新型コロナウイルスを歴史に学ぶ(13話)

統合須賀川高校の課題は       

伊能忠敬研究会東北支部長

元日本大学工学部講師・化学 

松宮輝明

 

福島県教育委員会は、戦後、昭和23年以後の大きな教育改革として、高校を再編成し、普通高校を4つのランクに区分し、特化した教育を行います。

ランク1の進学指導拠点校(福島高校、安積高校、磐城高校、会津高校)は、難関大学の東大、京大、名古屋大、一ツ橋大、東工大や医学部の志望者の進学実現を図るためにSGH(スーパーグローバルハイスクール)と位置付けました。また、安積高校は附属中学校(定員60名)を設置し中高一貫教育を行います。

福島県の教育力は長く低迷し、ランク1進学校の学力は、全国高校の上位500校中の450番以下です。上位100校のうち80%が私立高校です。名古屋市の私立「東海高校」は毎年150余名の生徒が医学部に合格します。太田西ノ内病院の研修生指導医の教え子先生は「研修を終えるとほほとんどの研修医は地元の関西、関東の病院に帰ってしまいます。安積高校から医学部に進む生徒を多く育てないと、福島県、東北の医療体制は崩壊します」とのことです。  

普通高校ランク2の進学指導重点校、須賀川桐陽高校は特化した進学指導を行ない須賀川岩瀬地区の生徒が集まります

ランク3の キャリア指導推進校須賀川高校は、地域社会で体験的なキャリア教育を展開し、社会的、職業的に自立出来るための生徒の育成、地域を支える核として貢献できる人材に対応した教育活動が展開されます。

今後は、須賀川市も急速な人口減少が進み、10年後(200年)には須賀川市内の普通高校は整理され、須賀川高校と須賀川桐陽高校は統合となり、普通高校は1校となることが予想されます。

統合「須賀川、長沼高校」(仮称)は、再来年20224月に開校式を迎えます。

新生高校を存続させるためには、特化した6クラスのカリキュラムが必要だと思います。

特色のある専攻コースの例(大学進学先)として

  1. 映像、アニメ、デザイン、芸術コース(定員40名)

    (須賀川市、円谷プロダクションの協力、日本大学芸術学部等に進学)

    映像、アニメ等は、政府が推進し、現在、1兆2千億円の世界市場です。コースを設置するため1、専攻コースの生徒を関東全国一円から広く募集する。2、長沼町に寄宿舎を用意する。藤沼温泉なども活用する。3、長沼高校は、統合須賀川、長沼高校の第2校舎として使用する。4、地域住民の協力を得て、長沼地区に高校生が120名闊歩する若者の町として活性化を図る。5、須賀川市の全面的支援を受ける。

  2. スポーツ科学コース(日体大、仙台大学等体育系の大学へ進学)(定員40名)

     

  3. 服装デザインコース(文化服装学院大学等へ)幼児教育コース福祉健康コース

  4. 留学生コース(留学先、帰国子女の教育)

  5. 起業家コースなどの特色あるコースが考えられる。

進学、就職先を学校説明会で説明し、中学生を募集する。

「出来ない生徒を伸ばすのが教育である」との教育論があるが、いかに伸ばすか具体的な改革案がなければ、須賀川高校の未来がないとの意見が多数寄せられました。

バスケットボールの能代工業高校の校名は統合により、「能代科学技術高校」となり、能代工業高校の校名を残したかったと、全国的に話題になりました。

校名は、設置者の県が決めますが、広く公募し教育委員会に提案することがのぞまれます。

令和2年、校名、教育目標、教育課程、教科書選定、校旗、校章、校歌、制服の選定など決まります。この度の母校須賀川高校の学校改革は、教育100年の計であります。母校須賀川高校の卒業生の応援を期待しております。

 

 

写真 須賀川高校の校旗(昭和41年1月8日制作)