「与件文の特定のフレーズに極端に反応してしまうことがある」の具体例が今日の下段に掲載する回答です。
7段落目の記述、「顧客から注文が入ると、受注窓口である社長と常務から、担当する製造部の作業者に直接生産指示が行われる。顧客は古くから取引関係がある企業が多く、受注品の多くは各顧客から繰り返し発注される部品である。そのため受注後の加工内容などの具体的な打ち合わせは、各機械を担当する作業者が顧客と直接行っている」
私は、この赤文字の「繰返し」に極端に反応しました。解答のヒントはこれ以外ないだろうと思ったわけです。
スーパーチェーンの本部に勤務していた頃、電話・FAX発注をEOS発注に全店切替えた経験があります。
変化を嫌がる店長や主任を説得し、パートのおばさんに懇切丁寧に説明し、発注トラブルがあった時など、本当は店舗側の操作ミスなのに、ミスを指摘しつつも「ちよっとわかりづらい操作でしたかねえ」などと、なだめすかし、安定稼動するまで本当に大変でした。
そんな実務経験があるため、繰返しの発注には、定型化しかないでしょう!!
と思いついたわけです。
繰返し発注には、対策としてEOSが最も適当であると思いますが、C社のレベル感から考えると、定型フォーマットで、必要項目にチェックする方法が妥当であると考えました。それをFAXしてもらうわけです。
このときに、実務経験ではなく、一次知識で考えれば、CADデータの活用が思いついたのではないでしょうか。
2段落目、「現在の社長は、創業者である先代社長から経営を引き継いだ。10年前、CAD等のITの技能を備えた社長の長男(現在常務)が入社し、設計のCAD化や老朽化した設備の更新など、生産性向上に向けた活動を推進してきた。この常務は、高齢の現社長の後継者として社内で期待されている」
ここにCAD化と、ちゃんとヒントが書いてあります。
しかも、設問文の制約条件として「現在の生産業務を整備して」とありますので、生産業務に関することを書かなくてはいけません。しかし、私が回答として書こうとしたのは、FAX受注化であり、受注業務のことです。
ただ、「受注後の加工内容などの具体的な打ち合わせは、各機械を担当する作業者が顧客と直接行っている」という記述から、生産業務担当者が受注業務を行なっていることは明白です。しかも、ここの与件文の書かれ方は、絶対に解決しなければならない書かれ方です。
そこで、生産業務担当者が行なっているのだから、しかも、「現在の」とまで書いてあるから、現在の生産業務に受注業務が入っているから、これを改善してやることが、余力を生み出すことになるだろう、と考えたのです。
今、振り返ると、一次知識の活用でCADデータの活用が最も適当かなあ、と思ってたりもします。(ただし、このときの開示得点は69点だったので、もしかしたらこの答えでも得点をゲットできた可能性もあります。)
しかし、私の思考回路は、一次知識より実務経験が優先してしまう時がままあります。
この試験は一次知識から考える試験であると、十分にわかっており、その訓練を積み重ねているのですが、ふとした拍子に実務経験の悪魔が心を支配してしまうのです。
みなさん、特定のフレーズが、思考回路を支配してしまうことがありますので、十分に注意してください。テレビ番組で催眠術にかけられて悪ふざけしているように見えるときがあります。あんなものでしょうか。
実務経験の悪魔に思考回路を支配されそうになったら、一次知識の天使に助けを求めるように心がけてください。
ここで久しぶりにお得意のフレーズいきます。
二次試験は料理コンテスト、冷蔵庫にある材料で(与件文)、調理知識を駆使して(一次知識)、よりおいしそうな指定料理を(回答)、作りましょう。
応援よろしくお願いいたします。