昨日ようやく福島第1原発から半径20kmの範囲に緊急避難区域の指定がされた。菅総理が福島知事と会い、避難所にも訪れた。TVで県知事や避難されてる方が総理に不安や不満をぶつける姿が映されている。

避難されている方の不安は理解できる。また、それ以外の地域の方で、放射線被爆に対する不安も理解できる。


しかしながら、一度抱いてしまった不安を消し去ることは簡単ではない。正しいデータが示されようが、正しい対応が為されようが、不安は解消できないと思う。今回の政府・東電・保安院の初動の対応からすれば(もちろん現在の対応でも…)、それはやむをえないと思う。


マズイのは、最初期(少なくとも1号機が水素爆発した)段階で、最悪のケースを想定して現在の緊急避難区域指定をしなかった事。緊急避難区域は半径20kmではなく30km。さらにSPEEDiの予測に基づいて飯舘村も含めるのが妥当と自分は考える。(この記事を書いてる時点で、飯舘村には避難区域指定が出た模様)

データが揃わなかったり不確実であったとしても、状況を予測することはできる。当初の対応が過剰であっても状況が改善してくればそれに応じて縮小していけば、まだ安心を得られることはできるあろう。


対症療法的なその場しのぎの処置は、決して根本的な解決にはならない。追加処置が必要になるたびに状況は悪化しする。そして信用を失っていく。そんな治療を行う医師に自分の身体を預ける気になるだろうか?

それも、初めて経験する大手術に前もって勉強や研修も受けていない、新卒ペーペーの新米医師に。

菅総理はすでに大半の国民の信用を失っている。おまけに省庁や対応部署がバラバラで、それぞれが省益や責任回避といった各々の思惑で対応する。


それでは、これからとるべき対応は何だろうか?

体裁や面子など気にすることなく、すべては誠実に国と国民のために…

少なくとも首相は専門家ではないのだから、細かな指示を具体的にする必要はない。有能なブレーンや部下をうまく使えばいい。各部署の方針や作戦に対して「責任を取るからベストを尽くせ」という立場でいれば良い。

その上で対応の遅延や成果が不十分と感じれば、より優秀な人材を招聘すればいい。


それが奏効し事態収束の方向性が見えてきてはじめて信頼は回復されるだろう。

逆にそれができないというのであれば、もっとふさわしい人材にその指揮権を譲渡するべきである。

それも、ある意味自分の能力と限界を知った上での決断と評されれば、時間はかかるかも知れないが信頼を得る事もできよう。


初めての事態に対応するためにシミュレーションが足りなかったり想定が及ばなかったことは、後からいくらでも検証して改善していくことできる。

復興のためのビジョンやエネルギー政策の検討なども、喫緊の問題ではない。