購入を決めてから約ひと月後の10月下旬、暖かく心地よい秋晴れの日にジムニーはやってきた。
前オーナーが多忙な中、エンジンオイル交換やブレーキ廻りなど、あちこち整備してくれていたのだ。感謝!感謝!
しかし、車検を通すにはまだまだ整備しなければならない箇所が山盛りだ。
なんとなくボンネットを開きエンジンルームを覗くと、シリンダーブロックから下がオイルで汚れていたのが見えたので、先ずは、ヘッドカバーガスケットとカムシャフト、クランクシャフトオイルシールの交換をすることに。
併せてタイミングベルト、エアコンとオルタネータベルト、ウォーターポンプ等も交換する。
ちなみにそれらの部品は、全て前オーナーが揃えていてくれていた(ああ、感涙…。。)
・やって来たときのエンジン外観。
自分が乗るならこのままでも良いが、10代女子が普段乗りをするにはそのままでは不安な部分や、車検に通らない箇所もある。
信頼性向上の為、色々と手を加えた方が良さそうだ。
ラジエターや電動ファン、その他もろもろを外し、いざクランクシャフトのボルトを緩めようとしたが、ハンドツールやエアインパクトで回してみてもびくともしない。
ネットで調べてみると、クランクボルトに工具を掛けておき、セルモーターの力で外すやり方が書いてあり試してみたが、全く外れる気配がない。
というわけで、作業を開始していきなり行き詰ってしまった。
これはもう、レンチのハンドルを延長しまくって強大なトルクを掛けるしかないが、それには共回りするクランクシャフトをがっちりとロックする必要がある。
ネットを調べると、ベルハウジングの下の穴からドライバーなどを突っ込んで、フライホイールのリングギヤをロックさせる、という方法が多く紹介されていたが、これから異常なトルクを掛けることになるので、リングギヤやハウジングを破損する可能性を考えると、その方法は採りたくなかった。
現況に身悶えしつつ、もう一度落ち着いてクランクのプーリーを良く見てみると、内径に3箇所の突起がある。
これを利用して回り止めの特殊工具を作ってみることにした。
・出来た回り止めはこんなかたち。
かなりのバックトルクに耐えられるよう廃材のチャンネルにパイプを押し込んで補強し、近所の親切なバイクやさんに頂いた円盤の外径を削り、(自宅には良い材料が無かった)、三箇所の突起に合わせてサンダーで溝を入れたものを溶接。反対側はフレームに当てることで回り止めとなる。
抜き勾配のある鋳物プーリーが相手なので、少しでも喰いついてもらおうと敢えてバリ取りをしなかった。
・クランクボルトに1/2インチのインパクトのソケットを入れ、T型スライドハンドルを差込みハンドルには4分の白ガス管を差し込んだが、力を掛けている最中にハンドル、ガス管が共に曲がってきたので、急遽白ガス管の外側の曲がりやすい場所に一回り太いパイプを挿入。
・僕の体重だけでは回らないので、反動を付けて何回もぶら下がると、パキン!と音がしてボルトが少し回りだした。
推測だが、掛けたトルクは瞬間的に1000N-mぐらいまで行ったのではないだろうか。
特殊工具は少し曲がった。
・実は、今回クランクボルトを回す為に奮発してみたHAZETのエアインパクト。
トルクを高める為にジャンボハンマーを内臓しているとのことだが、外観は驚くほど小さい。
コンプレッサーのレギュレータスイッチをいじって0.9MPaまで圧を上げたものの、結局このインパクトでボルトは回る気配すらなかった。折角買ったので、ある程度まで緩めたボルトを、このインパクトでばりばりと緩めて自分を慰めた。
ちなみにこのインパクト、頑張ったら1100N-mまでトルクを出すことができるとのこと。