ある日、あきが高級時計を2本持って
会社にやってきた。
以前にも少し触れましたが
あきは、唯一の親親戚付き合いをしていた
近所に住む従姉妹と折り合いが悪かった。
私たちより10歳年上で
熟年結婚をした後
夫に先立たれた従姉妹は
遺族年金で十分暮らせるはずなのに
あきや貴子さんに
借金をしていたようだ。
あきの留守中に
判断力の鈍った貴子さんに
お金を無心する狡猾さ。
その返済もできていないのに
セレブライフをSNSにアップする
神経がわからないというあき。
しかも、従姉妹の借金の
使用用途が"固定資産税の支払い"って、
うちは賃貸に住んでますけど？
固定資産税払えないんなら
お家売ったらどうですか？とあき。
ごもっとも。
少なくとも、少しづつでも
返そうという誠意を見せてくれれば
話は違ったのに、
返しもせずに、新たな借金を打診してくる
従姉妹に金輪際関わりたくないと。
借金返済に苦心したあきからしたら
本当に腹が立ったに違いない。
もし、あきに万一のことがあれば
あきの遺産がその従姉妹に
行くことになるので対策をしたいと。
で、資産価値のあるものは
譲りたい人に早めに譲っておくというのが
高級腕時計をうちに持ってきた理由だった。
困惑した私と牧さん。
超高級というわけではないが
どちらも、販売価格は20万前後はしている。
今まで、貰ったものとは桁が違う。
例によって有無を言わさないあき。
わかった、とりあえず預かっておく。
ということで納得してもらった。
高級品もらってラッキーという
気持ちは微塵もなく
ただただ重かった。