ベトナムドンに弱気シグナル! | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 ベトナムの貿易赤字が続いています。ベトナムでは今年の第1四半期の貿易収支は黒字でしたが、4月以降は景気回復によって内需が回復したことによる輸入増加を原因として貿易赤字に転じています。4月以降は毎月10億ドル以上の貿易赤字を7ヶ月連続で記録。今年10月の貿易赤字額は19億ドルに上りました。

 景気回復で国内消費が回復、その結果、輸入が増えて貿易赤字となる。これは日本が50年代、60年代に何度も経験した景気循環の波と同じです。

 一方、現在、ベトナムドンは対ドルで史上最安値付近で推移しています。

 50年代、60年代の日本では、景気回復→輸入増→貿易赤字→円安→輸入減のサイクルを繰り返してきました。仮に、通貨ベトナムドンが安くなると、輸入を減少させ、輸出を促進させる効果を持ちます。結果、貿易赤字は黒字に転じる可能性が高まります。経済のホメオスタシスです。

ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ
 過去2年のベトナムドンの対ドル相場チャート。(出所 YAHOO!ファイナンス)

 ところで、現在、12ヶ月物フォワード(先渡し)取引ではドンは現物よりも13%ディスカウントで取引されています。これは、市場参加者は(流動性は低いものの)12ヶ月後のベトナムドンは13%減価するという平均的予想をしているということです。

 更に、国営のベトナムポスト&テレコミュニケーション(VNPT)の公定相場ではベトナムドンは1ドル17860ドンで取引されています。しかし、同時にブラックマーケットでは(ドンは)1ドル18650ドンで取引されています。

 公定相場でドン高、ブラックマーケットでドン安(!?)これはいったい何を意味しているのでしょうか?一般に、公定相場は規制でガチガチ、ブラックマーケットは自由な市場です。

 この2つの材料をみる限りでは、「自由な」為替市場はドン安を催促しているようにみえます。