安倍前首相が突然辞職してしまいました。自民党の新しい総裁が誕生して記者会見に臨んだ姿は、気の毒なまでに憔悴しておられました。ご回復をお祈りいたします。
さて、7割近い支持率でスタートし、長期政権になると見られた安倍内閣は、1年と持ちませんでした。一方で、短命との見方も多かった小泉内閣は、戦後3番目の長期政権になりました。
政権の寿命を決めるものは何でしょうか。
結局、その政権が日本にとって必要とされる度合いによるのでしょう。小泉元首相が最重要の政策として掲げたのは、巨大な不良債権問題の解決でした。そのためには、日本は変わらなくてはいけない。政官業のしがらみや古い慣習、それに乗っかる古い自民党をブッ壊す、と小泉元首相は叫びました。
空前の利益を上げる大企業だがその裏では…
果たして小泉政権が実行したことは、欧米諸国が10年以上前に実施したことと同じでした。財政資金を入れて、大銀行や企業を救済しました。つぶれてしまった銀行や企業の損も政府が肩代わりしました。投入された財政資金は38兆円にも達したのです。
これで、ピークの2割にまで下落を続けていた日経平均は救われます。2003年4月16日、竹中平蔵・元財務大臣が、りそな銀行への公的資金の導入を発表した日に7879円だった日経平均は上昇を始め、小泉首相が退陣した2006年9月26日には1万5557円に達していました。
株主のための経営が当たり前になりました。その分、従業員や系列企業や地域の取り分は減りました。人口が減る日本国内に限界を感じた大企業は、中国をはじめとした海外を目指し、それを規制緩和が後押ししました。従業員を解雇するのも非正社員に置き換えるのも簡単になり、日本の工場を閉めて海外に行きやすくなったからです。
海外に出た大企業は巨額の利益を上げ始めました。トヨタ自動車やキヤノンはもちろん、商社、鉄鋼、海運、化学、プラントなど、ついこの間まで構造不況と言われた業種でも1000億円以上の利益を上げる企業がザラです。
大企業のボーナスも東京の消費も法人税収も増え、GDP(国内総生産)もプラス成長に戻ってきました。もはや、不良債権問題で日本沈没を心配する人はいなくなりました。構造改革で日本経済を救うために小泉政権は必要とされたのでした。
しかし、そこから生まれた影の部分は巨大でした・・・
《ざ・こもんず》で続きを読む(無料) サンプルページはコチラをクリック