あきは、貴子さんの二度目の入院に対して

落ち込んでいる様子ではあったものの

救急で運ばれた、前回の入院地比べて

比較的落ち着いて見えた。

 

この時の貴子さんの入院は、

内臓機能の低下の治療のためで

大変ではあるものの

直接生死に関わるような状態では

なかったと記憶している。

 

私と牧さんは、

貴子さんが病院にいる間

少しでも、あきが介護から解放されて

気持ちも身体も休めるといいね。

と話していた。

あきは、あまりに一生懸命

介護をしていたように見えていたので。

 

その時も、入院の保証人として捺印し

あきの話を聞いていた。

 

貴子さんが入院している間は

少し、あきも体を休めてね。

夜出かけられるようなら

ご飯食べに行こうね。

という様なことを話していた。

 

「奢ってよね!」

あきが言い放った時、

 

「えっ」と違和感を感じたのを覚えている。

 

私たちが、金欠だったということもあるが、

"大変な状態の私には奢るのが当然"

とも取れる言い方への違和感。

 

あきは、何度か

『高価な差し入れやプレゼントには

下心もあるのよ』という様な

言い方もしていた。

 

お礼という名のゴージャスな贈り物は

更なる支援の先行投資という意味に取れるが

その時は、あきらしい、

照れ隠しだと思っていた。

 

あきは本当に、

「これだけしているのだから

これだけのことしてくれて当然でしょ。」

と思っていたのかもしれない。

あきは、私たちの仕事の状態など

知る由もないし。

 

私たちは、違和感に目を瞑り

「ご飯行こうね!」と言って別れた。