昨日の続きです。
業界4位のカシコン銀行の第3四半期の純利益は前期比10%減の38億バーツでした。これは第3四半期の税額が第2四半期よりも増えたためで、これを除外すれば、わずかながら業績は好転しています。第3四半期・純利鞘(NIM)は4.09%と銀行トップクラスで不良債権比率(NPL)も3.9%と他の銀行と比べて低く、強い企業体質を誇っています。
最後、業界7位サイアム・シティ・バンクの第3四半期の純利益は11.7億バーツで、昨年同期の純損失39.6億バーツから黒転です。ただし同行は、景気後退懸念を受けて不動産向け融資目標額を引き下げると発表しました。
現在、一般にタイの銀行は業績好調で、特に大きな懸念は見当たりません。なのにバリュエーションは非常に割安。またPER(株価収益率)と配当利回りを列記すると、以下の通り。
バンコク銀行 PER6.86倍 配当利回り4.20%
クルンタイ銀行 PER7.10倍 配当利回りが6.25%
サイアム商業銀行 PER9.45倍 配当利回りが2.51%、
カシコン銀行 PER8.59倍 配当利回りが3.54%
(いずれも10月20日現在)。
日本の代表的銀行の三菱UFJフィナンシャルグループのPERが13.92倍、配当利回りが1.65%であるのと比べてみれば、よくわかります(10月21日現在)。とはいえ、米国の金融危機を端緒とする不況の影がどうしても付きまとってしまうのが問題点ではあります。つまり「果たして金利上昇局面で銀行株は買いなのか」という疑問です。
いずれにしてもドル安傾向のなか、欧米の金融機関と資本上の繋がりも深い日本の都銀よりも、タイの銀行株のほうが米国発グローバル金融不安からは距離があるとはいえます。
世界の株式市場は、これから長い年月をかけて底を形成していくと思われます。しばらくのうちに世界的な株式の反騰局面があるかもしれません。個人的には銀行セクターは「トレーディング・バイ」にしておきたい、と思っています。
もし、タイの銀行セクターの株式購入をお考えならば、銀行セクターのなかでも優良銘柄のバンコク銀行、サイアム商業銀行、カシコン銀行から選ぶのがいいのではないでしょうか。でもあくまで自己責任であることは忘れずに。