『思い出せない夢のいくつか』平田オリザ 作演出
兵藤公美 大竹 直 藤松祥子
3月10日 駒場「アゴラ劇場」にて
平田オリザ演劇展vol.6「思い出せない夢のいくつか」についての感想などを。
私がオリザさんの存在を知ったのは多分TBSラジオ「タマフル」で相田和弘監督「演劇1.2」の特集にて、ゲストに出演された時だったと思う。2012年だから幕が上がるプロジェクトが進行し始めた頃か。
この当時オリザさんを語る言葉に「静かな演劇」というワードがあり、どんな演劇なのか興味がわいた。けど実際青年団の芝居を見るのは、幕が上がるでももクロと組むことが発表された後、2015年舞台版「幕が上がる」の直後、「冒険王」と「新・冒険王」の2本立てだった。
衝撃を受けた。
こんな面白い芝居があるのかと。
そして、舞台版「幕が上がる」でも感じた、青年団の役者の皆さんの演技のうまさ。けど、「静かな演劇」とは思わなかった。会話は弾むし、感動的なストーリーもある。
それ以降も特に新作は「静かな演劇」とは違う方向に向かっているのかなという印象も受けていた。
けど、今回の「思い出せない〜」はまさしく静かで、静寂も続き、客席でお腹が鳴る音が響き渡るほど静か。会話の間もたっぷり。この静寂がこの演目の肝なんだろう。3人の生死さえもあやふやで、ふわふわしつつぴんと張り詰めてもいる空気。この先、この3人はどこへ行くのか、あるいはどこへも行かないのか、行けないのか。
安井が貴和子にやや無理矢理リンゴを食べさせるシーンのエロチックさや、この二人のやりとりに見え隠れする性的な匂いにもドキドキする。
今から25年前に書かれた本の25年振りの再演。3人の役者も素晴らしかった。
