創志学園
病態学 脳神経
第6回 確認テスト
解答
次の文を読み問題1~3に答えよ。
Aさん(59歳、女性)は、午前2時ころにバットで殴られたような激しい頭痛を自覚し、嘔吐した。午前4時、Aさんは、頭痛を我慢できなくなったために、家族に付き添われて救急搬送され、緊急入院した。入院時、ジャパン・コーマ・スケール<JCS>Ⅰ-1、四肢の麻痺を認めない。
問題1
Aさんはくも膜下出血と診断された。 再出血を防ぐためのケアで適切なのはどれか。
1. 深呼吸を促す。
2. 起坐位とする。
3. 病室を薄暗くする。
4. 頭部を氷枕で冷やす。
解答・解説
× 1. 深呼吸を促す。
緊張している場合は深呼吸によって血圧が下がる場合があるが、必ず効果が出るわけではなく、このような状況でのケアとしては不適切である。
× 2. 起坐位とする。
起坐位によって血圧が下がる場合があるが、体動による刺激によって血圧が上昇することも考えられる。現在は安静が必要であるため臥床した姿勢が適切と考えられる。
○ 3. 病室を薄暗くする。
患者周囲の音や光などによる刺激が血圧上昇の原因となるため、病室を薄暗くするのは、再出血を防ぐケアとして適切である。
× 4. 頭部を氷枕で冷やす。
頭痛に対して冷罨法が行われることもあるが、冷感刺激も血圧上昇につながる可能性があるため、再出血を防ぐケアとしては不適切である。
問題2
Aさんは、入院後に緊急開頭術を受けることになった。手術を受けるまでの看護で適切なのはどれか。
1. 浣腸を行う。
2. 排痰法の練習を勧める。
3. テタニー徴候を観察する。
4. 不整脈の出現に注意する。
解答・解説
× 1. 浣腸を行う。
浣腸による刺激や排便時の努責は血圧上昇の原因となる。血圧上昇は再出血につながる可能性があるため、適切ではない。
× 2. 排痰法の練習を勧める。
排痰法の咳嗽による刺激は血圧上昇の原因となる。血圧上昇は再出血につながる可能性があるため、適切ではない。
× 3. テタニー徴候を観察する。
テタニー徴候は低カルシウム血症が原因で手足に起きる、強直やけいれん、びくつきなどの症状である。くも膜下出血で生じやすい徴候ではない。
○ 4. 不整脈の出現に注意する。
頭蓋内圧亢進や再出血によって循環動態に異常が生じる場合があり、早期発見が重要であるため、不整脈の出現に注意する必要がある。
問題3
開頭術後24時間が経過した。JCSⅠ-2。体温37.5℃。脈拍88/分、血圧138/84mmHg。呼吸数18/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>98%(酸素吸入3L/分)。脳室ドレナージが行われている。
Aさんへの看護で適切なのはどれか。
1. 両腋窩を冷やす。
2. 酸素吸入を中止する。
3. 起き上がらないように説明する。
4. 痛み刺激を与えて意識レベルを確認する。
解答・解説
× 1. 両腋窩を冷やす。
両腋窩の冷罨法が必要なほどの体温上昇ではない。
× 2. 酸素吸入を中止する。
3L/分の酸素吸入でSpO298%であり、酸素吸入によってSpO2が維持できていると考えられる。酸素吸入を中止するのは適切ではない。
○ 3. 起き上がらないように説明する。
脳室ドレナージ中は、患者の頭部の高さとチャンバーの高さの差で脳圧を調整している。患者が起き上がると脳圧が設定値よりも低くなってしまう。よって、起き上がらないように説明するのは適切な看護である。
× 4. 痛み刺激を与えて意識レベルを確認する。
患者はJCSⅠ-2で、刺激がなくても覚醒している意識レベルである。あえて痛み刺激を与える必要はない。
次の文を読み問題1-3に答えよ。
Aさん(52歳、男性)、自営業。既往歴に特記すべきことはない。屋根を補修するためにはしごを登っていたところ、足を滑らせて転倒し、頭部を打撲した。救急車で病院に搬送され、頭部CTで、右前頭葉と側頭葉の脳挫傷と右側頭葉の脳内血腫を認めた。
問題1
入院時、Aさんは痛み刺激に対しても開眼することはなく、払いのけるような動作をするのみで、左上下肢の動きが右上下肢に比べて弱かった。
ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉による評価はどれか。
1. Ⅱ-20
2. Ⅱ-30
3. Ⅲ-100
4. Ⅲ-200
5. Ⅲ-300
解答・解説
× 1. Ⅱ-20
× 2. Ⅱ-30
○ 3. Ⅲ-100
× 4. Ⅲ-200
× 5. Ⅲ-300
問題2
緊急で開頭血腫除去術が行われ、硬膜外にドレーンが挿入された。術後はICUに入室した。ICU入室6時間後のAさんの状態は、血圧138/76mmHg、脈拍82/分、体温37.4℃。呼びかけに対して容易に開眼し、簡単な指示に応じることができるようになった。しかし、その後2時間で意識レベルが術前のレベルまで進行性に低下した。血圧156/68mmHg、脈拍67/分、体温37.8℃、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(酸素吸入3L/分)。
この状態から考えられるAさんの病態として適切なのはどれか。
1. 術後感染
2. 脳血管攣縮
3. 低酸素血症
4. 術後頭蓋内出血
解答・解説
× 1. 術後感染
術後感染では、急激な意識レベルの低下は起こらない。
× 2. 脳血管攣縮
脳血管攣縮はくも膜下出血の後、4日〜14日くらいを経て起こる。
× 3. 低酸素血症
低酸素血症は意識レベルの低下をきたすが、設問では経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)96%とあるため、低酸素血症とはいえない。
○ 4. 術後頭蓋内出血
意識レベルが急激に低下したことから、術後頭蓋内出血が起こり、出血のため頭蓋内圧が上がったと考えられる。
問題3
このときのAさんへの看護で適切なのはどれか。
1. 後頭部を氷枕で冷やす。
2. 上半身を30度程度挙上する。
3. 左上下肢の関節屈曲運動を行う。
4. 右上肢を抑制して硬膜外ドレーン抜去を予防する。
解答・解説
× 1. 後頭部を氷枕で冷やす。
術後頭蓋内出血は後頭部を氷枕で冷やしても状態の改善にはつながらない。
○ 2. 上半身を30度程度挙上する。
上半身を30度程度挙上することは出血を助長しないので、脳浮腫の予防、頭蓋内圧の上昇防止のために適切である。
× 3. 左上下肢の関節屈曲運動を行う。
術後頭蓋内出血を起こしているときに関節の屈伸運動などを行うと出血を助長するおそれがある。
× 4. 右上肢を抑制して硬膜外ドレーン抜去を予防する。
硬膜外ドレーン抜去を予防することは大切であるが、抑制をすることは倫理的に考えて適切ではない。
次の文を読み問題1~3に答えよ。
Aさん(65歳、男性、会社員)は、午後2時、会議の最中に急に発語しづらくなり、右上下肢に力が入らなくなったため、同僚に連れられて救急外来を受診した。既往歴に特記すべきことはない。来院時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3、瞳孔径は両側2.0mm。呼吸数18/分、脈拍60~80/分、不整で、血圧176/100mmHg。右上下肢に麻痺がある。午後4時、Aさんの頭部CTの所見で特に異常は認められなかったが、MRIの所見では左側頭葉に虚血性の病変が認められた。
問題1
この後の治療でまず検討されるのはどれか。
1. 血流の再開
2. 脳浮腫の予防
3. 出血性素因の除去
4. 脳血管攣縮の治療
解答・解説
○ 1. 血流の再開
状況設定文に虚血性の病変が認められたとあるため、血栓などが脳血管を閉塞させている原因を取り除き血流を再開させることが治療として検討される。
× 2. 脳浮腫の予防
脳梗塞に伴う脳浮腫の予防は大切であるが、まず検討される選択肢ではない。
× 3. 出血性素因の除去
状況設定文に虚血性の病変が認められたとあるため、脳出血ではないことから、出血性素因の除去は治療として考えにくい。
× 4. 脳血管攣縮の治療
脳血管攣縮はくも膜下出血の後、4〜14日くらいを経て起こる。脳血管攣縮は起こしていないと考えられる。
問題2
Aさんは心原性の脳梗塞と診断され、入院後に治療が開始された。入院後5日、意識レベルがジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-30まで低下した。頭部CTで出血性梗塞と脳浮腫とが認められ、気管内挿管・人工呼吸器管理を行い、マンニトールを投与してしばらく経過をみることになった。
この時点の看護で適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 電気毛布で保温する。
2. 瞳孔不同の有無を観察する。
3. 水分出納を正のバランスに管理する。
4. Cushing〈クッシング〉現象に注意する。
5. ベッドを水平位にして安静を維持する。
解答・解説
× 1. 電気毛布で保温する。
患者は脳浮腫を起こしている。頭蓋内圧を亢進させないようにするためには低体温にすることで、脳代謝の抑制や脳血流量を減少させることがよく、よって電気毛布を使用することは適切ではない。
○ 2. 瞳孔不同の有無を観察する。
患者は脳浮腫を起こしており、続いて頭蓋内圧が上昇すると、頭蓋内圧亢進症状として動眼神経麻痺が起こり、障害された側の瞳孔が散大し、左右の瞳孔の大きさに差が出る瞳孔不同が生じる。頭蓋内圧亢進症状を見逃さないためにも瞳孔不同の有無の観察は重要である。
× 3. 水分出納を正のバランスに管理する。
脳浮腫を起こしており、水分出納を正のバランスに管理するのはより浮腫を助長するため不適切である。
○ 4. Cushing〈クッシング〉現象に注意する
脳浮腫を起こし頭蓋内圧が上昇すると、脳に血液が流れにくくなり、血圧が上昇し徐脈となる頭蓋内圧亢進症状が出現する。これをクッシング現象と呼ぶ。頭蓋内圧亢進症状を見逃さないためにもクッシング現象には注意が必要である。
× 5. ベッドを水平位にして安静を維持する。
患者は脳浮腫を起こしているため、頭部挙上をすることで、脳からの血流を心臓に戻りやすくし、頭蓋内圧の亢進を防ぐ必要がある。
問題3
減圧開頭術後2週。気管内チューブは抜管され、意識レベルはジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-10である。右上下肢の麻痺と運動性失語とが認められ、発語は少ない。利き手は右手である。
Aさんとのコミュニケーションの方法で最も適切なのはどれか。
1. 筆談を促す。
2. 文字盤を用いる。
3. 大きな声で話す。
4. イラストを用いる。
解答・解説
× 1. 筆談を促す。
運動性失語では書字が困難となるため、筆談を促すのは適切ではない。
× 2. 文字盤を用いる。
運動性失語では程度の差はあるが書字が想起できないことがある。そのため文字盤を用いるのは適切ではない。
× 3. 大きな声で話す。
運動性失語では話を理解することはできている。よって大きな声で話す必要はない。
○ 4. イラストを用いる。
運動性失語によって書字を想起できないため、イラストを用いてコミュニケーションをとることは適切である。
次の文を読み問題1~3に答えよ。
Aさん(70歳、男性)。妻(74歳)と2人で暮らしている。Aさんがトイレに入ったまま戻ってこないので妻が見に行くと、トイレで倒れていた。妻が発見直後に救急車を要請した。救急隊からの情報ではジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-20で右片麻痺があり、バイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数16/分、脈拍108/分、血圧200/120mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%であった。
問題1
救命救急センター到着時に観察する項目で最も優先するのはどれか。
1. 体 温
2. 心電図波形
3. 意識レベル
4. 尿失禁の有無
解答・解説
× 1. 体 温
体温は36.5℃で基準値内である。また、意識障害と右片麻痺という症状からAさんには脳血管障害が起こっていると考えられ、脳血管障害の観察項目として体温の優先度は低い。
× 2. 心電図波形
脈拍は108/分で基準値より多く、頻脈である。しかし、意識障害と右片麻痺という症状からAさんには脳血管障害が起こっていると考えられ、観察項目として心電図波形の優先度は低い。
○ 3. 意識レベル
意識レベルはJCSⅡ-20で意識障害があり右片麻痺もあり、Aさんには脳血管障害が起こっていると考えられる。脳血管障害の急性期では障害が進行して意識障害が悪化する可能性があるため、観察項目として意識レベルの優先度は高い。
× 4. 尿失禁の有無
JCSⅡ-20で意識障害があり右片麻痺もあるのですでに尿失禁しているか尿失禁する可能性が高い。しかし、意識障害と右片麻痺という症状から脳血管障害が起こっていると考えられ、尿失禁よりも生命の危険が大きい脳血管障害の観察が優先される。
問題2
頭部CTの結果、高血圧性脳出血と診断され、集中治療室に入室した。入室時にはジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-30。体温37.0℃、呼吸数16/分、脈拍82/分、血圧154/110mmHg。入室から8時間後、体温37.2℃、呼吸数18/分、脈拍50/分、血圧208/106mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%になり、呼びかけと痛み刺激に開眼しなくなった。
このときのAさんの状態はどれか。
1. 低酸素脳症
2. 脳圧亢進症状
3. 髓膜刺激症状
4. 正常圧水頭症
解答・解説
× 1. 低酸素脳症
集中治療室入室時、呼吸数16/分、入室8時間後は呼吸数18/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%で、呼吸回数とSpO2は基準値内のため、低酸素脳症は考えにくい。
○ 2. 脳圧亢進症状
高血圧性脳出血との診断から、脳出血が継続している可能性がある。出血が続くと脳圧(頭蓋内圧)が亢進し、血圧上昇や徐脈(クッシング現象)、意識障害の悪化などが生じる。Aさんは血圧上昇、徐脈、意識障害の悪化が生じていることから、脳圧亢進症状が出現していると考えられる。
× 3. 髓膜刺激症状
髄膜刺激症状とは感染や出血などで髄膜が刺激されたときの症状で、項部硬直などが起こる。Aさんは脳内出血の可能性があるが、項部硬直はないため、髄膜刺激症状は考えにくい。
× 4. 正常圧水頭症
正常圧水頭症は脊髄圧の上昇のない水頭症で、症状には歩行障害や認知症、尿失禁などがある。Aさんは、血圧上昇、徐脈、意識障害が生じており、正常圧水頭症の症状と一致しない。
問題3
入院から4週が経過し、病状が安定して意識が回復した。Aさんは後遺症として運動性失語が残り、言葉がうまく発せられないため涙ぐむことがあった。妻は面会後「夫が話す言葉が分からず、どう接すればよいか分からない」と言って戸惑っていた。
妻に対する対応で最も適切なのはどれか。
1. 「いつもどおり話をしてあげてください」
2. 「看護師も同席してAさんとお話ししましょう」
3. 「リハビリテーションで話せるようになりますよ」
4. 「分かりやすい言葉で話しかけてあげてください」
解答・解説
× 1. 「いつもどおり話をしてあげてください」
運動性失語では言葉の理解はできるがうまく発語ができないので、Aさんが話しやすく短い言葉で返事ができるように話しかけるなど、会話を工夫する必要がある。
○ 2. 「看護師も同席してAさんとお話ししましょう」
Aさんの妻は「どう接すればよいか分からない」と言っているので、看護師が同席して、会話の手本を見せたり助言をする援助が必要である。
× 3. 「リハビリテーションで話せるようになりますよ」
失語などの高次脳機能障害は、リハビリテーションによってある程度は回復するが完全に回復することはないため、この発言は適切ではない。
× 4. 「分かりやすい言葉で話しかけてあげてください」
運動性失語では、言語理解は可能であるため、分かりやすい言葉で話しかける必要はない。