ホアン・アイン・ザー・ライ(HAG)のミャンマー投資 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 ホアン・アイン・ザー・ライ(HAG)不動産事業を核とする産業コングロマリットです。ベトナムの地元紙は、同社のチェアマン(chairman)でベトナム1の資産家といわれるドアン・グエン・ドュク氏がインタビューに対して以下のように答えたと伝えています。

「2月初旬にミャンマー視察を行った。当社はミャンマーへの投資について4年間ほど熟慮してきたが、現時点でカンボジアやラオスでの投資はすべて順風満帆だ。当社のような大きな企業はベトナム国内だけの投資では年率70%程度の成長を達成することはできない」。同氏はミャンマーへの投資に積極的なようです。ドュク氏はまた、「ホーチミン市の不動産セクターへはこれ以上投資する必要は無い」と語る一方で、「HAGは今後も不動産、鉱山、水力発電所、産業用農産物の4分野に焦点を絞った投資を行う所存」との考えを明らかにしています。また、自身が所有する自家用飛行機については、「海外へのアクセスに便利なために購入した」としました。ドュク氏は7百万ドルで購入したベトナム初の自家用飛行機(Beechcraft King Air 350)を保有しています。

 同氏の他にもミャンマーへの投資に興味を示すベトナムの投資家は多いです。ベトナムの政財界代表団は今年1月14日から16日までミャンマーでの投資機会調査のためにミャンマー訪問しています。それに対して、ミャンマー側の閣僚は「ベトナム側の意見を聞いてミャンマーに投資しやすい状況を作り、双方の国益に適う投資条件にしたい」と語っています。二カ国間の投資は1988年後半に始まり、ミャンマー政府統計によると、ベトナムのミャンマーへの投資は2340万ドル(2009年9月末)となっています。

 ミャンマーにとってベトナムは第16位の輸出国になります。ベトナムはミャンマーから農林水産品、電子部品などを輸入し、鉄、電子機器、薬品、産業製品、化学品、PC部品などを輸出しています。ベトナム航空では3月2日からハノイ(ベトナムの首都)からヤンゴン(ミャンマーの首都)へ直行便を週4回運行しています。

 現在、ミャンマーは軍事政権下で経済は停滞していますが、日本は大量のODAを継続しています。1945年において、当時のミャンマーの首都ヤンゴンはシンガポール以東ではもっとも栄えた都市だったといわれています。ミャンマーには沿岸部の石油山岳部のレアメタルなど地下資源も豊富です。

 HAGのミャンマーへの投資は新興国投資のなかの新興国投資だと思います。リスクは高いがリターンは大です。それがドュク氏のやり方なのでしょうし、4年間でミャンマーの有力者とのしっかりしたコネも出来たでしょうから、彼のミャンマー投資にはきっとそれなりの勝算があるのだろうと思われます。たしかに、ミャンマーでは不動産、鉱山、水力発電所、産業用農産物の4分野のすべてに可能性があります。