「聖徳太子の歴史を読む」(2008年、文英堂発行)表紙カバー
田中嗣人氏にいただいたサイン
この日、午後2時からは、いかるがホールで華頂短期大学教授の田中嗣人氏による「聖徳太子信仰―資料からみた太子―」と題した講演を拝聴しました。
田中氏の講演は以前、田中氏の発表された「聖徳太子伝の整理」と題した論文を読ませていただいていたので、とても楽しみにしていました。
会場では田中氏の「資料からみた太子信仰の成立」という文も載せられている「聖徳太子の歴史を読む」を購入し、講演終了後、ロビーで田中氏のサインをいただきました。
この日の講演で一番興味深く思ったのは、法隆寺金堂釈迦三尊像光背銘に関しての話でした。
田中氏が、その事について書かれたコピー資料をいただきましたので、その内容を抜粋して紹介させてもらいます。
本光背の周縁部には左右それぞれ十三個ずつの長方形の柄穴が穿たれていて、本来は甲寅年銘釈迦像光背(東京国立博物館蔵)にみられるような透彫の奏楽飛天がとりつけられていたようで、その復元的考察から、本光背は、本来、半丈六像のために製作されたもので、おそらく釈迦三尊像の光背に転用する際に、等身像に合わせるため光背下端部が切断され、飛天も取り払われたと推定されるので、本光背銘に「尺寸王身」(等身の意)と見えるのはきわめて不審で、本造像銘は追刻の可能性が強い。