2019年より「少年ジャンプ+」というWeb(アプリ)マンガで連載され、
その人気の高さから2022年にTVアニメシリーズが始まった『SPY×FAMILY』。
今回はその映画化ということで、アニメのシーズン2が終了してからの劇場版公開となりました。
東西冷戦下の世界を舞台に、スパイと殺し屋、超能力者がお互いに素性を隠して偽りの家族を演じる物語は、
すでに多くのファンから好感を集め、
“血はつながらなくとも本物の家族になれる”というテーマの下、
ホームコメディ要素たっぷりに、
面白おかしく、スリルとサスペンスに満ち溢れた作品として大人気となっています。
TVアニメは深夜帯に放送されていましたが、
今作『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White』は年末年始に公開と言うこともあって、
ファミリー層を意識した演出が目立っています。
従来からのキャラクターの魅力はそのままに、
今作の主役ともいえるアーニャの言動の数々や、
“うんこの神さま”(「クレヨンしんちゃん」を意識してる?)などなど、
子供達にも共感できる要素を盛り込むよう調整されているようです。
ストーリー面においても、冒頭から各キャラクターが抱える秘密がわかりやすく描かれたり、
アクションシーンが多めであったり、
テーマソングもOfficial髭男dismや星野源を再起用したりして、
幅広い層へのアプローチがなされています。
しなしながらその一方で、作品の舞台設定が今の現実の惨状とリンクしてるのではと思われた方も
少なくともいらっしゃったのではないでしょうか?
あらゆる紛争の火種を抱えた東西冷戦下が舞台という点は、
イスラエル・パレスチナ紛争とダブり、
ガザ地区での空襲を思わせる場面などの描写も見受けられます。
雪国の街フリジスの世界観や、そこにある名店「瓦礫と絆亭」の主人の
“空襲で町は瓦礫と化し、家族を失い、食料も無い中で、
孤児が瓦礫の下からようやく食料を見つけ出したのが店名の由来だ”
という話の内容などは、
現在のガザ地区を連想せずにはいられません。
とはいえ、このストーリー自体、現在の戦争や紛争などを模して製作されたわけでは一切ないので、
誰も責められず、責める対象もなく、単なるエンタメとして終始することで高く評価できると思います。
(多少この辺りが先にブログ化した「ウィッシュ」との違いかな)
ということで、先週発表された興行収入は50億円、観客動員数は370万人を突破とのこと。
年末年始に同時にプロモーションされた「ウィッシュ」より、
大きな支持を集めているのもうなずけます。
さて、映画の続編はあるのかな?
まずはTVアニメのシーズン3を楽しみに待つことにします。