「守り」に入ったソフトバンクと「攻め」のドコモ | 情報は自分で習得し、自分で判断する

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「守り」に入ったソフトバンクと「攻め」のドコモ

 携帯電話各社の2009年3月期決算が出そろった。端末販売の落ち込みなどにより売上高は減少したが、本業の儲けを示す営業利益はいずれも拡大し、KDDI、ソフトバンクは過去最高益を更新した。(石川温のケータイ業界事情)

■不況下で見せたインフラ事業の底力
 外需の落ち込みにより苦戦する製造業を尻目に、収益面で堅調さを見せた携帯電話各社。NTTドコモが売上高4兆 4479億円で営業利益が8309億円。KDDIは売上高3兆4975億円、営業利益は4432億円。ソフトバンクは売上高が2兆6730億円、営業利益が3591億円となった。世界不況のさなかだが、景気の影響を受けにくいインフラ事業の底力を改めて示したかたちだ。
 いずれも端末の売り上げが前の期に比べて2~3割程度落ち、売上高が減少に転じているが、それに伴う販売奨励金が減ったために利益が伸びた。
 この傾向はしばらく続くと見られるが、いずれは割賦販売制度が一巡して、販売奨励金の削減効果も薄れると見られている。なぜなら割賦販売制度と引き換えに導入した基本料金の割引制度が将来的に重荷になっていくからだ。
 実際、NTTドコモは2010年3月期の予想として、基本料金の売り上げ減少分を1840億円、うちバリュープランの影響を1300億円と見積もっている。一方でパケット収入の増加は520億円しかない。そのため、販売奨励金やネットワークコストの削減によって、前期並みの利益を確保しようとしている。

■ソフトバンクが「守り」に
 今回、3社の決算会見を見て感じたのは、ソフトバンクが「守り」に入る一方で、NTTドコモに「攻め」の姿勢が見られたことだ。
 孫社長は「収穫期に入った」と明言し、「今期は増収増益の見込み」「3年間でフリーキャッシュフローを1兆円前後確保」「14年度には純有利子負債をゼロに」と公約。純有利子負債をゼロにするまで、大規模な投資は行わないとまで宣言した。
 しかも、これまで株主総会で株主から何度となく要求され、頑なに拒んできた「増配」についても、10年3月期に2.5円増配して5円とし、将来のさらなる増配を約束した。
 ソフトバンクはボーダフォンの買収により携帯電話事業を手に入れ、中国でもオークションやオンラインショッピング事業を成功に導きつつあるなど、いずれの事業も種まきの時期から刈り取りの段階に進んでいる。
 孫社長は「これまでのソフトバンクは借金をして荒っぽい経営というイメージだった。その残存イメージをこれからは変えていく。借金経営からキャッシュフロー経営になっていく」と経営体質の転換を再三、アピールしていた。

■誰も予想しなかったドコモの料金見直し
 一方、ここにきて攻めの姿勢を明確に見せだしたのがNTTドコモだ。山田隆持社長体制になって1年弱。「お客様満足度の向上」を目標に掲げてきたが、決算発表に合わせて4月28日に、誰も予想しなかった「料金見直し」を発表した。
 パケット料金プラン「パケ・ホーダイダブル」は、これまで1029円から4410円までの2段階の定額制だったが、この下限を1029円から490円に値下げする(5月1日から実施、スマートフォンに適用される「Biz・ホーダイダブル」も同様)。NTTドコモとしては、2008年12月現在で契約率36%にとどまるパケ・ホーダイユーザーを何としても増やしたいのだろう。
 従量制プランのユーザーは、このご時勢で毎月「いかにパケットを使わないか」に苦心している。たとえば、「パケットパック10」(昨年末で新規受付は終了)は月額1050円まで無料で、その後はパケット単価が1パケット0.105円。しかし、パケ・ホーダイダブルであれば、とりあえず最低料金が半額以下になる。それなら契約してもいいという気になるはずだ。
 ただし、定額制プランに入ってしまうと、つい安心して動画コンテンツなども視聴してしまうもの。結果として、毎月の請求額は上限の4410円に近づいていくことになる。 

■ドコモ山田社長「弾込めの時期」
 NTTドコモは今夏モデルからiモードコンテンツの画面の一部で動画を再生する「インラインFlash」を導入する。定額制と動画コンテンツの充実という両輪でパケットARPU(1人当たりの月額利用料)の向上を狙っていく。
 昨年から今年にかけて、NTTドコモはインドの通信会社やテレビ通販会社に出資したり、イオングループと新会社を立ち上げたりと、モバイルとシナジーのありそうな事業領域に積極的に進出している。13年3月期には営業利益9000億円以上を目指しており、山田社長は今期をそのための「弾を込める時期」と位置づける。
 ユーザーの満足度を向上させ「囲い込む」ことで収益の基盤を安定させつつ、料金の見直しで他社との体力勝負に持ち込む。さらに成長しそうな分野への投資を惜しまないのが、攻めに転じたいまのNTTドコモの姿だ。

以下略

http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMIT0f000001052009&landing=Next

 不況知らずのケータイ業界ですね。この記事を読んで、ソフトバンクとNTTの勝手に経営分析をしてみたいと思います。

 まずは、ソフトバンク。2007年3月期までは、売上原価や原価償却費がわかりませんでした。さて、ボーダフォンを買収して、資産や売上を伸ばした2007年3月期以降について、分析してみましょう。

ソースはコチラから⇒http://www.softbank.co.jp/ja/irinfo/finance/results/index.html

 前期(2009年3月期)は、売上は落ちましたが、営業利益は増え、経常利益もまあ良かったですね。買収時の固定資産より、率にして93.6%になり余分な資産を減らしている事がわかります。また、固定負債も減らしてきていますね。これは、財務活動によるCFのマイナスでも、順調に負債を減らしているのでしょう。ただし、短期借入金が増えてますが・・・

>孫社長は「収穫期に入った」と明言し、「今期は増収増益の見込み」「3年間でフリーキャッシュフローを1兆円前後確保」「14年度には純有利子負債をゼロに」と公約。純有利子負債をゼロにするまで、大規模な投資は行わないとまで宣言

 この孫社長の言葉も理解できますね。経営が安定したのでとりあえず負債返済にしばらくの間はいるということで「守り」のソフトバンクですね。


 対して、NTTドコモ。こちらは、固定負債の少なさと自己資本比率の異常な高さ。ビックリです@@!

ソースはコチラ⇒http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/library/earnings/index.html#fy2008

 また、粗利益率も60%とソフトバンクよりも上ですね。前期は、売上が落ちてますが、記事の通り営業利益、経常利益共に前々期に比べて上昇してますね。こちらは固定負債=長期借入金を増やしながら、流動負債を減らしつつ、着実にフリーキャッシュフローを増やしてます。

>2008年12月現在で契約率36%にとどまるパケ・ホーダイユーザーを何としても増やしたいのだろう。

 なるほど、高い粗利益率から、パケ・ホーダイの契約率を増やして顧客囲い込みですね。

>定額制プランに入ってしまうと、つい安心して動画コンテンツなども視聴してしまうもの。結果として、毎月の請求額は上限の4410円に近づいていくことになる。

 この気持ちも良くわかる。いちユーザーとして。

>NTTドコモはインドの通信会社やテレビ通販会社に出資したり、イオングループと新会社を立ち上げたりと、モバイルとシナジーのありそうな事業領域に積極的に進出している。

 なるほど、このように投資しているわけですね。その結果が、減価償却費、投資活動によるCFに数値として現れている訳ですね。

>ユーザーの満足度を向上させ「囲い込む」ことで収益の基盤を安定させつつ、料金の見直しで他社との体力勝負に持ち込む。さらに成長しそうな分野への投資を惜しまないのが、攻めに転じたいまのNTTドコモの姿だ。

 王者らしく、体力勝負しながら、成長分野への投資を惜しまないNTTドコモ。メディアの評判聴くとNTTドコモ苦戦とかいいながらも、王者らしい振舞いですね。

 そして、ソフトバンクはチャレンジャー。チャレンジャーは、成長分野への投資が必要かも知れませんね。まあ、ノキアやサムスンと違って国内での勝負ですから、どちらともガンバレです。

 NTTドコモさん、粗利こんなに出てるなら、もう少し本体価格下げてくれないかな。いちユーザーとして・・・
 
 ついでだから、KDDIも後日まとめて見ます。