あきの治療方針と

手術の日が決まった。

 

貴子さんを一人でうちに

置いて行けないので

病院に事情を話し、

付き添いという形で

一緒に病院で寝泊まりすることに。

 

 

私は入院の保証人と、

手術の同意書にサインをし

治療方針も一緒に聞いた。

 

治療方針や注意事項など書いた冊子を

あきから渡された。

 

「えっ?」とは思ったが

何も言えなかった。

 

あきの気持ちが

重たく感じていたのかもしれない。

病気に関して私のできることはないので。

 

あきが、手術のために入院する少し前

うちの双子が高校に入学した。

 

あきは、これは貴子からと言って

過分なお祝いを二人分くれた。」


あまりに多かったので、あき

多すぎて申し訳ないということを伝えると

「それ貴子からだから気にしないで!」

と言ってくれたけど

今思えば、お祝いは

あきからだったんだろうな。

 

貴子さんに連絡してお礼を言って

あきのことを少し話した。

 

貴子さんの認知症は

普通に会話も成立するし

ちょっと話したくらいでは

気が付かないレベルだった。

 

何より、明るくて

あきの病気で憔悴している

様子はなかった。

 

それが、性格のせいなのか

認知症のせいなのかはわからなかった。

 

あきは、こんなにしんどい人生なら

命は助からなくてもいいというようなことを

よく言っていた。

ただ、貴子を一人にはできないから

治療するだけだと。

 

唯一の救いは、

あきが正社員になっていたことと

その直前に保険に入り直していたため

お金の心配がなかったことだ。