いろいろと計画が進行しています。

なにが? というと。



 涼宮ハルヒのSS

 「機械知性体たちの輪舞曲」漫画化計画です。


 ここから始まる物語。

 雪の降る夜、ふたりはこうして出会いました。

 この先の過酷な運命を、ひとりは知らず、もうひとりは知りつつも……。


 これは予告編、第1ページ目となる予定です。

 以下、実際に描かれることになるABS氏の手による設定画集です。



 □『思索派端末』


                    


 SS本編に唯一登場した、思索派端末。

 この世界でのインターフェイス群の中で、もっとも初期に誕生し、現在までその記憶のほとんどを保持したままこの世界に存在し続けている、いわば古老のような彼女。

 光陽園学院に在籍しています。

 彼女の消失後、ほぼ入れ替わるようなタイミングで周防九曜が現れます。偶然の一致というべきか、助かったというべきか……。

 (前にも書きましたが、この設定は分裂発売以前に書かれたものでした)


 イラストのイメージどおり、「とても優しい」インターフェイス。

 言葉使いはぶっきらぼうでしたが、長門たちの行く末を見守り続け、その後の長門たちの行動制限を取り払うために、自分自身は消失することを選びました。

 彼女が消えてしまった際のエピソードのタイトルは「枯葉」。

 さまざまなことに疲れ果て、枯葉が枯れ落ちるように消えていく様をそのまま表したもので、今でも気に入っています。

 SS中で長門の書く私小説中の「とても優しい鬼たち」のひとりです。

 また長門の「誕生」を予言した唯一の端末でもあります。


 これ以降の独自設定の端末(インターフェイス)たちには名前はつけられていません。

 おそらく、今後もつけられることはないでしょう。


 左上はその登場シーンのイメージラフとなります。

 左下は、長門、朝倉、喜緑が「輪舞曲」にあわせて踊る姿を見守っている、というイメージのようです。

 文章だけのお願いでここまでイラストに起こしてくれるABS氏には驚嘆。



 □『静観派端末』/『折衷派端末』


                    


 右は静観派端末。

 SSにはモブとしてすら登場しない、セリフのひとつもないかわいそうなインターフェイス。

 縁の下の力持ち。現地での端末たちの目となっているという設定です。

 彼女自身は、自分のことを「あたりまえの人間」としか認識していませんが。


 彼女を主人公にしたSSがひとつ、すでにあったわけですが、データ消失に伴い完全にロスト。

 「貧乏長門物語」をベースにした、続編構想はその中にありました。

 古泉一樹との淡い交流があるんですが、発表はあるかないか微妙。

 あまりに暗い話なので、考え中です。


 左は折衷派端末。

 原作にも名前があがっている派閥のひとつです。

 SSではほとんど登場の機会はありませんが、漫画ではどうだろう。

 すごく気に入ってるデザインです。

 右下の耳年増な耳打ちをしてる表情が楽しい。

 お気楽、ご気楽。やる気があるのか判断つかない子です。


 続編構想では、長門に絡む、「体感年齢であればはるかに年上のくせに」後輩のような態度を取る、トリックスターのような役割となるはずでした。



 □『革新派端末』/各端末のデフォルメ


                    


 右はボスキャラ(?)、革新派端末。

 ものすごいクールキャラ。デザインが秀逸です。

 SS本編では「最終到達点」というエピソードで、喜緑江美里と相討ちになった、という設定。

 「輪舞曲」では無双の喜緑でしたが、唯一ライバルといえるのはこの革新派端末と考えていました。

 デザインしたABS氏によれば、「もっともインターフェイスらしいインターフェイス」を想定したとのこと。

 私情をはさむ余地はまったくなさそうです。

 

 左側はデフォルメキャラ群。

 みんなかわいいです。

 特に右下の2体、思索派と革新派がお気に入りです。

 ふんぞりかえるような改革派とか、らしくていいです。



 これで設定した8派閥のうち7つまでが確定しました。

 あとは漫画の方でどれくらい出番があるのか、ですが。

 つらつらと背景設定なんかを書き記します。
 書いた当時にはもっといろいろ織り込んで書きたかったけど、小説の形態で上手く表現するのはほんとうに難しいものだと感じたものでした。
 「機械知性体たち」というタイトルをつけた時、もっといろんな端末たちや思念体派閥それぞれの考えとかを書ければいいな、と考えていたんですが……。

 当然というべきか、これは自分が考えた二次創作設定であり、『涼宮ハルヒの憂鬱』の公式設定とはまったく無関係であることを書き添えておきます。



                 



※なお、掲載しているイラストは絵師『ABS』様のものを使用しております。

  この場を借りてお礼を申し上げます。


□【情報端末】

 彼らが自身のことを説明する場合、正式には「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス」という呼称を使用するのだが、SS本編では「情報端末」という言葉で表現することが多い。

 パラレルワールドなこの世界においては、長門有希たち三体が生まれるまでに、地球にはすでに一千機の端末が配備されていたという設定となっている。


 思念体によって作られた最初の一体は試験体として生み出された。その個体は、誕生直後に未来への同期を実施するのだが、その瞬間、涼宮ハルヒの能力発現時に発生した膨大な情報にさらされ、未知の情報を処理しきれずに破壊されてしまう。

 この事件によって、思念体は初めて涼宮ハルヒを認識した。

 試験体から得られた断片的な情報を元に、各派閥それぞれの意向を汲み取って再設計された「第一期情報収集用端末」たちは、おおよそ紀元前六万年頃、八体全機がアフリカ大陸に生み出された。

 本編に登場する思索派端末はこの第一期に創設されたシリーズの最後の一体。

 なお改革派端末は過去、派閥の影響力が著しく低下する事件により、主導する思念体の能力が失われていたため、ほとんど稼動することはなかった。



                   



 第一期端末たちに与えられた主な任務は、未だ類人猿の特徴を色濃く残す人類とのコミュニケーション手段の模索と、人類という種そのものに対する情報収集全般だった。

 紀元記にさしかかる頃には、情報統合思念体が必要としたデータはほぼすべて出揃い、それを元にした「第二期情報収集用端末」の配備が検討されるようになった。

 しかし、ここでひとつの問題が発生する。


 第一期端末たちは、それぞれの個体が人間の感情やその表現方法を適切に行えるだけの経験値を獲得するために、かなりフレキシブルな設計を施されていた。

 そのためか、思念体が想定していなかった環境対応プログラムを独自に組み上げ、それを許可なく搭載するものまで現れたのだった。

 このように、まったく予期していない被造物の行動に、思念体は衝撃を受けた。
 彼らは表向きは「反射行動に過ぎない」感情表現能力を獲得していくだけだったが、実態はそれ以上の何か――思念体では理解できない「ノイズ」と断定した不穏な情報群――を内部に蓄積していたのだった。


 やがて思念体の命令に対して反抗する個体も出現し始め、これを危険な兆候と判断した思念体は全機の廃棄処分を決定した。

 この廃棄処分について積極的賛成に回らなかったのは思索派と静観派のふたつの派閥だけだった。

 思念体全体の傾向としては、不気味な反応を見せ始めた自分たちの被造物の変化に対して、明確ではないものの脅威を感じていたのではないかと思われる。


 思索派は最後までこの廃棄処分については無関心のまま同調することはなく、派閥の意思を体現した「結果を出さない」という、独自の思考形態を得るに至った自身の端末を消去することはなかった。
 だが、残りの七体はすべて抹消処分となる。この抹消を行ったのは他でもない、思索派端末だった。
 経緯については割愛するが、同じ時間を共有した仲間を自分の手で消し去ったという事実によって、思索派端末がどのような情報を得たのは定かではない。

 以後、思索派端末は二千年ほどに渡る時間、新たに配備された情報端末たちと接触することはあったようだが、基本的に独立端末として世界を放浪し、「彼女」独自の世界観を構築していった。


 そして――彼女は長門有希に出会う。



□【端末群】



                



 各情報端末は『端末群』と呼称されるひとつのユニットを形成して活動している。
 それらは通常三体で構成されており、それぞれが以下の役割をもって任務にあたっている。


・PrimaryDevice(プライマリ・デバイス)/PD(主導端末)

 例・長門有希
・SecondaryDevice(セカンダリ・デバイス)/SD(補佐端末)

 例・朝倉涼子
・ReserveDevice(リザーブ・デバイス)/RD(予備端末)

 例・喜緑江美里


 基本的に主導端末の行動を、補佐端末がその指揮権限内でサポートし、この二体になんらかの障害が発生すると予備端末が補佐端末へと「昇格」する。必要があれば、そのような事態にならなくても三体全機が行動を共にすることも想定されている。

 通常は同じ派閥の端末だけで構成され、グレードⅡクラスの端末が主導端末となり、それをグレードⅢの低級端末たちが補佐する形が一般的である。

 この形式を考えると、SS本編の「グレードⅠクラスだけで編成された特殊端末群」がどれだけ異常な事態であるのかを伺うことができる。


 また、この基本編成以外に、ごく稀ではあるもののバックアップを伴わない、一体でのみ活動を行う端末も存在している。


・Standalone(スタンドアロン)/SA(独立端末)

 例・思索派端末、のちに長門有希、喜緑江美里


 「消失事件」の後、長門、喜緑はこのコードを与えられることになった。



□【情報端末支援システム】

 思念体本体と各端末とを中継する支援システム。
 特に大きな情報制御などが申請される場合、実際に情報操作を行うのはこのシステムである場合が多い。
 SS本編中では触れることはなかったが、「月」そのものが端末支援システムだった。

 同時にこのシステムは、人間と同じ次元に低級下した(ヒトと同様に言語情報を基本として接触しているため)端末たちの得た情報を、言語を持たない思念体に理解できるよう、さらなる解析を行うという役割も果たしている。

 SS本編の最後で、長門は意図的にこの端末支援システムを経由せずに、直接「言葉」で主流派思念体とコンタクトを行っているが、これは相当の例外事項であり、通常の端末がそもそもこのような行動をとるとは考えられていないものだった。


□【グレード】

 また、それぞれ別個に格付けのようなものが存在し、それは「グレード」と呼ばれるランクで管理されている。


・グレードⅠ
 独立、単体行動が可能な特殊な端末。
 独自の判断により活動可能。派閥の意見を代弁する執行者のような存在。
 ある意味、派閥の意思そのものの体現者のようなもの。
 長門や朝倉、喜緑、思索派端末がこれにあたる。
 八派閥それぞれの端末が存在するが、基本的には一世代に一機のみ。ただし改革派端末は休眠状態のままでいるようだ。
 (改革派は「ミステリックサイン編」で語られた過去の広域帯宇宙存在との接触で力を失ってしまっている、というのがこの世界)

 この「輪舞曲」の世界では一つの計画にこの高度情報端末を三機投入という、異常な状況で物語はスタートしている。
 SS本編内で思索派端末がそのあたりの事情をごく簡単に説明していた。


・グレードⅡ
 ある程度の自律行動は可能ではあるが、基本的にはグレードⅠ端末の補佐にあたる。
 『最終到達点』で登場した四十体以上の端末たちはすべてこのクラス。
 長門が苦戦するくらいには強力だった、という設定。


・グレードⅢ
 情報収集、観測が主任務という設定の広範囲配置用端末。
 ヒトの形を持っているが、積極的に介入するようなことはまずしない。
 ごくまれに暴走する、らしい。



□【派閥と端末】

 この世界における情報統合思念体主要派閥は全部で八つ存在し、それぞれが執行者ともいえる高度情報端末(グレードⅠデバイス)を保有している。
 行動原理の項目では『現在地点Aから観測点Bへ移動を実施する』という仮定の事案に対する、各派閥の基本的なスタンスを解説している。



□『主流派/実行権限保持派閥』


『行動原理』

 我々は観測点Bへ移動することを宣言する。
 なお、意見のある派閥は速やかにその意見を表明せよ。


『解説』

 最大の勢力を誇る思念流。思念総体の意思決定は常にこの派閥の意向に沿う形を取る。
 実態は以下の補完思念からなる六派閥の意見を、折衷派がまとめあげたものが主流派の意見となる。そういう意味では人間で言う「無意識層」のようなものなのかもしれない。
 誕生当初はこの思念流しか存在しなかったが、情報を獲得していく内にさまざまな思考を持つ派閥に分化していった。
 のちに、もっともユニークな情報端末となる長門有希を創造した。


『代表端末(グレードⅠデバイス)』



                    


 長門有希のこと。
 現在配備されているすべての情報端末たちの中でも桁外れの情報処理能力と、それを可能とする内部情報領域(記憶領域)を与えられた端末。
 もっとも、彼女に与えられた経験値はゼロに等しく、対人類コミュニケート機能を完全に削除された状態で地球に降ろされた。

 これは、すべての情報を現地で収集しすることによって成長していく過程そのものが、今計画に必要だったためである。


 本来は計画を立案した急進派端末がその任を負うべきだったが、急進的な補完思念派閥にこれを託すことを良しとしなかった穏健派の意向によって、主流派がこれを代行する形になった。
 急進派はその任を譲るものの、バックアップという形でこの計画を推進させるべく朝倉涼子を創造し、計画に投入した。
 朝倉涼子の「おせっかいで世話焼きな同級生」というパーソナリティは、こういった事情で確立されたものである。

 自律進化探求計画一番機として最初に作り出された。思念体全体としては一〇〇一体目の端末。
 強固な自我を持ち、どのような環境、状況に対しても冷静に対処し屈することがないように設計されている。

 朝倉涼子や喜緑江美里などからは「頑固者」という評価で揶揄されることがしばしばあり、本人も気にしていたりする。

 この世界で初めて他者を愛することの意味を知った情報端末。



△『急進派/革新』


『行動原理』 
 観測点Bまで、可及的速やかに移動することを進言する。
 なお、途中障害がある場合はこれをいかなる手段を用いても排除せよ。


『解説』

 朝倉涼子を輩出した。
 今回の「輪舞曲世界」における「無からの創造能力探求計画」を提起した。
 総体意識の目標を速やかに達成するべく行動する。
 言うなれば短気で、思慮に欠けるが決断力はどの思念体よりも強い。
 以下の革新派、改革派と同傾向の意識体。
 朝倉涼子の独走とも言うべき異常行動の動機については、とうとう把握することはできなかった。
 勢力としては革新系の中でも最大規模の派閥という設定。


『代表端末(グレードⅠデバイス)』


                    

 朝倉涼子のこと。
 自律進化探求計画二番機。投入はもっとも早く行われた。長門有希の地球出現の一ヶ月前に配備されたのは、事前に環境整備を整えることと、涼宮ハルヒの周辺環境に関する情報収集を行うためだった。
 長門有希を全面的にバックアップするというのが表面上の彼女の任務だが、実際には長門の中に、これまでに思念体が得た人間の情動、内面情報を自然な形で植えつけることが目的だった。


 当初から不安定な動きを見せていたが、少しずつ行動そのものに逸脱行為が見られるようになり、最終的にはこの「輪舞曲」の世界を作り上げてしまう「自己情報を新たに創造した時間平面へ退去させ、すべての行動をやり直す」という、単体端末では考えられない異常な改変を実施してしまう。

 数百万年に渡る長門への情報供与行動を続けていたが、すでに内面は自我崩壊の危機に直面しており、機能停止寸前のところまで追い詰められていた。


 なお、SS本編で語られる「愛を教える」という一連の動作は、結局のところ、人間が行っていた行動をそのままコピーして実行していたに過ぎず、彼女自身がそれを本質的な意味で理解するのは「長門が迎えに来る」その時を待たなければならなかった。



△『革新派/革新』


『行動原理』

 観測点Bまでの移動について、その意義を再度検討するべきである。
 より取得情報量が多いと予想される、非確定地点B´への移動を提案する。
 
『解説』

 もっとも先鋭的な意見を持つ。
 当初、ここの端末がラスボスだった。
 名残はSS本編『最終到達点』で最後に喜緑江美里と刺し違えた最後の一機。
 現在の統合思念体の中では世界への介入をもっとも推進している思念体。
 その思考の飛躍の大きさは総体意見の中でも評価は別れるもので、急進派ほどの勢力を持つことはなかった。


『代表端末(グレードⅠデバイス)』


                   
                  

 「消失事件」後、長門有希から得られた新たな情報を得て、独自に広域帯宇宙存在(現在呼称は天蓋領域)との接触手段を模索している。
 情報端末の中でも喜緑江美里に匹敵するほどの強度情報で組成された個体であり、折衷派端末の指揮権限を唯一キャンセルできる特殊なキーコードを密かに保有している。
 自身にとってもっとも脅威となり得る穏健派端末、喜緑江美里の動向を非常に警戒している。

 「輪舞曲」の最終話以降、物語は原作である「涼宮ハルヒ」シリーズから大きく逸れ、この革新派端末を中心とした対周防九曜(または天蓋領域)とのコミュニケーションという戦いが繰り広げられる。



△『改革派/革新』


『行動原理』

 観測点Bへの移動に関して、より効率的な移動ルートを検討するよう提案する。


『解説』

 「エンドレスエイト編」で無力化された経緯が説明された。
 現在の状況、思念体の動向を常に監視し、効率化することを第一義としている。
 今では上記の事情のため、発言力はほとんど残されておらず、いまだ回復できないままでいる。
 端末も存在はするものの休眠状態という設定だった。
 この派閥の衰退により、現在の情報統合思念体は「高効率化」機能が低下している。
 そのために長門を中心とした端末そのものによる自律進化探求計画という、いささか非効率的と考えられる計画が認可されてしまう。
 
『代表端末(グレードⅠデバイス)』


                   
                    


 広域帯宇宙存在により壊滅的な被害を受けた改革派ではあるが、いちおう端末そのものは保有しており、地球に配備もしている様子。

 稼動させているかどうかについては不明のままである。



▽『穏健派/保守』


『行動原理』

 観測点Bへの移動には細心の注意を払い、性急な行動は慎むべきである。
 そのためにも情報を幅広く、正確に得る必要がある。
 なお、移動そのものについてごくわずかでも危険性が予想された場合は、計画そのものを一時凍結し、再審議するよう「提案」する。


『解説』

 喜緑江美里の所属派閥。
 情報収集に余念なく、その中でもっとも「安定化された未来」を望む派閥。
 急進派、革新派の打ち出す方針を抑制するべく動いているようだ。
 混沌とした未来をもたらす存在には、喜緑のような抑止装置を送り込むという凶暴な部分も持ち合わせる。
 以下の静観派、思索派と同傾向の意識体。保守系派閥の筆頭。


『代表端末(グレードⅠデバイス)』



                     



 喜緑江美里のこと。
 自律進化探求計画三番機。監視、または異常事態に対応するための強制執行権限を託された特殊情報端末。そのために、これまでに思念体が得たすべての接触・戦闘経験を移植されている。

 事実上、この物語世界における最強の情報端末。単独で彼女に拮抗できる能力を保有するのは、唯一、改革派端末のみとされている。
 特殊情報端末群の三体の中では長姉と目されることが多い。生体年齢設定がほかの二体よりも上であるのが理由のひとつだが、おそらくは庇護者としての自覚を自身に任じていたことも大きいのだろう。


 投入はもっとも遅く、長門の配備から一ヶ月後に地球に現れた。

 先行した二人の端末を注意深く観察し、その情報を思念体に報告する義務を持つ。また何か異常事態が発生した場合には、独自の判断により介入することが許可されている。

 今回の急進派の計画に危険性を感じていたこともあるのだが、もともと穏健派は端末を直接涼宮ハルヒの周辺に配置することに難色を示していたものと思われる。

 おそらく彼女の影響力の強さを危惧したものと思われるが、実は主流派、急進派双方はその影響力そのものに期待していた節も見受けられる。
 (SS本編中で思索派端末の言う「彼女はあなたを哀れな存在と感じていたのかもしれない。だからこそ変わって欲しいと願ったのではないか」という推論がそれにあたる)


 さらに長門有希の内部情報が涼宮ハルヒの世界改変能力を獲得し、その上で予測不能な(かつ思念体には理解のできない)行動を実行に移すと判断された場合には、喜緑江美里が指揮指導端末として再設定されることになっていた。

 その際にはすべてのグレードⅠ、グレードⅡ端末が彼女の指揮下に入り、暴走した長門有希の抹消を実行するという、いわば裁定者としての役割も与えられていた。


 誕生当初は任務に異議を唱えることもなく、淡々こなしていたようだが、計画初年度の七月七日の朝倉涼子の抑制行動後、彼女と行動を共にすることにより少しずつ内面が変化していく。

 そして朝倉涼子消滅のその日、すべての後事を託された喜緑江美理は彼女との約束を遂行するべく、以後、長門有希の守護者としての立場を崩すことはなかった。



▽『静観派/保守』


『行動原理』

 我々は観測地点Bまでの移動経緯を観測する。
 得られた情報については、随時、各派閥へと通達する。

 なお、各派閥に対して情報供与以外の干渉は望むものではない。


『解説』

 その名の通り、状況に対する干渉を最も嫌う派閥。
 観測することですらも対象に影響を及ぼすことから、情報端末の創造についてはやや懐疑的な態度を取っていた。
 それでも人類、のちに涼宮ハルヒという特異な対象に対しての興味は抗いがたく、北高に「誰からもその存在を認識し続けることができない」端末を送り込んでいる。


『代表端末(グレードⅠデバイス)』


                   
                    


 『機関』の能力者(ヒトメボレLOVERSに登場した中河のような)からは探知されず、また他の端末からも認識できない高度な隠匿能力を持つ。また、派遣端末群の中でも最大の情報収集、広域探査能力を誇る。
 彼女は自分自身が端末であるということを知らされておらず、ただSOS団を遠巻きに見ているひとりの女子高校生という認識のままでいる。



▽『思索派/保守』


『行動原理』

 観測地点Bへの移動にどのような意味があるのか。
 また移動すること、そのものにもどのような意味があるのか。
 そもそも、なぜ我々は移動しなければならないのか?


『解説』

 得られた情報をただひたすら検討することを望んでいる。
 他派閥の動向にもほとんど関心がなく、急進派、穏健派の間に起こる意見衝突すらも思索の材料に過ぎない。
 最終的に得られる解答という存在をまったく信じておらず、どんな結果も起こり得る(または起こり得た)選択肢の中のひとつでしかない。


『代表端末(グレードⅠデバイス)』



                    
                   


 SS本編に登場。光陽園学院生の身分を得て配備されている。


 涼宮ハルヒの観測計画には直接的には関与していないが、ごく初期から地球に滞在し続け、経験値だけでいうならどの個体よりも豊富だったこともあり、オブザーバー的に発言権を与えられ、距離を置きながらも計画の行方を注視していた。

 他の派閥のグレードⅠ端末と比べ、機能的に汎用性に富むことが特徴。

 第一期端末ということもあり、さまざまな状況に独自に対応する能力が求められたためと思われる。

 今の端末群にはここまでの「バブル仕様」な機能過剰装備をする個体は少ない。

 長門との接触の際に情報制御空間を構築するが、高度機能体の長門から見ても「密度、強度、精度の高さ」はずば抜けていたという記載がある。

 喜緑江美里でさえも突破に相当の時間をかけていることからも、その情報操作能力の高さは群を抜いていたものと思われる(もっともその制御空間も突破そのものを阻むこと自体はできなかったわけで、喜緑江美里の情報操作能力は非常に高いものだという証明ともなった)。


 SS本編ではどのような思考の「結果」なのか、長門有希に対して情報供与を行い、暴走と判定されたために思念体より抹消処分を受けた。
 彼女との最後の思考リンクによって得られた擬似情動情報を汲んだ長門は、「消失事件」後の世界改変修復時に、あえて消滅した思索派端末を再生しなかった。


※蛇足ですが、SSで彼女が登場したのは「分裂」が発売される前のお話です。
 「光陽園学院」「長い黒髪」「女性の端末」が、そのまま周防九曜と被ってしまって異様に慌てたという記憶があります。

 

○『折衷派/統括・調整』


『行動原理』

 全員の意見に耳を傾ける。
 過度な行動は危険ではあるが、停滞もまた望むところではない。
 あまりにも意見が錯綜した場合は、我々で判定した判断基準により意見採択を実施する。
 この決定を拒絶することは許されない。


『解説』

 上の革新派系派閥と保守派系派閥の意見をまとめて主流派に渡す意見調整役のような思念流。
 多重人格者でいうところの「キーパーソン」。


『代表端末(グレードⅠデバイス)』

            
                  

 他の端末たちの直接指揮権が与えられているという設定。
 ごく初期の構想では長門有希の参謀として配置される予定だった。
 すべての派閥の端末たちの動向を監視し、場合によっては強制介入できるだけの権限を持たされている。
 パーソナリティはお気楽で、中性的な雰囲気を持つ少女。
 八大派閥の高度情報端末の中ではもっとも若い生体年齢を持たされている。だいたい十四歳程度と見られる。
 各端末の同期許可キーコードの管理も彼女の受け持ちである。




 ――このようにTFEI端末たちが主人公となるこの世界では、ハルヒや、未来人組織、『機関』たちはその発言力を著しく弱めています。情報生命体たちの比重が強くなりすぎ、バランスが狂いつつある、まったく別の世界となってしまったというのがこのSSの世界観となっています。

 はじめまして。


 某大型掲示板で二次創作小説などを発表していました。

 それと同系統ではありますが、違うものが書けたらここに掲載していきたいと思います。

 今までも、まとめサイトさまのwikiに掲載させていただいていたのですが、要するにオリジナルの要素が強く、二次創作というにはあまりにもかけ離れた内容になってしまうので、掲示板の方で書くのはどうかと。

 それがこのサイトを立ち上げた理由のひとつです。


 まだ内容は未定ですが、情報統合思念体と、彼らが生み出したインターフェイスたちの物語を書こうと考えています。


 いちおう、その基本となる自分の作品の説明です。


『機械知性体たちの輪舞曲』 (まとめていただいているサイトさんへのリンクです)


 『涼宮ハルヒの憂鬱』という物語を、脇役のひとりである長門有希の視点で書いたらどうなるだろう。それが発端です。

 某大型掲示板の『長門スレ』というキャラクター個別スレッドに、2007年1月から6月までの約半年に渡って連載していました。

 自分にとって初めて最後まで書き上げることができた小説であり、読み返すとその恐ろしいまでの稚拙な文体に身もだえすることしきりなのですが(今でもあまり変わらないけど)、ある程度の修正を加えたあとは今ではほとんどいじっていません。

 反省材料という自戒以外にも、楽しんで書いていた当時の記念という意味も込めて。


 もともとは『朝倉青鬼説』という、真偽が定かではない大変興味深い考察を題材にしたあるSSを読んだあと、自分にもこのような作品を書いてみたいと考えるようになりました。

 その後、SSというものが他にも多く存在することを知り(本当に無知でした)、いくつかの作品を読むことになります。

 もちろん、涼宮ハルヒのSSとしては代表格となる『涼宮ハルヒの微笑』も読んでいます。これも影響は大きかった。


 こうして、簡単なプロットだけを考えたあと、SSの投下が始まるのですが……。

 その際に、かなりのオリジナル要素を盛り込んで(あとで知るのですが、二次創作では大変危険な行為でした)、独自の世界を設定してしまいます。


・長門たちをはじめとした端末たちの関係性。

・名前だけが登場する「派閥」の定義づけ。

・その「派閥」の端末たちを設定。この作品中には思索派しか実際には登場しませんでしたが。

・情報統合思念体の組織形態の創造(もはや想像の域)。

・対立する「広域帯宇宙存在」との二極化する世界(ミステリックサイン編に登場するのはそれが理由です)。

・etc……。


 こうした一連の設定を脳内補完し続け、情報統合思念体の思惑の中でもがき続ける、ヒーローとしての位置づけの「長門の物語」を構築することになりました。ヒロインはもちろん朝倉涼子ですね。

 一応完結までこぎつけ、その後はSSの発表はほとんどしていませんでしたが、上で設定した諸々が時折頭の中で動くことがありました。


 SS中では「出すか出すまいか」をずっと考えていた「他派閥の端末たち」の存在です。


 二次創作での禁則事項の中でも、おそらく最大級のタブーであるだろう「オリジナルキャラクター」。

 唯一登場させることになった思索派端末ですら、とうとう名前を出すことをさせませんでした。それくらい配慮していたわけです。

 ……ここまでオリジナル設定を組み込んでおいて何を言い出す、という感じではありますが。

 さすがにまとめwikiなどに掲載するのはどうかと考え、個人ブログ上で発表する分には……いいかな、と。


 それが今回のブログ設立の経緯です。


 もしかしたら企画倒れとなってしまうかもしれません。ただ、もうひとつの計画が進行しているので、そのための発信拠点としも一応作っておこうということで。


 ……実はブログなんて初めてなので不安がいっぱいなのでした。

 では。