「佐川男子」がベストセラーに | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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「草食男子」とは、数年前に日本で生まれた新しい言葉で、中国語では「花美男」と翻訳されている。文字通り、草食動物のようにおとなしくて優しい男性を指す。草食男子の多くは繊細で優雅で、礼儀正しく、現代社会特有の中性的な美を感じさせ、力強さを感じる男っぽさをあまり持っていない。ここ数年来、特に東アジア各国では、日本でも中国でも韓国でも、草食男子はその優しく癒されるようなイメージで、芸能界やファッション界などの世界で流行している。

「佐川男子」は、それとは正反対だ。「佐川男子」とは、日本最大の宅配便会社の一つ、佐川急便に所属するドライバーたちである。2012年8月11日、「佐川男子」というタイトルのちょっと変わった本が出版された。この本は、佐川急便の約3万人のドライバーから50人を選び、彼らに取材して、仕事の流れや昼食、制服の秘密など、公私にわたる様々な情報を紹介したものである。選ばれた50人のドライバーは、みな明るい雰囲気の若い男性で、佐川急便の青と白のシマの制服を着ており、レンズに向かって微笑む人もいれば、うつむいて仕事をしている人もいる。多くの写真は、宅配便の梱包や、貨物の積み下ろしなどをしている時のものである。


よく、まじめに働いている男性は最も魅力的だと言われる。「佐川男子」は正にこのような汗水たらして働く男性のイメージを示しているのだ。草食男子と違って、彼らには働かずにのんびりしている文学青年のような雰囲気がなく、積極的に向上しようとするホルモンが満ち溢れ、青春と活力が本のページから立ちのぼるようである。草食男子が大いに流行する現代にあって、まじめにがんばり、苦労もいとわず、労働を楽しく、自分が当然すべきことと考えている佐川男子たちは、爽やかな風のように、女性たちの心をたちまちのうちにつかんでしまった。8月11日に初版が発売されてからわずか二週間ほどで、「佐川男子」は約2万冊を売り上げ、近日中の重版が決まっている。それだけでなく、9月下旬には、本に登場した50名のうちの5~7人が、新宿のある書店でサイン会を行うそうだ。


さて、佐川男子のダークホースのようなあっという間の流行は、草食男子の時代がもう終わったことを意味しているのだろうか?筆者はこの問題について数名の女性に尋ねたが、得られた回答はみな大体同じだった。草食男子は白馬の王子様で、芸能人やモデルなどであり、女性たちが夢を託すのにはこれ以上適した存在はないが、佐川男子は現実の中の理想の恋人であり、誠実でまじめで堅実で、もしこんな男性と人生を共にできたなら、どんなに幸福で安心できるだろう、というのである。













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飛鳥新社/佐川男子 http://www.asukashinsha.co.jp/book/b102742.html