The Bar Bojoeのブログ "Making the road"-201004021900001.jpg

拝啓

お久しぶりです
今頃 そちらは風がきつくとても寒い時期ですね

ピート(泥炭)をくべた暖炉の香りが懐かしく思います

今振り返れば
僕が旅の途中にアイラ島に立ち寄ったのもきっと偶然なんかじゃなかったんだと

初めてその地に足を踏み入れた時、あまりに美しい
光景に言葉を失ったほど
でした


淡路島ほどの面積に
人口3500人程度
島の皆が顔見知り
交番と教会が一つずつ
のどかな島でした



島にはパブが数軒しかありませんでしたが、ラフロイグさんやボウモアさん、あとラガヴーリンさんと飲み明かした事を懐かしく思います


ラフロイグさんはその中でも特に個性的でした


フェノール香、ヨード香、海藻のような、それでいてはっきりとオイリーを
感じさせる分厚いボディ

大好きでした


たまに口の悪い人から
薬品くさいだとか
消毒液みたいだと言われて殴りあいにもなりました


だけど僕は知っていました
あなたが自らのピート採掘場やキルブライト川にダムを持ち
蒸留所ではフロアモルティングを行っていた事を

また時々、蒸留所内で結婚式を行ったり
一部は村の公民館としても活躍されてました


何より印象深いのは
熟成庫が海に面しているところでした

美しかった

あなたの本名、ゲール語で「広い入り江の美しい窪地」そのままでした


プリズムのようなゴールドの輝き
ピート香、モルトの甘さ
どれをとっても最高でした

そういえば
チャールズ皇太子愛飮の酒で、シングルモルトとして初めてプリンス・オブ・ウェールズ御用達の認定も頂いてましたね


やっぱり懐かしいなぁ



僕は今、あなたがオフィシャルボトルで頑なに守り 続けているバーボン樽の
ふるさと、アメリカはテネシーを旅してます
いいところですね
あなたの体に染み付いているジャックをもっと
知りたいと思います



僕の旅もいったい何処へ
たどり着くやら


ではまた
お元気で

敬具


追伸
アメリカで頂く
ラフロイグもまた格別です
アイラ島の風を思い出しながら…