デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が日本企業の間で頻繁に使われるようになって数年が経ちました。しかし、実際の推進状況を見ると、日本は海外諸国に大きく水をあけられているのが現実です。情報処理推進機構(IPA)の調査によれば、日本企業のDX推進は依然として初期段階にとどまっており、成果創出に至っている企業は限定的な状況となっています。
この遅れの最大の要因として挙げられるのが、レガシーシステムの存在でしょう。多くの日本企業では、数十年前に構築された古いITシステムが今でも稼働しており、その維持・運用に膨大なコストと人的リソースが割かれています。システムの刷新には莫大な費用と時間がかかるため、多くの企業が現状維持を選択せざるを得ない状況に陥っているのです。
さらに深刻なのがIT人材の絶対的な不足です。DXを推進するためには、AI・データ解析の専門家やCIO・CDOといったデジタル化の主導者が必要ですが、日本企業ではこれらの人材が圧倒的に足りていません。特に中小企業においては、専門的なデジタル人材を確保することが極めて困難な状況となっています。
これらの課題解決には段階的なアプローチが有効です。まず、レガシーシステムについては、一度に全てを刷新するのではなく、業務の重要度に応じて優先順位をつけ、部分的にモダナイゼーションを進めることが現実的でしょう。クラウドサービスの活用により、初期投資を抑えながらシステム更新を行う企業も増えています。
人材不足については、外部パートナーとの連携や既存社員のリスキリングが重要になります。社内でデジタル人材を育成するための研修制度を整備し、段階的にDX推進体制を構築していく必要があるでしょう。
IT人材白書という統計データによれば、日本に存在するITエンジニアの数は100万人弱です。しかし、その内訳がどうなっているのかは不明です。したがって、SEに限って何人かということは計り知れません。単純にSE一本で食べている人もいれば、時に別の仕事をしながらSE業も並行して行っている人もいるのが現状です。厳密に人口を割り出すことは、IT業界では非常に困難なことになるのです。
ですが、どちらにせよ人口はそれほど多いとはいえません。アメリカや中国なら、3倍以上の数のITエンジニアが存在しているわけですから、日本は数の上では難しいでしょう。今後、日本がITの分野で遅れを取らないようにするためには、早急に人材の育成を進める必要があります。
そのため、小学校のうちから簡単なプログラミングを教える方針を打ち出しました。プログラミングの授業を受けた人たちの中から、将来的にITエンジニアになってくれる人が出てくればいいという考えです。ただ、初歩的な授業のため、意味がないのではという指摘は根強く残っています。
インドや中国、アメリカのようなIT先進国では、子供のうちから相当に難易度の高いIT教育を行っています。初歩的な授業では対応が難しいと心配するのは自然なことでしょう。ですがいきなり難易度の高いIT教育を行うのではなく、適材適所という意味でも、基礎の基礎、初歩の初歩から、当たり前のように身の回りになるという環境を作り、その上でさらなる育成をしていくのが良いのではないでしょうか。
それでは、既に大人になっている人をSEに育て上げるためには、一体どうしたらいいのでしょうか。SEの育成に携わる人にとって、頭を抱えることの多い問題です。なかなか育ってくれないと頭を悩ませているのであれば、育成者へ向けた【SE育成委員会】を一読してヒントを得てみるといいかもしれません。