1度だけ、俺が男を本気で好きになった話
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浅木ともよく並木についてグチったりしてた。



「ファンクラブとかあるらしいですよ、どうします?」


「ほんとかよ。

確かに、浅木の大好きな倉田さんもよく絡んでるしなー」


「・・・・そうですね。」



しょぼくれる浅木を笑って、立ち上がる。



「よし、午後ティー買いに言ってくるわ」


「え!佐塚どんだけ午後ティー好きなのさ!

午後ティーは校舎の外の自販にしか売ってないじゃん」


「食後にはあれが欠かせないわ」


「昼休みあと5分だからな~」




へいへいと返事をして、教室を出る。

そこから小走りで4階分の階段を下りていく。

1年の教室は最上階の4階。朝とかめんどくさいです。



下駄箱へ向かう廊下の最後の曲がりかど・・




「!!」


人とぶつかって、お互いに一歩後退した。

相手のシャンプーのにおい?甘い香りがした。



やばい、女子かな



「痛・・・」


ぼそりとつぶやく相手を見る




「並木?」







入学から3週間くらい。

最初こわかった授業ごとの教室移動にも慣れてきた。



相変わらず隣の席の並木弘人は居眠りばっか。

よくそんなに寝れるよなってくらい、机につっぷしてすやすや寝ていた。



その頃よくあったこと。



たまにあいつが俺の方を向いて寝てることがあると、

整った顔の作りに目が離せなくなる。



今思えば、見惚れてたんだろうな。




まつげとかなげーのなんの

肌なんか白いのなんの




しっかし、あいつの女子にチヤホヤされてもだるそうにしてるのには

大層イライラしていた。(笑)








そんなこんなで、

俺の高校生活がはじまった。




高校でもテニスを続けるという浅木とは

仮入部に一緒にいったりして

すっかり意気投合した。


アホだけど。



浅木はあのヤナギ一押しの大塚愛こと、

倉田さんのことが中1の頃から好きらしかった。


そんな一途な恋愛なんかしたことない俺は

浅木を尊敬していたし、応援してた。







自己紹介が終わったあと、

いくつか配布物を受け取ってその日は解散だった。


帰る用意をしていると、なーんかどっかで見たような顔が近付いてくる。



「俺、佐塚くんのこと知ってる!」



「え、なんで?」



「俺南中のテニス部だったんだよ!覚えてない?」



「・・・・・・・・・ああ!」



「いや!絶対覚えてないでしょ!いいよ、俺がファンだっただけだから!」



「ごめん。顔は見たことあるんだけどね。うん。

それとファンがいるほど上手くなかったよ(笑)」



「うん、知ってるだけだからね。」



「うわー。」



というような流れで浅木と一緒に帰った。

浅木はアホで面白い。




「並木ってヤツなんなんだよ?」


「な。」







並木弘人に対しての第一印象はもちろん




なんだコイツうぜぇ・・・




だった。





まさか、こいつのことを本気で好きになるなんて思ってもみなかったよ。