** 俺が煙草を辞めるとき
秋になり、また寒い冬が来る。煙草に火をつけながら屋上のフェンスに寄りかかる。
少し長くなった前髪をいじりながら煙を吐き出す。
「……アホみたいに走りまわっとんな。」
屋上の下を見れば、グラウンドでギャーギャー短いスカート履いて走り回っとる奴ら。
パンツが見えるだのギャーギャーうっさい。
あいつとは大違い。なんて思い出して思わず口元が緩む。そろそろ来る頃だろうか。
「………お前は、もっと静かに俺の前に出て来れんのか。」
バン!って大きな音立てて屋上のドアを開ける。色気の無い長いスカートでズンズンと俺のとこに歩み寄って来る姿を見るのはこれで何回目なのだろうか。
煙草を取り上げて、思いっきり睨まれて説教タイム。
「……そんなこと言うたて、辞めよう思ても中々難しいんやで?」
そう言えば、少し困った顔をしながら案を練り直すから見てると面白い。
「…ほな、辞めるから俺が煙草吸いたくなったらキスしてもええか?」
冗談っぽく言いながらポケットから新しい煙草を1本取り出す。どうせ、また怒鳴られて殴られるんやろな。
煙草に火をつけようとしても動かないから顔を覗き込めば、いつもと違う表情。
「…真っ赤やぞ、顔。」
覗き込んで言えば、そのまま煙草を取り上げて走って屋上を出る。
こっちもいつもと違う表情で内心ものすごい焦ってて。
「……あかん、ニヤニヤ止まらんわ。」
ふっと口元を緩ませて残りの煙草をゴミ箱に捨てて、またあいつをからかいに行く。
**横山裕
