社長さんの書斎 〜会社を伸ばす至高の一冊〜

社長さんの書斎 〜会社を伸ばす至高の一冊〜

大手通信企業で働きながら製造業の顧問をしている中小企業診断士が思わず読みたくなるビジネス書の紹介を目指します

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 法人であっても自然人(法人に対して普通の人)であってもお金を手にするときは必ず税金がついて回ります。ものを買えば消費税が、給料を貰えば所得税が、物件を持てば固定資産税がかかります。資産形成をするのに税金がついて回るのは頭の痛い問題です。

 そんな資産形成の一手として生まれたのがNISA(少額投資非課税制度)です。これは、株式や投資信託の売却益や配当について、通常20%かかる税金を非課税とする制度です。この制度はもともとイギリスで実施されていたISAという制度をお手本に作られていることから、日本版ISAと呼ばれることもあります。20%の非課税ってなかなか大きいです。保有している債権が大化けして100%、200%と値上がりしてもびた一文取られないわけですから。

 利用はいたって簡単、金融機関でNISAようの口座を開設して投資を始めるだけです。日本に居住している20歳以上の人であれば誰でも開設することができます。講座は1人1つまで。一年間に100万円の元本投資まで可能で5年間で500万円が上限です。5年経過したあとは元本をもう一度移行するロールオーバーも可能です。いくらになっても税金はかかりませんから、資産形成においては非常に魅力的な手ではあります。

 ただし、気をつけなければならない点もあります。NISAの効力は年単位で明確に区切られていますから、そのタイミングをまたいだ売り買いには不向きです。また、損益通算といって他の講座との合算ができないのも難点です。例えば、NISAで20万の損をし、他の講座で50万の利益が出たとします。NISA以外の口座同士であれば損益通算が効きますから「50+(-20)=30万」が合算利益となり、ここに税率の20%をかけた6万円が課税額となります。これがNISAであった場合、損益通算はできませんから、50万円に税率の20%がまるまるかかり、10万円が課税額となるわけです。つまり、NISA口座で損をだしてしまうと、「損失額×20%」が税金として多めに持って行かれてしまうわけです。この点がネックで「NISAはいい手ではない!」という論調もありますね。

 本書は、こんなNISAについて、制度の概要から実践的な運用方法までワンストップで紹介してくれている一冊です。メリットだけでなく、デメリットを一緒に記載してくれていますから、内容に信頼感があります。また、株式や投資信託、コモディティなど、投資先別にNISAでの投資の向き不向きを分析してくれていたり、一方で世代や資産形成の目的別にその利用方法を書いてくれていますので非常に実践度が高い一冊ということができます。NISAはニュースでも大きく取り上げられており、また各種金融機関のプロモーションも盛ん(かなり下火にはなりましたが)ですから、気にっなっていたという方は是非お読みになるといいと思います。危険な投資信託の見抜き方みたいな解説もありますから、まったくの投資初心者には利用しなくともいい勉強になると思います。知識0となると少しだけ難しいので調べながら読むべき項目も出てくると思いますが。

 では、中小企業とNISAについて考えてみましょう。

 NISAは個人の資産形成の一手ですから、企業体が直接利用することはなく、会社の資産形成に直接使う機会はなさそうです。ただし、NISAの特性を知れば中小企業の経営スタイルに合わせた活用が可能です。

 利用の第一は、生前贈与の一手です。これは中小企業に限った話ではないとは思いますが、オーナー企業の場合、相続税は大きな悩みの種のはずです。特に後継が子供である場合にはそうです。贈与税は年間110万円であれば非課税です。そしてNISAの年間上限枠は100万円。狙ったかのような好タッグです。NISAは1人1口座作ることができますから相続する人数分口座を作れば贈与が可能です。投資が苦手な人は比較的安パイな投資信託を活用するといいと思います。

 第二は従業員の財産形成のアドバイスの一つとすることです。非課税の資産形成方法として確定拠出年金があります。一時期は「中小企業こそ確定拠出年金!」なんて言っていた時期もありましたが、この利用には制約があったり、または金融機関側にも基準があったりして従業員の資産形成に確定拠出年金を利用できない中小企業が多いのが実態です。NISAは資産形成について非課税である数少ない打ち手の一つですから、こんな方法もあるよと教えてあげるといいと思います。今は異次元と言われる超低金利時代です。貯金してお金を貯めるというのは資産形成上の得策とは言えません。もちろん、投資の決定権は個人の意思になりますかr過渡なな介入はトラブルの元になりかねません。従業員が自分の意思で決めることができる程度に情報提供をしてあげるのがいいでしょう。この手は社長と従業員が顔を合わせながら仕事をするくらいの小規模な事業所に向いています。中小企業は福利厚生が薄くなりがちという理由で大企業を志望する人が多いのは事実です。しかしながら、直接顔を合わせ、その人をよく知っている会社にしかできない暖かい福利厚生があってもいいと私は思います。朝のMTやちょっとした日常会話で試してみてください。ちなみに、この使い方にはおまけもあります。投資をするためには経済の状況やマーケットをよく知らなければなりません。誰だって損はしたくないので投資をすれば必要なことは自分で学びます。世の中の情勢や動向を知ることはほとんどの仕事にプラスに働きます。NISA導入をきっかけに、従業員が大局的な視点を身につけれくれればとっても嬉しいですよね!

 今日の投稿は以上です。
 本日も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。




参考URL
あなたの資産を大きく育てる-NISA完全活用術

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