「でね、リーレがね、お兄ちゃんとSexしたいんだって。」
聞き間違いだと思い、返事をしないでロックを流し込み、少し頬を赤らめた理沙を見る。
「聞こえた?」
「もしかして、リーレが俺とSexしたいって言ったのかな?」
「そうよ。 何回も言えないわよ、私も少しは恥ずかしいんだから。」
「どういうこと? ロンドンでそんな話したの?」
「話をしたっていうより、聞かされた、教えてもらったが正解みたい。」
「で、どうしてそういうことになるんだ?」
「来日して1年数ヶ月だけど、何か怖くてボーイフレンドも作れなかったし、今もそうだって。 それで、時々そうしたいと思うらしいんだけど、言葉に習慣、それに妊娠、相手の人柄も解らないで無茶はできないって。」
まあ健康な若者なら男女問わずSexの希求は当然だろうが、不慣れな外国でいろいろ苦労と共に、欲求不満はストレス障害さえ引き起こしかねないなと心配にさえなった。
「で俺とという流れになるのかい?」
「お兄ちゃんは優しいし、リーレの環境を理解しているし、避妊もちゃんとして、そうして欲しいんだって。」
「それを俺に伝えるのが理沙の役目なわけ?」
「進んでじゃないけど、リーレが可哀想でしょ。」
リーレのナイスボディには男として魅力だが、こうなってくると、興味本位で妙なことはできないようなブレーキが作用する気がする。
「ただね、私はまだSexのことは解らないんだけど、リーレとお兄ちゃんがお互い好きになって国際結婚なんかにはなって欲しくはないの。」
「理沙、俺はジェントルマンでもフェミニストでもないから、レディファースト圏の女性との結婚なんて考えられないね。 それに、今の話じゃSexフレンドということになるのかなあ。」
「Sexフレンドって?」
「簡単にいえば恋愛感情なしでそれだけのお付き合いかな。 まあ話は聞いたけど、ここでどうこうっていう結論でもないから、もうこの話は止めよう。」
「そうね、変なこと言ってごめんなさい。」
「ラウンジで呑み直すかな、食べ物もあるみたいだよ。」
Gパンに着替え、フルーツ盛り合わせや小ピザ、その他で芋のお湯割りをを舐めるが、理沙はぽつぽつ口に運びながら楽しそうに賢を見上げる。
「夢みたいよ、今の私の生活全部が。 お兄ちゃん、ママとお父さんが居てくれるのが全部そう。 夢じゃないよね。」
仄暗いラウンジのシートで、理沙の頬にそっとキスした。
残り1週間の夏休みを、理沙は勉強と料理を楽しそうに頑張り、賢は図書館と道場のルーチンワークで合間に二人で散歩したり、庭で体操して理沙に汗を流させる。
9月7日午前中に帰るとリレーゼからメールがあり、平日だったので賢一人で〇田に迎えに行った。
ここは日本だし、派手に抱きつかれてキスでもされたら恥ずかしいと思いつつ待っていると、ゲートを出たリレーゼが控えめに腕を腰に廻し、薄くパールピンクのルージュを塗った唇で挨拶のキスをした。
「久し振り、元気だった? 理沙がお世話になって有難う。」
「楽しかったわ。 食事の違いは大変よ。 私もマァムの料理がいいわ。」
ターミナルや駅、電車の中でリレーゼを振り返る人が、男女の別なく沢山居た。
「暫く振りで家族に会ってどうだった?」
「引っ越して安心したみたい。 でもね、ホームに帰って、私はもう賢の家のほうが居心地がいいって思ったわ。」
「そりゃあご家族に悪いよ。 お昼近いけど、おふくろが用意してるから我慢できる?」
「断然マァムのご飯よ。」
事務所で皆と抱き合い、日英入り混じりの会話が飛び交い、待ち焦がれたという母の昼食を食べて、賢はPCを持って図書館に出かけた。
道場には寄らず夕方帰宅すると、まるでそれが毎日の日常であるかのように、3人であーだこーだと夕食の用意をしていた。
「リーレ、ホームより楽しそうよ。」
ホームでのリーレを知っている理沙が聞く。
「そうでしょ、実際そうなのよ。」
リーレが再来日して1週間経った平日の昼前、図書館に居た賢にリーレから電話があり、一緒に昼食を食べる約束でリーレの大学に行った。
カフェで昼食を摂り、紙コップのコーヒーを持って、まだ暑いが風が通る木陰のベンチに座る。
「理沙から聞いたでしょ?」
臆することない真直ぐの直球だったが、陽光の中で小気味良かった。
「聞いたよ、誰でも共通の思いというか悩ましさはあるね。」
「マァムとも話したの、理沙も一緒に。」
えっそこまでかいと思ったが、異論は挟まないでコーヒーを含む。
「マァムは全部理解してくれたわ。 お友達の女性ドクターに、マァムの名前で私用のピルを処方してもらったの。 マァムの知恵と行動力は尊敬ね。」
言いたいことの想像はできたが、理沙の心を思うと板挟みになる自分が居る。
「マァムは、理沙を一番最初に心配したわ。」
当然そうだなと、内心で頷く。
「本当は私が一番いけないことは良く解ってるの。 我慢するなり、どこかで適当にやればいいことなんだし、賢の家族に迷惑なのよね。」
リレーゼと理沙の両方の気持ちを思い、肯定も否定もできない自分が居る。
「理沙は立派だわ、純粋に賢を慕ってて、それに見合う自分になろうと頑張ってるの。 Sexはまだ知らないし解らないそうだけど、賢が私と、或いは他の女性とそうしてもそれは賢がしようと判断したからのことで、理沙が口を挟むことじゃないそうだって。 賢に見合う理沙、少し違うな、賢が一緒に居たい、必要、愛する、その女性に成らなくちゃいけないそうなの。」
その理沙の考え方は旅行のホテルで聞いたが、自分がその資格があるのかは甚だ心許ない。
「長々とごめんなさい。 結論は、私とスポーツとしてSexしてもらえないかしら?
あくまで欲求解消としてのスポーツで、私は賢に心を動かさないわ。 それが私の最小限のルールなの。 だからそれでよければお願い?」
状況を踏まえた上でのお願いであり、断われば著しくリレーゼのプライドは相当傷つくだろう。
「了解したよ。 心地よい汗が出せるかどうかだけど、協力するよ。」
「解ってくれてありがとう、嬉しいわ。 せめて月に1~2回ね。 それと、スポーツの結果はマァムと理沙に報告するわ。」
「スポーツが下手と判定されて、理沙とおふくろに報告されたら、形無しだな。」
「それは女の私もお互いでしょ。 正直であるべきだし。 それで来週半ばから生理だから週初めにお願いね。」
「日英決勝戦だな、昼間のラブホでいいかな?」
「それはお任せしてお願いします。」
((楽しいHシーンをソフトリイに書きましたが掲出禁止になり
削除しました。
読んで頂けなくて残念です。 ごめんなさい。))
次週の火曜日午後、リレーゼと汗びっしょりの楽しいスポーツを終えて、一緒に帰るのはちょいと気が引けたので、駅で別れ、赤提灯でビールとお湯割りを引っ掛けて帰宅した。
シャワーで汗を流し、いつもの賑やかな食卓につくと、理沙がすぐに料理を並べてくれて、またビールから始める。
リレーゼがもう話したのかは解らないが、理沙の笑顔、笑い声がいつもと同じだった。
米を食べない夕食を終えて、自室で薄い水割りを呑みながらPCの論文に向っていると、風呂を終えたらしい理沙とリレーゼが来た。
理沙のヘアを乾かすと、理沙にリレーゼがToeic Bridgeの受験を勧めたらしく、受けてもいいか聞く。
リレーゼによれば、理沙の力なら第1StepのBridgeを受けて、どの程度が確認するほうがプラスだと判断したらしい。
「どう、受けてもいいかしら?」
「いいよ。 殆ど毎月あるだろ。」
PCでサイトを開き確認すると、11月受験の申込みが可能ですぐネット申込みを済ませる。
「リーレの予想でどれ位かな?」
「理沙なら80~90%は大丈夫よ。」
「第1Stepで90%は162点か。 そこまで行ければ次を半年早く前倒しできるんじゃないかな。」
「理沙、これから二人だけだったらオールイングリッシュね。 いい?」
「頼もしいな。 入試じゃない相対評価だからリラックスだよ。 何回受けてもいいんだからさ。」
「賢はほんと理沙に優しいんだね。」
リレーゼが今日はありがとうと囁き、耳にキスして部屋から出て行った。
10月に入り朝夕は少し涼しくなったが、昼間はそれでもまだ暑い。
土曜日の午前10時、お兄ちゃんこれどうかしらと、理沙が駆け込んで来た。
太腿半ばのチェック柄のスカートで、スラリとした太腿からちょっと風が吹いたり廻ったりすれば下着が見えそうだ。
「それって高校の冬服じゃねえの?」
「そうなの。 もうすぐ衣替えだから着てみたらちょっと短いみたいなんだけど、どう?」
「理沙、それ入学から着てたやつかい?」
「そうよ、まあショーパン穿くからいいかしら?」
「いやちょっと待てよ。 そういうことじゃなくて。」
クローゼットのドアの柱に理沙を立たせ現在の身長をマークすると、入試前の高さより16センチ伸びている。
「こんなに伸びたんだな。 毎日見てるから気付かなかったよ、凄いな。 ということは今の身長は163cmか。 だからスカートが短くなったんだよ。」
「やっぱり短いかしら?」
「いや脚の長さも前と比べよう。」
スカートを上げさせ、花柄の可愛いちょっと小さいピッタリした下着の股間の付け根をマークすると、前より11センチ高い位置になった。
「驚いたね。 半年ちょっとで脚が11cm、座高が5cm伸びたんだな。」
「もうスカート下げていい?」
「おっ、もういいよ。 きれいな脚とお尻に可愛いパンツだけどそのままじゃ丸見えになるぞ。」
「ショーパンで駄目かしら?」
「ちょっとおふくろを連れて来いよ。」
母に説明すると、スカートの折り返しをみて4cmしか出せないのを確認した。
「夏服は直前だったからまだどうにかだけど、4cmだしてもまだ短いわね。 いいわ、午後買物に行きましょ。」
「ママ、出すだけ出して下げて着ればいいから、買わなくていいです。」
「いいのよ、理沙はそんな心配しなくて。 リーレも連れて何か買ってあげるわ。」
「おふくろ、身長が伸びると足もそうだし、靴もかな?」
「お兄ちゃん、そんな贅沢言わないで。」
「解ったわ、一通り全部ね。 午後よ。」
「ママ、贅沢しません。 お母さんは小さくなるといい顔しなかったし。」
「それは直子さんの問題だったんでしょ。 ママは理沙の身体最優先よ。」
理沙のお母さんではなく直子さんと言い切った母に、母の矜持と強さを垣間見た気がする。
競馬を見ている父に留守番を頼み、3時に空手道場で小中学生男女の別なく練習相手をして、その後防具を着けた高校生以上と対峙したが、蹴りを入れる相手のほうが痛がるのが殆どで、あまり自身のトレにはならないが丁寧に相手を務める。
賢が歩いて帰宅するのと、理沙たちの車の帰りと同時で、紙袋の荷物を運び入れて、シャワーを使う。
夕食後最後に風呂に入り、明日は日曜だし、秋のGⅠ連戦の秋華賞の予想でもして呑むかとまたビールを取り出した時、小さなノックと同時にハーパンTシャツの理沙がそろっと入る。
お兄ちゃん見てと、ハーパンTシャツを脱ぎポーズを作る。
「ほーぅ、可愛いじゃん。」
セクシーの方だと思ったが、一つ前で止める。
「今日何枚も買ってもらったの。 これはお兄ちゃん用よ。」
「すっげえ小さいな。 バストも半分出てんじゃん。」
「だからお兄ちゃんとデート用ね。 D85だって。」
「そんなになったか。 脚と背も伸びてセクシーボディだな。」
初めて会った時、小さくて野暮ったい暗そうだった女の子が、1年も経たないのにこれほど変わるかと、感慨と喜びが浮かぶ。
「初めて会ってから随分きれいに生まれ変わってるよ。 もしか理沙以上に俺が嬉しいね。」
「ほんとにそう? お兄ちゃんがそう言ってくれるのが一番だもん。」
そっと寄りかかる理沙にキスして、手を半分露わな乳房に乗せた。
toeicの試験があと10日ほどになり、明後日プロフェッサーに卒論を提出するという日の夕食時、賢は父母に改めて院の修士課程に進みたいことをお願いし、2年時に希望していたことでもあり、了解を得た。
日曜日の試験には賢が付き添い、正午前には受付を済ませ、理沙は教室に入り、試験が終わる3時頃までのんびり待つことにして、陽が当たるベンチに座り周りを眺める。
何となく理沙と初めて出会ってからのことが、順繰りに浮かぶ。
公園の隅で殴り蹴られ蹲る理沙を助けて、怯える細く小さい、ほんとに中学生かと疑わしいような少女を家に連れ帰ってからのことが、もう随分以前のことのように思える。
それからまだ1年も経っていないが、理沙は自分の夢と希望を抱くことができて、それを実現するためにひたむきな努力を始め、共に精神と身体が美しく成長している。
理沙の特質である素直さで、自分のこれからの総てを賢に委ねようとしているが、賢はそれでいいのかという疑問と躊躇いを持っている。
自分ではない他の誰かであるほうが、理沙のこれからに遥かにプラスになるのではないかという思いが付きまとう。
またその反面、その思いは卑怯で、一途な理沙から逃げていると責める自分が居て、揺れ動く日々が続いていた。
ザックに入れておいた温くなったペットボトルのお茶を飲んで、スマホの時間を見ると、試験終了の3時近くで、随分ぼんやり考えていたなと、会場出入口まで歩き、たゆたう思いのまま樹に凭れた。
やがて受験生らしき人達が出て来て、目ざとく賢を見つけた理沙が、お待たせーと腰に抱き付いた。
初めて出会った頃は181cmの賢の臍の高さまでしか無かった理沙が、今は胸まであり、ブラに包まれてはいるが理沙本人と共に存在感を感じさせる乳房の感触がある。
笑顔一杯の理沙に、どうだったと結果予測を聞く必要は無かった。
その笑顔が、精一杯やったことを体現している。
秋の午後の陽射しを受けて、笑顔の理沙の肩を抱き、サラサラのヘアを撫でると、今までのたゆたい、迷いがフッと消え、何もかにもが総て腹にすっと落ちた。
「ありがとう。」
思わず出た言葉だった。
「どうしたの?」
笑顔の理沙が、煌めく瞳を開いて、何の疑いも無いように聞く。
「どうもしないよ。 ただそれだけ。」
理沙の小さな荷物をザックに納め、手を繋いで歩き出す。
信頼して何も聞かない理沙を連れて銀行のATMでお金を下ろし、母に電話させる。
「ママ、お兄ちゃんが今日の夕食はみな一緒に駅傍の居酒屋にしようって。 はい7時にね。」
銀〇の宝飾店に行き、サイズを測ってもらって、シルバーの細い5号リングを理沙の左手薬指に嵌めて、8万4千円を払って外に出た。
細いのでネームを入れることは出来なかったが、それはまた買える時に大きくすればいいというつもりだ。
「お兄ちゃん、高いのにどうしたの?」
「まあいいじゃないか、ほんのプレゼントだよ。」
7時少し前に居酒屋に入り、腰掛式の個室座敷で手を拭いていると、父母とリレーゼも座り、先ず4人分のビールとウーロン茶、焼き鳥と何やかやを注文していると、素早く母の眼が理沙の指輪に留まった。
「理沙、素敵な指輪ね。」
「お兄ちゃんがさっき買ってくれたのよ。」
嬉しそうに左手を挙げると、母が賢の顔を見たが笑顔で濁すしかなかった。
そこに飲物が運ばれる。
「理沙、その指輪、毎日嵌めて学校に行っていいわよ。」
「えっ、ピアスや指輪は禁止なのよ。」
「いいの。 何か言われたら婚約指輪だって言えばいいでしょ。 もう15才よ。」
賢と父母の顔を交互に見る理沙の瞳から、みるみる涙が溢れ、感激したリレーゼが小さく拍手する。
賢は、教養課程の1~2年で一緒で、今も教養学部で考古学を専攻するボート部の次男坊の友達を、いろんな意味でリレーゼに紹介するつもりだった。
「お父さん、乾杯をお願いします。」
父が、賢、理沙、おめでとうとジョッキを挙げた。
((周囲から、もっと先まで、速過ぎ等の叱咤激励を頂きましたので、勝手ながらもう少し続けます。 お許しを。))
Toeic Bridgeを受験してちょうど1ヶ月後、もうすぐ冬休みという12月半ば、Toeicから理沙宛ての親展封書が届いたが、賢が外出していたので理沙は開封せず、賢の帰りを待ったらしい。
理沙が差し出す封書を、いいのかと確認して開封し、中のスコア評価の公式認定書を拡げる。
基礎リスニング1問間違い、リーディング満点で180点満点の178点とあり、ここまでできたかと胸が熱くなる。
理沙に見せて良く出来たねと褒めると、思いの外、本人は満点のつもりだったようで、いささか不満げらしいが、充分以上だと頭を撫でると、夕食の用意をしている母とリレーゼに見せに行った。
理沙以外の全員が、高1で大したものと褒めたし、賢にとっては全く門外漢の分野なので、素直に凄いと受け止めた。
「ならさ、1年前倒しの速さだけど、春休みにToeicテストを受けたらどうだい?
これは就職要件でも800点とか850点以上とかあるし、基準としては解り易いし、ポジションがはっきりするかな。」
「そんなに急がなくてもいいだろうよ。 高校生活も楽しみたいだろうし、勉強も頑張ってるんだからさ。」
父の言葉に虚を突かれ、なるほどまだ1年だし、普通大学時に受けるものだから、理沙にはいろんなことを伸び伸びやってもらうことのほうが大事だと反省した。
「理沙、ゴメンな。 成績が良かったからついね。 のんびり1年先でいいよ。」
理沙が天井に視線を上げ、左の人差し指がテーブルを押さえる。
これは最近気付いたことだが、これは理沙が何かを一生懸命考えている時出る仕草だ。
「ママ、お願いだけど週に一度合気道を習いたいの。 運動と、少しでも鍛錬したいの。 リーレもそうだって。」
「私も一緒にしてみたいの。 日本の武道は憧れだけど、空手は痛そうだから無理よね。 理沙と一緒なら心強いわ。」
「お父さん、最初はお願いしますね。」
「手続きからちゃんとするかな。 私も極力一緒に行くようにするとしよう。」
父は合気道連盟支部長で、名誉5段を勧められているが、まだ現役で名誉の年じゃないと断わっている。
「朋美の袴をとってあるわよ。」
「それはリーレにあげて。 私は最初はジャージでいいでしょ、続くかちょっと心配はあるの。」
母がリレーゼに袴の着方を教え、土曜日には4人で道場に出向く。
心身の鍛錬とまではいかなくても、精神と姿勢を整える目的で、父と仲の良い師範が快く受け入れてくれて、正座から始めるがリレーゼはいささか辛いようで、習慣が違うのだから慣れるまでは我慢しなくて胡坐でもいいからと、師範が優しく呼吸法から指導してくれる。
「寒い冬に汗流すと気持ちいいわね。」
「リ-レ、シャワー後のビールがまた美味いぞ。」
「パパさん、早くそうしましょ。」
我家の食卓が、朝であれ夜であれ賑やかになって料理、酒ともに美味いし、会話に希望があることがたまらんと、ついお湯割りが進む。
「理沙、Toeicも頑張ったし、冬休みにさリ-レも一緒にスキーでもと思ったんだけど、そいつちょっと後回しな。」
「はい、いいわよ。 スキーなんてしたことないし。」
「うん、いつも何かあると俺達ばっか遊びに行くけど、親父とおふくろさあ、正月温泉で骨休みしたらどうだい?」
「あらあら、そういうこと。 嬉しいけど、食事はどうするの?」
「コンビニあるし、どうでもなるよ。 のんびりしてくればいいさ。」
「はい、気持ちだけで充分よ、ありがとう。」
結局父母が骨休めに行くこともなく、3人で年末に一泊二日のスキーに行って、初めての二人のコーチをしてボーゲンで降りれるようになるまでにはなった。
理沙と初めて出会って丸2年経った1月末、偶然下校中の理沙と駅で出くわし、パフェとコーヒーの道草をして帰宅したところ、事務所前で朋美に呼ばれた。
応接室に男性3人と父、兄が居て、父が紹介は後にするから、このペーペーを読んでみてくれないかと3枚の書類を理沙に渡す。
一人じゃ嫌だろうから賢も一緒にと促され、理沙が持ったペーペーを横から覗くと、建設会社の北南米地域での経営方針の転換を指示する書類で、相当の極秘書類らしい。
今までのインフラ建設から、JV企業体を組んでエネルギー開発に着手するというこれからの基本方針の転換を指示するもので、理沙が指差す2~3の専門用語を小さな声で説明して読み終えた。
「理沙、どういう人が書いたと思うかい?」
父の質問に、賢の顔を見て、もう一度ペーペーに眼を落とす。
感じたままでいいですかと聞く理沙に、父がそれでいいからと答える。
「多分女の人が書いたものだと思います。」
3人の男性の顔が強張った。
「それで?」
「多分日本語を先に学んだ女性の文章で、ひょっとしたら別に原本があるんじゃないでしょうか?」
制服から出るきれいな膝から少し上の太腿に乗せたペーペーを、テーブルに置く。
例えばと父が渡した鉛筆で、何箇所かアンダーラインを薄く書き入れる。
賢は感心し、どうしてそう思うかの疑問はあったが、口は挟まない。
そこでやっと父が夫々を紹介し、3人の男性の名刺を貰った。
年長者で60才くらいかなと見当をつけた男性が、最大手の建設会社代表取締役副社長で、同じく代表取締役専務北南米担当と、取締役法制室室長の層々たる3人だった。
賢は知らなかったが、今まで何度となくこの会社の国内外の訴訟を事務所で請負い、丁寧な対処をしてきたことで、非常にデリケートなこの問題を持ち込まれたらしかった。
昨年11月に、この会社の北南米での経営方針の転換を指示する極秘書類が人手で北南米子会社に渡されたが、それがこの3枚の書類で他の1社にリークされたというこで、誰がと、始末を含めての相談らしい。
父が賢を東〇大学院工学部修士課程1年、理沙を女子高2年、Toeicテスト975点と改めて紹介すると、3人の顔付が変わった。
この会社の法制室その他の中の社員でも905点1人が最高ということで、二人を見る3人の理沙を見る眼が全く変わる。
去年、高2の夏休みにToeicテストを受験し、990点満点の975点だった公式認定証を見せて、3人を納得させ得たことが、自分のこと以上に嬉しい。
理沙は、夏休みにToeicSWテストを受けるために、今はいろんな表現方法をリレーゼから習っている。
この相談の慰めは、まだこのペーペーでは方針変更だけで具体的手法には触れられていないことで、それもやがて決定するという段階であるらしく、これ以上の漏洩は許されないことで、そうなれば3人の責任問題にもなりかねないらしい。
「リ-レにも見てもらったほうがいいと思います。 一人より二人の意見を聞くべきでしょう。」
高2とは思えないほどのしっかりした意見を、理沙が口にする。
リレーゼの帰りを待ち、やはり理沙と同じ答を聞いて3人が帰った。
もうすぐ高2の3学期が終わろうとする頃、賢は理沙から相談を受けた。
1年後の大学進学について、現付属女子高の大学へ特待受験か他大学か若干迷いがあるようだが、特待のほうに決めたいようだった。
「女子だけがいいし、特待なら少しは親孝行かしらね。」
「いや費用は別だけど、やっぱ共学だめなん?」
「家族以外の男性はいやね。 お兄ちゃんだけでいいよ。」
「あの女子大は変革しだして評判は良くなったけど、まだ評価は定まってないようだけど。」
「大学の評価がどうかじゃなくて、自分が何をするかでしょ。」
「そこまで解ってればもう言うことなしだな。 決定して、おふくろ達に報告でいいよ。」
特待入学は大学側の希望でもあり、両者の利害が一致し、理沙が自分のすべきことをしっかり睨んでいることもあり、両親の反対は無かった。
春休みに入り、母と理沙が買物に行き、黒とグレーのパンツとスカートのスーツとヒールシューズを着て見せてくれた。
「おっ、似合うよ。 もう大人のレディじゃん。 また伸びたのかな、測ろうか?」
返事の前にスーツを脱いで、花柄の下着とブラだけになり、クローゼットの柱前に立ったので、身長と脚をマークすると、身長が167cmで脚と座高が2cmずつのびている。
「ナイスプロポーションになったな、抱き着きたいね。」
「胸がE86だって。 お兄ちゃんならいいよ。」
1年前から生理が始まったことは聞いたが、細く締っているのにバストはあり、白い裸身は見事に育っている。
「いやまだ先だな。 余計な負担になっちやいけねえし。」
「ねえ、アンダーヘアはまだなんだけど、やっぱりおかしいのかしら?」
「人夫々だから気にすることねえよ。 無いほうがすっきりするかもな。」
「お兄ちゃんが良ければいいわ。」
スーツを買った3日後の木曜日の夕方、父、兄、理沙、リレーゼの5人がスーツ姿で出かけたのは、超一流の料亭だった。
この前の建設会社が設けた席で、情報のリーク元を掴めないまま動き出していたら、何百億、何千億もしくは兆単位の損失になる可能性があり、それを防ぐことができたことへの取り敢えずのお礼ということだった。
この前のリーク文書は、現地法人子会社の課長の奥さんが滞在5年予定の3年目に情緒不安定になり、夫が持ち帰った文書を書き換えたことが原因らしく、社内背任を事前に摘み取ることができたらしい。
新年度から、父の事務所はこの建設会社グループの顧問弁護士契約を結ぶことが決定して、ますます忙しくなるが大きな張り合いのようだ。
副社長のごゆっくりどうぞから始まり、珍しい料理をおいしいと食べる理沙と、大吟醸を呑むリレーゼに20万入りの白封筒が渡される。
「ほんのささやかなお礼です。 もしお二人が宜しければ会社にお越し頂いて海外からのメールや書類をチェックして頂けるのであれば、僭越ですが先ずは時給1万をお支払致します。 お二人は弊社にとって高能力の人材であると考えています。 お兄さんも入社頂きたいとまで思っております。 これは社交辞令ではありませんので、早急に一度来社して頂ければ幸いです。 蛇足ですが理沙さんは高校生ですので、そのことは当方で配慮させて頂きます。」
家族構成については、父が話しているようだ。
豪華な食事が終わり、2次会へは父、兄、リレーゼが行き、賢は理沙を連れて、母にお土産を買って帰宅した。
まだ呑み足りない賢が緩く暖房した自室で呑んでいると、風呂を終えた理沙が、お菓子とジュースを持ってラフな服装でソファの横に座った。
「ノーパンノーブラかい?」
「そうです、お兄ちゃんだけだからよ。 明日郵便局に一緒に来て。 預けるから、一人じゃ怖いし。」
「ああ、いいよ。 ところで小遣いいくらもらってんの?」
「5千円だけど殆ど使わないわ。 おやつはあるし、お洋服もママが買ってくれるから。」
「だけど自分で欲しい物もあんだろ?」
「ううん、そんなに欲しい物なんてないわ。 先にママやお兄ちゃんが考えてくれるし、ノートやシャーペンの芯くらいだもん。」
改めて、いまどき珍しく慎ましいなと思う。
「それよりね、リ-レ、やっぱりお兄ちゃんがいいんだって。」
Hのことに思い至るまでに、暫く時間が掛かった。
「そんなこと話してんのか?」
「だってママと3人で隠し事無しだもん。」
種類と限度があるだろうと思うが、理沙とリレーゼ夫々の生い立ちと環境を考えれば無理も無いことかもしれない。
「紹介したお友達と月1回会ってるけど、お兄ちゃんの方がしっくりフィットするそうよ。」
「そう言われてもよ。」
「お兄ちゃん、理沙は全然構わないのよ。」
「可愛い顔とナイスボディでそれって、物凄いこと言ってんだぞ。」
「ママがね、お友達を紹介したのはお兄ちゃんのけじめと、筋を通した潔さだって。 ねえ、私へのけじめとしてそうしたんでしょ?」
「まあそれもあるけど、いろんな意味でだな。」
「とても嬉しいんだけど、お兄ちゃんだって時々はHしないと辛いんでしょ。 そのことのほうが申し訳ない気がするし、心配なの。」
ここまで聞いて、理沙が何を言いたいのかおおよその想像はできたので、お湯割りからロックに変えて、一度きりのリレーゼの裸身を思い浮かべる。
「理沙に遠慮しないで、リ-レとHして下さい。」
やっぱりそういうことだなと、ロックを流し込む。
「言葉も習慣も違う外国に一人で来てるリ-レが可哀想なの。 私だってたった2週間だけど大変だったし。 だからできるなら少しでも良い方にしてあげたいの。」
まあ本音としては有難いと思うが、それでも心のどこかに当て馬であるような、微かにザラッとする引っ掻き傷のような感触がある。
「リ-レがセンシティブは大事にしつつも、合理的に割り切るって。」
「おふくろは何か言ったかい?」
「ママは、あとを引かないのであれば、上手くしなさいとだけだったわ。」
そこまでの共通認識があるのであれば、もう細かなことをグチャグチャ気にせず、ドライに割り切ろうと腹を決める。
「解ったよ、心配や思いやりを全部飲み込んで、3人一両得になるようにするしかないな。」
「ありがとう、リ-レが喜ぶわ。」
まあ月に1回あるかないかくらいのことだし、スポーツだと納得したところで、理沙の腰を抱き寄せ、タンクトップの下に手をいれ見事に張り詰める乳房をそっと掴む。
「お兄ちゃん、理沙とSexしたいの?」
「もちろんそうさ。」
「お兄ちゃんがしたいのなら、、、してもいいです。」
この際だからはっきり言っておこうと腹を決めて、理沙の右手を両手で握る。
「俺は理沙が大好きだ、可愛い顔と見事な身体は当然だけど、それ以上に理沙の心が大好きだよ。 素直で慎ましいが芯の強さもある理沙の全部が大好きだ。 しかし今はまだだよ、夏にはToeicS(スピーキング)W(ライティング)テスト、12月に特待試験があるだろ。 近いうちに必ずそうするけど、余計な負担にならないようにさ。 Sexするしないで変わることは無いから、ずっと二人で手を繋いで歩こうよ。 俺は理沙だけだからね。」
「はい、理沙はお兄ちゃんと手を繋いで生きます。」
理沙を抱きしめ、額に約束のキス、唇に愛情のキスをした。
ここで一時終わります。 続編はいつか近いうちに。
ありがとうございます。 by レトロロ
