ジョージ・ソロスとジム・ロジャース | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 先週末のG20はタイでも大きく取り上げられていました。タイ・アビシット首相だけではなく、麻生首相を含む各国首相が何度もテレビ画面に登場。ニュース番組中には米著名投資家で慈善家としても知られるジョージ・ソロス氏も登場してコメントしていました。

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 タイのテレビで取り上げられるG20(チャンネル3より)。テレビ画面には笑顔の麻生首相の姿も。

 BBC(イギリス)によるジョージ・ソロス氏インタビュー記事

 ジョージ・ソロス氏は世界の金融システムが内在的欠陥から破綻状態に陥っていること、そしてそれをこれまでとは異なった形で再構築する必要があることなどを強調しています。また、G20で新興国救済のための方策を取らない限り、新興国経済崩壊の可能性があり、現在はリセッション(景気後退)からデプレッション(不況)へ景気悪化するかどうかの「剣が峰」にあるとの見解も示しています。

 “The international financial system has collapsed and cannot be restored in its current form”(George Soros): 「国際金融システムは崩壊した。そしてこれまでの形のままでは国際金融システムを構築することは不可能だ」(BBCニュースより)

 ソロス氏は先進国が拠出して新興国に国際通貨基金(IMF)の特別引出権(Special Drawing Rights, SDR)を与えることなどを提案しています。また、米国景気はまだまだ悪化中であることなど悲観的な見通しを述べるとともに、対応次第ではリセッション(景気後退)は「再」来年には回復する可能性もあるとの見方を示しました。

 母校LSE(London School of Economics)での講演会(英テレグラフ紙より)でも2500億米ドルの国際通貨基金の特別引出権について述べています。

 先週金曜日のシンガポールでのインタビューで、ジム・ロジャース氏は今回のG20を全く評価しておらず、国際通貨基金の引出権についても否定的でした。ジム・ロジャース氏はジョージ・ソロスよりもよりアダム・スミス的・自由主義的であり、ケインジアン的・修正主義的な政策を嫌っているようです。この辺に両者が袂を分かった理由があるような気がしました。