8千億円の預金がすべて消えたアルネ! | 情報は自分で習得し、自分で判断する

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習近平も驚く「中国銀行『預金が消えた』」大騒動の“全深層”… まさか「中国共産党」の“核心問題”に発展も!

福島 香織

 

中国で「預金が消えた」… いったい、なぜ?

突然、銀行から預金が下ろせなくなる。 自分の銀行口座が消失する。

そんな銀行の異変が4月中旬から、中国の河南、安徽などで発生している。 しかも、この問題で預金者が騒ぎ出すのを防ぐために「ゼロコロナ政策」のための健康管理アプリなどを利用してコントロールしたという“新たな問題”まで発生し、大騒動に発展している。

 この「預金消失」事件については、6月18日になって、容疑者としてこれら銀行の株主である河南新財富集団にガサ入れが入り幹部多数が逮捕され、中国メディアでも報じられるようになったが、果たしてこうした問題は、偶発的な一企業の不正事件にすぎないのだろうか。

 第一財経や裕豊財経などが詳細に報じているので参考にしつつ解説すると、4月18日ごろから、河南省や安徽省の複数の村鎮銀行(旧農村信用社)が第三者のインターネット金融プラットフォームを通じて作った口座などの預金が消える事件が相次いだ。

 具体的には百度傘下の「度小満」、小米傘下の「天星金融」、中国人寿ホールディングスの「濱海国金」などを通じて、村鎮銀行の預金商品を購入したケースだ。

 

被害総額は「400億元」へ…!

「消えた」口座預金が最も多い四つの村鎮銀行は、河南禹州臣民生村鎮銀行、上蔡恵民村鎮銀行、柘城黄淮村鎮銀行、固鎮信淮河村鎮銀行。 被害総額は初期の推計で40万口座以上、400億元に達する模様だ。 ある温洲商人は年利9%の高利率にひかれて、4000万元の資金をこれら銀行の預金商品に投じていたという。

5月になって、預金者たちは数百人単位で河南鄭州の銀行保険管理監督委員会の周りで、手に「貯蓄を返せ」の標語プラカードなどをもってデモを行うなどの行動に出始めたが、地元警察に追い返されたりした。 この件についてはブルームバーグなど一部外国メディアも報じていた。

 さらに、こうしたデモ、抗議活動を防ぐために、新型コロナ感染予防のためにダウンロードを義務付けられている健康コードアプリを利用したという。

 多くの人たちが、健康コードアプリが河南に入ると緑から黄色や赤色に変わる奇怪な現象を経験したことをSNSで訴えていた。

健康コードが赤色や黄色になれば、濃厚接触者、感染者扱となり、基本外出は禁止となり、これに背いて外出すれば、隔離施設に連行されても文句がいえない。 同じ家族でも預金者だけが、コードが赤になったりしたという。

 

年利9~10%の「高利率」預金商品

 河南の村鎮銀行の件については、6月中旬、公安当局がガサ入れを行い、経済犯罪として本格捜査に乗り出した後、中国メディアも詳細を報じ始めた。

 簡単にいえば、銀行幹部と株主が結託して、銀行保険監督管理規定の手続きを悪用して“ニセのシステム”を創り、第三者の企業と本物ではない口座プラットフォームを運営していたということだ。

 銀行の信用が担保となって、第三者企業が創った年利9~10%の高利率預金商品を餌に、預金者が金をインターネット上の金融プラットフォーム経由で銀行監督管理当局の規制を受けない金融口座に送金したという。

預金者サイドからみれば、こうした取引のプロセスは銀行の認証があるように見える。 送金および支払いプラットフォームからの預金引き出し記録、預金協議、一切問題が無いように見えるので、銀行の特別利率のよい定期預金商品に預けかえをしたような感覚だろう。

 だが、結果から言えば、こうして送金された金は、根本からして銀行システムを経由したものではなく、保障もされていなかったのだ。

 

いったい、何が起きているのか…?

事件の主犯は、今回問題が指摘された四つの村鎮銀行の背後にある共通の株主、河南新財富集団だ。 この企業集団は2022年2月10日すでに登記が抹消されており、そのオーナーの呂奕はすでに海外に高飛びしている。

これら村鎮銀行は河南新財富集団と許昌農業銀行が共同で設立。 ただ、実際の運営は河南新財富集団が行っていた。 中国は一般に銀行業務の許可を得るのは非常に厳しい条件が課されるのだが、村鎮銀行に限っていえば設立条件がかなり緩い。 それは業務が地元の農民や零細企業を対象にした極めて狭い範囲に限定されているからだ。

 だが、インターネットプラットフォームがこれほど発展した時代では、こうした地域制限については抜け道を作ることができたという。

大株主である河南新財富集団は、第三者のインターネット金融プラットフォームや資金ブローカーを利用して、銀行預金の名義を借りて理財商品を設計。 およそ2011年から10年にわたって、これら銀行の預金者の資金を違法に吸収してきた。 河南省許昌市公安当局は4月中旬に捜査を開始し、すでに容疑者を逮捕し、一部資金を差し押さえているという。

 

 この河南新財富集団の董事長は呂奕という人物で、集団傘下の100以上の企業を通じて、全国いくつもの地方商業銀行、農商銀行、村鎮銀行に投資してきた。

呂奕は1974年生まれ、河南出身だが国籍はキプロス。 自称、リベリア駐中国投資代表、キプロス・アフロサイダ投資集団会長。 その錬金術はいかにも中国の時代性を反映している。

 

「ステルス株主」

2003年に河南省の蘭考から沈邱までの蘭尉高速道路建設を引き受けた建設企業のオーナーが呂奕で、この高速道路の使用料金を抵当に銀行から道路建設資金を融資してもらった。 その一部を金融機関の株に投資、さらにその株を抵当に融資をうけて、別のプロジェクトに投資、という具合に資金を増やしつつ、銀行金融業の内部に浸透していった。

こうして一種の「ステルス株主」のような形で河南の金融界を牛耳るようになっていった。 例えば、呂奕はかつて鄭州銀行副行長の喬均安から900万元を融資してもらい、その後より多くの融資を得るために、賄賂2300万元を喬均安に渡したという。

 そうして二人で利ザヤを得る裏ビジネスをしはじめ、喬均安が銀行の批准を出し、呂奕が融資を受けて、それを関連企業に貸すという仕組みが形成された。

 ところで、6月17日、中原銀行株式有限公司の副董事長、魏傑が厳重な規律違反で取り調べを受け、免職となった。魏傑の解雇理由は明らかにされていないが、この件が河南の村鎮銀行問題とリンクしているとみられている。

 

フィクサーの「存在」

魏傑は河南人で、2022年3月に中原銀行副董事長に就任したばかりだった。 また6月10日に、河南投資集団有限公司の元主席発展顧問の竇栄興も取り調べを受けていることが明らかになっている。 彼は2014年12月から2021年8月まで中原銀行の党委員会書記、董事長を務めていた。

フェニックステレビの報道によれば、呂奕と河南新財富集団が牛耳っていた銀行は30行に上り、その中には中原銀行が2013年に吸収合併した駐馬店銀行も含まれている。 中原銀行が今年2月と4月に吸収合併した洛陽銀行、平頂山銀行も新財富集団と関係があったと指摘されている。 平頂山銀行の幹部と呂奕が友人で、平頂山銀行の元党委員会書記で董事長の牛君彬は収賄で2018年に失脚、懲役12年の刑をうけて服役中だ。

 中原銀行は13の都市商業銀行を合併する形で2013年12月できた地方銀行である。

これは不測の金融事故や事件ではなく、仕組まれた経済犯罪ということだ。 河南の銀行・金融界は、呂奕というフィクサーによって牛耳られており、その悪事がばれつつあったこと、地方政府の土地開発錬金術にブレーキがかかったことなどから、呂奕はいち早く、国外脱出をし、銀行幹部たちが取り残されて順次取り調べを受けているということだろうか。

 

一過性のものではない

この犯罪手法は極めて大胆で、前代未聞であり、中国金融システムの隙間を突いた、中国金融業史に残る金融犯罪の一つに数えられるだろう。 おそらく、多くの預金者たちが心配するように失われた預金を再び回収することはほとんどできないだろう。

 さて、こうした事件は個別の犯罪事件で、巻き込まれた預金者は運が悪かっただけだろうか。

話は変わるのだが、6月1日から経済再稼働を全面的に掲げた上海の一部銀行で、預金を下ろすためにはまず先に窓口に並んで予約番号をとることが義務付けられた。 窓口の混雑を避けるため1日の受付を40人に制限しているからだ。 この予約番号をとるだけでも数時間並ばねばならず、5時間並んでも予約番号がとれないという。

 中国郵政貯蓄銀行上海浦東区の支店に夜中の2時まで並んでいた老人が疲労で倒れたという事態が中国国内でもニュースになった。

これが、単純に2か月以上におよぶロックダウン明けで、銀行業務が一気に増えたことによる一過性の機能不全なのか。 私が想像するに、こうした銀行の機能不全、トラブルは一過性のものではなかろうし、河南省に限ったことではないだろう、ということだ。

 

「共産党独裁」の問題

私はかつて、知人が地方銀行幹部の口ききで、銀行監督管理当局の監視の目をぬって、記録に残さないように資金を海外に移転する現場に居合わせたこともある。 厳しそうに見える金融ルールも、金融機関の幹部と監督する側の権力が同じ共産党の仲間内であるのだから、賄賂と人間関係で抜け道をつくることは意外にたやすい。

 こうした中国の金融システムの問題、腐敗が生まれやすい最大の要因は、やはり共産党独裁という体制の問題に帰結するのだ。

金融機関も、再開発事業も共産党の指導によって行われ、地方政府と幹部のATMや蓄財ツールのように思われてきた。

中国経済が高速成長しバブルがどんどん膨らむ間は、こういうエセ錬金術でも第三者の目をごまかせたが、高速成長にブレーキがかかりバブルがしぼんでくれば、隠せていた手品の種もばれてくる。 こうした預金消失の問題は、今後も他の地方で起きてくることだろう。

 

 習近平が6月17日に召集した政治局会議では、第八回金融機関整理改革報告が審議され、いわゆる習近平思想の指導によって、中国の特色ある金融発展の路をぶれずに進めることの堅持を強調されたほか、「自己革命」「党を厳格に統治する」戦略的制度を配置するよう指示が出された。

 おそらく、河南の村鎮銀行問題への対応も議題に上ったことだろうが、こうした問題を根本的に解決するのに必要なのは「習近平思想の指導」ではなく、政治改革による政治の透明性と独立した司法や監督管理機構、そして法治であることは言うまでもない。

 

 

>突然、銀行から預金が下ろせなくなる。 自分の銀行口座が消失する。

 

 中国内で騒ぎになっているこのネタ、オイラもブルームバーグの記事で読んだので知ってたけど・・・

 

 詳細がわからず、スルーしていた。

 

 そんな中、中国ネタの鉄板記者福島女史がこの記事を書いたので取り上げる。

 

>「消えた」口座預金が最も多い四つの村鎮銀行は、河南禹州臣民生村鎮銀行、上蔡恵民村鎮銀行、柘城黄淮村鎮銀行、固鎮信淮河村鎮銀行。 被害総額は初期の推計で40万口座以上、400億元に達する模様

 

日本でいう地方の信用組合見たい金融機関に貯蓄を預けていた農家たちが、高利率を謳う定期預金? に預けなおした。

 

 その額、およそ8000億円以上!

 

 その金がすべて消えてなくなったアルネ!!

 

 ということらしい。

 

 どうやら組合の株主と関係者が、組合の定期預金である風に装い、全く別の理財商品を売りつけていたんだね。

 

 これは予想だけど、中国経済の悪化で大損して、株主である呂奕とやらは海外に高飛びしたということか。

 

 まあ、額が高額だから騒ぎになるだろうけど、別に驚くような事件でもないな。

 

 それよりも・・・

 

>こうしたデモ、抗議活動を防ぐために、新型コロナ感染予防のためにダウンロードを義務付けられている健康コードアプリを利用したという。

 

 政府は、デモや抗議活動を行った被害者を感染予防用に義務付けられているアプリを使って居場所を特定していらたしい。

 

 独裁国家らしい人権を無視した行動だねwww