国民栄誉賞を長嶋茂雄と同時受賞したのも記憶に新しい

松井秀喜のことを取り上げた本である。

有名なエピソードが書かれている。

それは松井が父の教えで人前でひとの悪口を言わないということだ。

このエピソードを知ってますます松井のことが好きになった。

ますますと言ってもジャイアンツファンではないので、

熱狂的な松井ファンでは決してない。

しかし松井といい長嶋茂雄といいジャイアンツファンならずとも

ファンの多い野球人だと思う。

そして伊集院静の描く松井のエピソードを読んでいるともっと

松井の出てた試合を観ていたらと感じずにいられない。

ああ松井の放物線を描く本塁打にもっと魅了されたかったと。

やはり本塁打は野球の華である。

奇麗な弾道でスタンドに運ばれる本塁打は観るものを幸福にして

くれる。

本塁打の瞬間、球場でテレビの前で観ているものは思わず腰を

浮かしてしまう。

そして本塁打を打った打者がホームまで帰る間、余韻を楽しむことが

できるのである。


松井の美しい生き方は日本人にとって受け入れやすい清廉さを放っている。

真似できないなと自分を恥じることしきりである。

松井より凄い記録を出す選手は出て来ても、こんな生き方をする選手は

なかなか出てこないのだろうなと感じる。

松井はある意味大人びている。

他の野球選手やサッカー選手よりだいぶんと大人ではないか。

古くさいとでも言おうか。


真似はできないが少しでも学びたいと思える生き方である。


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