T字路について、便宜上T字の上を1、左下を2、右下を3とする。



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2を歩いていると目の前に突然T字路が現れた。




僕は2から3に行きたい。




何が何でも。




しかし、2から3への横断歩道は信号が赤で渡れない。




急いでるときに限って信号に引っかかる。




そんなとき、大昔の僕は、2から1へ、そして1を移動してからの1から3へとダッシュをしていた。




これは賭けだ。




信号が変わる前に無事に3に辿りつけるかどうか。




躊躇している時間はない。




もし、1に取り残されようものなら、2で信号を待っている以上のタイムロスになるからだ。




そのときの絶望感は想像を絶する。




この世界にこれ以上の無駄な行為があるだろうか。




だから失敗は許されない。




男が一度、T字路ダッシュをやると決めたからには、最大速度で3を目指さなければならない。




たとえ荷物を落としても。



















…今では滅多にそんなことはしない。



年取ったな。