青ヒビが大きな特徴大堀相馬焼
大堀相馬焼窯元との出合い
テレビの画面を眺めていると、ロクロの上で土が生きもののように伸び縮み、土の中に手が入ったかと思うと、見る見るうちにふくれて壺が生まれた。
土が魔術にかけられ、生命を吹き込まれ、生まれ変っていく姿を画面の中に見つけだし、食い入るように見つめていた。
次の日曜日の朝、私は福島行きの汽車に乗っていた。私は、何か何でも昨夜の魔術師に会わなければと……
その時、中合デパートで福島県有名窯元展が開かれていた。そしてテレビ出演の魔術師が沢山の人をロクロの前に集め、自由自在に壺や皿を造り出していた。その度にあちこちから感嘆の声が上がった。
大堀相馬焼明月窯元 長橋明孝作(左馬が特徴)
やがて彼が思う存分、土に命を吹き込み、一段落したのを待って声をかけた。
「私も作って見たいのですが」
「十年はかかりますよ」
「何年かかってもやり通します」
「土間の隅でも、納屋の隅にでもおいて下さい」
「最初は薪き割り、水汲み、子守りが3年です。我慢が出来ますか」
「その覚悟があればお出でなさい」との言葉でした。
それが大堀相馬焼窯元、長橋明孝氏との出合いであり、弟子入りの許しであった。
あれから50年、作っても作っても、飽きる事のない焼き物作りです。