ベトナム、建材価格高騰でインフラ・プロジェクトに遅れ | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 ベトナムのインフラ・プロジェクトに建設資材価格の高騰が悪影響を及ぼしています。

 運輸省は、「砂や砂利の不足で北部ベトナムや南部メコンデルタ地域の道路建設の進捗に遅れが出ている」と報告しています。こうした建設プロジェクトの進捗遅滞は、各建設会社が起工後に数倍に跳ね上がった建設資材の価格を考慮して、再度の原価計算を行っているのが原因です。つまり、各建設会社は企業として採算の合わない仕事をするわけにはいかないわけで、意図的に進捗を遅滞させているわけです。

 一般に、北部ベトナムでは砂や砂利が豊富に産出するといわれています。しかし、現実には北部ベトナムでも砂や砂利などの資材価格の高騰でインフラ建設は予定よりも遅滞しています。また、南部のホーチミン市でも資材高騰で、あちこちでインフラ工事の進捗が遅れているといわれます。

 資材価格には工事現場のロケーションが大きく影響してきます。建設資材は重量があるために輸送コストが非常にかかるためです。つまり、工事現場が資材産地から遠距離だったり、主要道路から大きく離れていたりすると資材価格は高くなるわけです。

 専門家は、違法な砂・砂利の採取業者を取り締まらなかった地方自治体や建設資材で投機を行っているビル資材の取引会社などを非難しています。一方、各建設会社は、政府に資材生産の増産を求めるとともに、投機的に資材価格を吊り上げている団体や個人を厳しく取り締まるように求めています。

 一般に、インフレ率が上がると政策金利(基準金利)が上昇し、株価は下落します。ベトナムではベトナム統計局(GSO)が毎月の消費者物価指数(CPI)を発表しているので動向には要注意です。