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サラさんの唱える教皇空位論(Sedevacantism・セデヴァカンティズム)とは?

 

サラさんのブログには教皇空位論というタグがあるが、この言葉は日本では馴染みがないのでちょっと説明をしておく必要がある。簡単に言うとこの空位論というのは、今は誰もカトリックの総本山であるバチカンの教皇の座にはおらず、ヒトラーのナチスドイツ、ムッソリーニのイタリアと仲良くしていたピウス12世までが真の教皇であり、その後の教皇、特に1962年~65年の間に開かれた第2バチカン公会議以後の教皇は全員が偽の教皇というカトリック教右派の考え方だ。

 

下にナチスドイツ時代にヒトラーと当時のローマ教皇ピウス12世が握手をしている写真と、ドイツのカトリック教の司祭がナチス党幹部と共にナチス式敬礼をしている写真があるが、オーストリア生まれのヒトラーも熱心なカトリック信者であり、ナチスドイツ軍はヨーロッパにおけるキリスト教軍隊である枢軸軍の盟主として、優れたキリスト教文明を守るために戦っていると枢軸国の関係者は主張していた。枢軸国はユダヤ教徒(アメリカとイギリスなどの西側連合軍)と共産主義(ソ連などの東側連合軍)の侵略からヨーロッパを守るために戦ったキリスト教十字軍であり、その盟主はヒトラー、ムッソリーニ、教皇のピウス12世などとなる。

 

そして、その後、特に第2バチカン公会議以降の教皇はカトリック教皇としての権威も伝統も捨てて、政治的外交的にローマカトリックを守るために妥協案として、対立をしていたユダヤ教徒、イスラム教徒などの異教徒との和解、対話を始めたので「偽教皇」と見做すのが教皇空位論の考え方になる。でも、日本でカトリック信者は100万人程度しかいないから、この考え方はよく知られていないようだ。

 

日本人は大日本帝国が滅んだ1945年夏までは天皇陛下を現人神とする国家神道を熱心に信じていたけど、それが失敗の原因みたいに戦勝国の連合国GHQから教えられたから、戦後の日本人は神様、宗教とかにあまり興味がなくなった。でも、ヨーロッパ、アメリカなどではまだキリスト教の力が強いから、1945年まではヒトラーとムッソリーニと握手をしていたローマ教皇が戦後はナチスとファシズムを否定しているというのは、保守的なカトリック信者にとっては許せないことなので、ピウス12世以後の教皇は偽物ということになるのだろう。

 

ただし、この教皇空位論については僕もまだよくわからないので、もっとよく調べてみようと思う。

 

教皇空位論(Sedevacantism)の英語の説明。

 

https://en.wikipedia.org/wiki/Sedevacantism

 

 

なぜ、日本の右翼は日独伊三国同盟を中心に第二次大戦を見ることができないのか?サラさんの失望

サラさんはアメリカの白人女性だが、第二次世界大戦時の大日本帝国が日本の絶頂期と評価している右翼思想の女性だと既に書いた。彼女は英語、ドイツ語、日本語が完璧に話せるので日本の右翼主義団体、右翼系出版社などと既に交流をしている。

 

だが、去年の秋頃から日本第一党の桜井さんなどがその本性を表して

「大日本帝国はアメリカ、イギリスなどの欧米のキリスト教国家からアジア人とその他の有色人種下開放のために戦った。天皇陛下の下に白人支配からの解放のために戦ったのだ。アメリカで黒人のオバマ大統領が誕生したのも日本が有色人種を開放したからだ」

などと述べ始めてしまったので絶交状態になってしまった。しかし、残念ながら日本の歴史修正主義のネトウヨどもはたいたいこんな感じだ。KAZUYA、ねずきち、竹田 恒 泰のような右翼どもも日独伊三国同盟には言及してないし、日本が白人キリスト教国家と一緒に枢軸国の一員として戦ったということには言及せずに、

「白人キリスト教国家から有色人種と戦った。残酷極まりないナチス・ドイツと日本の戦争目的は違う」

などという事実と違うことを述べて歴史的、心理的なマスターベーションをしている。

 

しかし、それでは日独伊三国同盟が結ばれた経緯をよく見直してもらいたい。日中戦争が泥沼状態になり、「スターリンの粛清で弱くなったソ連軍は恐らく弱いだろう」と予想をして、昭和14年夏にノモンハン事変を起こしたが、ソ連軍の戦車部隊の猛攻の前に日本軍はノモンハンでも敗退をしてどうしようにもならなくなったので、昭和15年10月にヨーロッパで快進撃を続けていたナチスドイツに日本の方から接近をして日独伊三国同盟は結ばれた。昭和15年の日本の流行語は「バスに乗り遅れるな」である。このバスというのは当然、ヨーロッパで快進撃を続けていたナチスドイツ軍のことを指す。

 

まだ日独伊防共協定だった頃にヒトラー・ユーゲントが来日したが、北原白秋は「万歳、ヒトラーユーゲント」という歌を作詞して彼らを歓迎してる。こちらがその動画。

https://youtu.be/iNkw0XOWino

 

さらに下の画像は日独伊防共協定が結ばれた後のナチスドイツとの友好関係を歓迎する様子。これだけのヒトラーのナチスドイツとの友好関係の証拠がありながら、まだ、日本の無学な右翼は「日本は有色人種開放のために戦った」」という歴史修正を唱えるのか?日本は枢軸国の一員として、キリスト教国家と同盟をしてユダヤ財閥(米英)と共産主義(ソ連と中国)と戦ったのだ。サラさんが唱えていることの方が絶対に正しい。

 

写真の中でゲッベルスから伝説のバイオリンのストラディバリウスを受け取っているのは、有名なバイオリン奏者の諏訪根自子さん。彼女は戦後はユダヤ人音楽家から執拗に嫌がらせを受けたので、あまり音楽活動はしなかった。

 

 

 

サラさんはなぜ日本ネトウヨと同じ意見ではないのか?サラさんとネトウヨの違いについて。

 

サラさんは「日本第一党」の桜井誠氏ととても仲が良かったが、「日本第一党」と桜井氏が低学歴な日本右翼の本音である主張、

「大日本帝国は満州事変以来、キリスト教という邪教を信じる白人国家からアジア人を始めとする有色人種を解放するために戦ったのだ。日独伊三国軍事同盟、独裁者のヒトラー、ムッソリーニとの軍事同盟などはどうでもよかった。大日本帝国は天皇陛下の下、『八紘一宇』の標語と共に天皇陛下名においてアジア人を解放するために戦った。ヒトラーのナチス・ドイツ、イタリアのムッソリーニという低俗な独裁国家と崇高な大日本帝国の戦争目的は全く違う。ドイツ人はアーリア人種と白人至上主義のために戦ったが、日本人は全く逆に有色人種解放の為に戦った」

ということを述べ始めたので、ガッカリして「日本第一党」とは距離を置くようになってしまった。事実上は絶好状態になった。

 

僕は6月にサラさんに会った時に、

「日本人の右翼の多くはヒトラーのナチス・ドイツとの軍事同盟を必要なかったというような意味不明のことを言っていて、大日本帝国の満州事変から昭和20年の終戦までの戦について日本に都合の良いように解釈していて、本当の歴史を知らないバカが多いですよ」

とアドバイスをしようと思ったのだが、残念ながら話す機会がなかった。

 

サラさんが日本語とドイツ語をネイティブレベルに達するまで勉強したのはユダヤ、反共産主義の思想からであり、ユダヤ資本に助けられたアメリカ、イギリス、共産主義のソ連、中国と戦ってかなり苦しめたのは大日本帝国とナチス・ドイツなので、第二次大戦で枢軸側が勝っていたら、共産主義とユダヤ資本から世界を解放できたはずと考えているからだ。だから、サラさんを始めとする白人右翼の多くは日本人を、「白人と同じ力を持つ名誉白人」と考えて、もう一度日本とドイツとそれに反ユダヤ、反共産主義勢力が結集してユダヤと共産主義と戦うべきだと考えている。

 

でも、日本右翼は反共産主義では白人右翼と意見が合致していても、反ユダヤについては「日本人の中には杉原千畝のようにユダヤ人救った人もいたし、大日本帝国政府は『河豚計画』という計画を作ってヨーロッパから追放されたユダヤ人を救おうとしたから、日本人はユダヤ人とは仲が良い」

と述べている右翼もいるほどだから、「反ユダヤ主義」とは意見が一致しない。

 

また、日本の右翼の中には枢軸軍の一部だったという事実を忘れて、

「大日本帝国はキリスト教国家でアジアとアフリカを支配していたアメリカ、イギリス、フランス、オランダなどからアジアを解放するために戦った。キリスト教国家は神道国家の大日本帝国にとっては敵だった」

などという訳がわからないことを主張している。これは、歴史的な事実を全く無視している。

 

日中戦争の作戦が大失敗して泥沼にはまり、ソ連軍は弱いだろうと思ってノモンハン事変を仕掛けた日本陸軍は、ソ連軍にもノモンハンで大敗をしたので、中国の蔣介石を支援していたアメリカ、イギリスと段々と戦争をする可能性が出てきた。そこで、日本陸軍に舞い込んだ天佑神助といえるのが、ヨーロッパでのナチス・ドイツ軍の快進撃だ。大日本帝国、特に日本陸軍はドイツ軍がヨーロッパで快進撃をおさめているニュースに大喜びして、駐ドイツ大使だった陸軍中将の大島浩は、

「ヨーロッパはイギリス以外はナチス・ドイツ領かドイツと同盟しているか親ドイツの国だけだから、ヨーロッパの戦争でヒトラーのドイツが勝つのは間違いない」

と、1940年夏に日本に報告をした。でも、この後、ヒトラーは1941年夏にソ連侵攻のバルバロッサ作戦を始めるから、必ずしもナチス・ドイツが有利というわけではなかったのだけど。

 

とにかく、歴史的事実として日中戦争が失敗していたので困っていた日本陸軍は、すぐにキリスト教国家のナチス・ドイツとイタリアとの軍事同盟に飛びつき、1940年(昭和15年)10月に日独伊三国軍事同盟が結ばれて、その後、フィンランド、ブルガリア、ルーマニアなどのキリスト教国家も日本との軍事同盟に参加した。この軍事同盟はどちらかというと、日中戦争が失敗して困っていた日本の方がヨーロッパで快進撃をしていたナチス・ドイツに泣きついたという感じである。だから、大日本帝国が「キリスト教国家、欧米帝国主義国家からアジアを解放する」と宣言をした宣戦布告は単に建前論ということになる。これが、歴史的事実だ。

 

サラさんはこの歴史的事実をよく知っているから、反ユダヤ、反共産主義の希望の国として日本を選び日本語を勉強したのだが、多くの無学なネトウヨは枢軸国が形成された現実を知らず、あたかも日本軍独力でアメリカ、イギリス、フランス、オランダなどのアジアを支配していたキリスト教の諸国を退治したかのような幻想を抱いているから、サラとは意見が完全に一致しない。「日本第一党」の桜井誠なども「大日本帝国はアジアを解放した」という事実と違う主張をしているから、サラさんとは絶交状態になってしまった。

 

このように考えてみると、サラさんと意見が一致するのは日本の無学な右翼たち、特にネトウヨよりもナチス・ドイツを肯定的に研究している学者、あるいは「カンプフバリオン」みたいなナチス・ドイツ軍のレプリカ軍装品を売っている業者などになるだろう。既にサラさんは数人の日本人のナチス・ドイツ軍研究者、戦史作家と友達になっていて、そういう方々と一緒に仕事をすることも検討している。

 

僕の場合はサラさんと会う前から大のナチス・ドイツ軍ひいきで、連合軍が善人として描かれたハリウッド戦争映画、ホロコースト映画を見てはウンザリしていたから、ドイツ製の戦争映画の「Uボート」、「スターリングラード」(1993年版のドイツ製の方)、「ヒトラー最期の12日間」などを見ては、「同盟国のナチス・ドイツ軍はかわいそうだ。日本人とドイツ人は常にお互いを弁護しなければならない」と思っていた。だから、サラさんとはけっこう簡単に意気投合できたと思っている。

 

ハリウッド戦争映画といえば、まともな第二次大戦を描いた戦争映画は「史上最大の作戦」、「空軍大戦略」、「トラ、トラ、トラ!」、「遠すぎた橋」、「戦争のはらわた」などのごく少数作品で、「プライベート・ライアン」、「フューリー」などの映画については、この映画を制作をした監督が精神病なのではないのかと疑うほどのクソ作品だと思う。僕の知り合いの右翼思想のドイツ人友達たちも、全く同じことを言っている。

 

サラをガッカリさせた低俗な日本の右翼たちも、少しは日独伊三国軍事同盟、枢軸軍の意味の重大さをよく知った方がいい。日本は何も独力で連合国と戦っていたのではない。

 

動画は1941年3月にベルリンを訪れた松岡外相を歓迎するベルリン市民。

 

写真は日独伊三国軍事同盟の頃の日本人とドイツ人の交流の様子。第二次大戦開戦前にヒトラーユーゲントが日本を訪れた時のものもあるから、日独伊防共協定締結後にそれを祝っている行事のものもある.

 

https://youtu.be/cVw5I-6j-zI