あれから11年か

寝る前にそんなことを考えた


娘の誕生間近

外来診療を終えれば間に合う

しかし間に合わなかった

飛び込みで新患が来たのだった

研修医に毛が生えた程度だった俺は

要領も悪かった


出産を終えた妻と

生まれたばかりの娘のもとへ

タオル?にくるまれた娘の

ちいさな手 やわらかい爪

あぁ、書いているうちに段々思い出してきた

そうかあの時からか


娘は11歳になった

風呂には一人で入るし

ゲームを一緒にすることも少なくなった

学校の話はしてくれるけど

娘のことで知らないことが

たくさん出来てしまっているように思える


あれから11年かー

あと11年経ったらどうかな

俺50過ぎだし

娘は22歳なら

一緒に住んでいないかもしれないな


じゃあもうあと11年経ったら

もうあと11年経ったら…そう考えたら

着実に死に向かっていることを

改めて意識してしまって

なんだか怖くなってきた


人の死なんて散々見てきたじゃない

でもやっぱり自分のはイヤだな


「でも結構長かったよ」と妻

そう、そうなんだよ

今思い返せば一瞬だけど

やっぱり11年は短くはなかった

そのことは俺にとって少し救いなんだ


「もうあと11年」って

11年単位で考えてたのが

自分でも可笑しかった