フグには毒があるため、食べるのをためらう人も多いでしょう。でもおいしくて柔らかい肉質に、食いしん坊の人々の多くは危険を冒しても食べたいと思うようです。日本では消費者の安全を守るため、料理人はフグ調理師の免許を取得しなければフグの調理をすることはできません。フグの劇毒を取り除くこともすばらしい技術ですが、フグ料理を作ることはさらにすばらしい芸術と言えるでしょう。フグを半透明に薄く切り、お皿の上に華やかに咲く牡丹の花びらのように並べた華麗な「フグ刺し」は私にとってたいへん印象深く、気持ちが強く惹きつけられ、劇毒のことなど心から雲散霧消してしまいました。高たんぱく、低脂肪で、甘くてやや弾力性のあるフグの肉を酢に付けて食べると、たまらないおいしさです。昆布やフグの骨を煮だして作った出汁にフグの肉や青菜を入れて作ったフグ鍋(フグちり)、あるいはフグの肉に小麦粉を付けて揚げたものなど、どんな料理もとてもおいしく、さらにフグのひれ酒を飲めば、フグ料理のフルコースとなります。あ~、本当にこれ以上の幸せはありません。 日本語では「河豚」と書いて「フグ」と読みますが、フグが集中する山口県下関では、「フク」と呼びます。これは「福」と発音が同じなので、福を招くという意味があるのです。明治時代に、下関は日本で最初にフグを食べることが許された場所で、日本全国や海外からの天然フグと養殖フグはすべてここに集まりました。フグ料理の販売が最初に許された店は、下関市の春帆楼だと言われています。ついでに言うと、フグの総消費量は大阪が6割を占めており、この数字から大阪人がいかにフグを愛しているかがわかります。 フグを食べたい、あるいは買いたいという場合は、下関の唐戸魚市場へ行ってみてください。ここは1933年からフグの卸売をしている、日本最大のフグ市場で、新鮮で安くておいしいフグが買えることを保証しています。下関と言えばフグと言えるほどで、この街に来ることはフグの世界に来ることを意味します。街ではとてもおいしいフグ料理の専門店がみなさんが食べに来るのを待っていますし、お土産品でも、路上の下水道の蓋でも、店の看板でも、様々な商品の包装でも、フグの図案がないところはないぐらいです。中でも、フグの皮を加工して作った、フグが膨れた様子を表現した可愛い伝統工芸品「河豚提灯」や、下関の郷土玩具「河豚笛」は、とてもよい記念品になります。 下関の名物には、フグ、蟹、イカ、ウニ、アンコウの五種があります。2月9日の河豚の日にここに来れば、恵比寿神社で行われる賑やかな「ふくの日」の祭りを見ることもできます。(哈日杏子執筆、撮影) |
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