フン・セン首相(カンボジア)が世界遺産プレアビヒアで演説 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 日本ではあまり報道されていないと思われますが、カンボジアフン・セン首相が先週土曜日にプレアビヒア(世界遺産)を訪問しました。プレアビヒアはアンコールワット遺跡と同時期のクメール王朝時代の遺跡です。プノンペンでお会いしたBRICの鈴木氏やSECCのフオットプム氏は実際にプレアビヒアを見学してみてアンコールワット遺跡を上回る位の素晴らしい遺跡建造物だったとの感想をそれぞれもったそうです。

 フン・セン首相はプレアビヒアで軍部をバックとするアピシット政権(タイ)を批判するとともに、ベトナムとの強い結びつきを間接的に強調しました。

 例えば、フン・セン首相はカンボジア兵の前で、「昨日(金曜)にモビテル(Mobitel)の携帯で司令官に電話したのだが電話が繋がらなかった。しかし、メットフォーン(Metfone)の携帯で電話するとすぐに繋がった」と演説をぶったそうです。そして、フン・セン首相はそれを理由に、ベトナム系携帯電話会社メットフォーン(Metfone)の携帯利用を推進し、プレアビヒアをはじめ将来はカンボジア中にMetfoneの光ケーブルを敷設することになるだろうとしました。

 メットフォーン(Metfone)はベトナムのベトテルテレコム(Viettel)が経営を掌握しています。そしてベトテルテレコムはベトナムの携帯電話サービス大手でベトナム軍部と強い繋がりがあります。別名は、「軍隊通信グループ」です。つまり、カンボジア軍とベトナム軍は同じ通信システムを実質採用することになるわけです。「通信」は軍隊にとって大事な兵站の一つです。

 一方、カンボジアの「ロイヤルグループ」のモビテル(Mobitel)はフン・セン発言に対してコメントを控えています。フン・セン首相得意の絶妙のバランス感覚発揮です。今回、プノンペン市内ではメットフォーン(Metfone)などのほか、シンガポール系携帯会社の広告などをたくさんみることができましたが、カンボジア軍では兵士にベトナム軍系のメットフォーン(Metfone)の携帯を推奨しています。ベトナムとカンボジアの間に強い絆を感じます。