20(日)夜10時、再放送:5/27(日)午前0時50分)をご紹介します。
放射線障害防止法では、一般人の被ばく限度を年間1ミリシーベルト以内と定めている。
単純計算すれば、1時間当たり0.114マイクロシーベルトである。
ところが、福島第一原発の事故の結果、南相馬市では毎時1~2マイクロシーベルト程度の放射線が日常的に計測されるようになってしまった。
特に成長期にある子どもたちは放射線によってDNAが傷つけられる可能性が高く、将来の発癌につながりかねないとして不安視する声が強い。
3.11以前には人口7万を数えた南相馬市だが、いまなお2万人以上が避難生活を送っているのが現実だ。
毎週、南相馬市に通って除染の指導を行っている東京大学アイソトープ総合センター所長の児玉龍彦教授は、住民が安心して暮らすためには、放射性物質が付着した木を切り、屋根や庭の土をすべて取り替えるしかないという。
必要な経費は民家一戸あたり560万円と試算する。
しかし、政府が用意した除染費用は、一戸70万円に過ぎなかった。
さらに、除染に伴い発生する放射性廃棄物の保管場所が周辺住民の反対で決まらないため、当初は4月開始の予定だった南相馬市の除染計画はいまだ実施のめどが立たないままだ。
深刻な放射能汚染といつまでたっても始まらない除染。
石神第一小学校に子どもを通わせている親たちのあいだに動揺が広がり始めた…。
生活環境を放射能によって汚染された人たちの苦悩と、なんとか福島を再生する手だてを探ろうと試行錯誤を繰り返す児玉教授の奮闘を描く、南相馬250日の記録。
前置きが長くなりましたが、こちらが本題です(^^;。
ともすれば、政府やマスコミのプロパガンダを鵜呑みにして、「除染すれば簡単に放射線量が下がる」と考えている国民も少なくないだろうと感じています。
これも昨年からインターネット上では再三指摘されていることですが、「除染=移染」であり、放射性物質は決して無くなりはしないのです。
セシウム137の半減期は30年です。
単純計算で、約100年後にようやく1/10の量になります。
一度放射能汚染されると、途方もない長い年月それに苦しむという事実を、今一度新たに認識すべきなのでは、と思います。
除染に苦悩する南相馬市の人たちや、児玉龍彦先生の葛藤する姿を通して、除染の厳しい現実を知ってもらいたいと思います。
放射能汚染された関東の人たちも、決して他人事ではないのですから……。
20120520 除染と避難のはざまで ~父親たちの250日~
思った以上に、あぁ~放射能はそんなに甘くはないな、っていうのを感じている……。
今日本は、福島の厳しい現実を無視したかのように——福島県民の苦悩を切り捨てるかのように——、原発を安易に再稼働しようとしています。
「福島の再生なくして日本の再生はない」と言った「野ブタ。」……じゃなかった野田首相、過酷な現実と向き合いましょうよ……。