この稲荷さんはあの有名な安倍晴明のお母様が祭られている稲荷さんです
 
場所は大阪市和泉市、JR北信太駅のすぐ西側です
名称は 泉州信太森葛葉稲荷 とあります、信太森神社の方が
私などは分かりやすいんですが・・・
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全く不思議な神社?お稲荷さんです・・・
多くの神様が祭られています…全部で68神、目の神様はじめ
道案内の神様や集金の神様、水商売の神様と色々
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それ以外になんとなく懐かしいような神社でした~
ここはとにかく私の好きな安倍晴明の母がいる稲荷神社です
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有名な葛の葉物語の舞台です
 
今より千余年前、朱雀天皇の御頃
 現在の大阪市阿倍野の里に安倍保名(安倍仲麻呂第7代の孫)という
 美丈夫が住んでいました。父は元この一帯の豪族でありましたが
 悪人の讒言にかかってその所領を没収せられました。
 保名はなんとかして出世して家名を再興したいと思い
 世に霊験あらたかと聞いていた信太森葛葉稲荷へ
 日参する事にしました。
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ある日念じ終わって帰途につこうとすると一本の流れ矢が飛んできて
傍らの杉の根元にフツと立ちました。
 これは何事かと思う間もなく逃げ場を失った一匹の白狐が走り去り
 保名の後ろに隠れ、救いを求める様子でした。
 元来情け深く賢い保名はこれこそ大神の御命婦であると直感し
 傍らの石を楯として後ろの草むらに白狐を隠し
 自分はその石に腰をおろして静かに憩うている体を装うのでした。
折からドヤドヤと駆けて来た数人の狩人は
 「我々は只今一匹の白狐をここに追い込んだが貴殿は見なかったか?
見ないとはいわさぬ」と問い、かつ なじるのでしたが保名は断固として
突っぱねたので狩人たちに叩かれ、秘術を尽くして闘ったが多勢に無勢で
 数箇所に手疵を負い その場に倒れてしまいました。
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狩人たちが他所に探しに立ち去った後、御神木楠ノ樹の下から見るからに
 神々しい1人の女が走り出て保名の疵に手を当ててかいがいしく介抱しました。
 保名は嬉し涙に暮れながら礼を言うと「妾はこの森に住む葛乃葉と申すもの、
 そなたを阿倍野まで送り届ける程に一挺の山駕を雇うて来る」と言うので
 保名は彼の女が名乗りもせぬのに我が住まいまで知っていることに
 不審を抱きながらも唯夢うつつの如く駕に揺られて立帰るのでした。
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保名は早速近くの医師を招き手当てを致しましたが
 其の夜から発熱が甚だしく枕も上がらぬ始末でした。
 保名は葛乃葉の姿が目の先にちらつき、
 何人の娘であろう…
 早く快くなってお社に詣ったら又会うこともあろう、
 あの娘も毎日お社に詣でるのであろうか…
 など 思いは信太の森へ通うのでした。
 
鶯の 声なかりせば 雪消えぬ 山里いかて 春を知らまし
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今までは家の再興と云うことが一心になって女のことなど考えてもみなかった保名も、
 葛乃葉の姿を見てよりその事ばかり思いつめ心は信太の森へ飛びつつも自由にならぬ
我が身を腹立たしく思うのでした。
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それからニ・三日した或る日の夕暮れ時意外にも葛乃葉が見舞いに来て呉れました。
 葛乃葉は「女手が無くては何かと不自由と思いますれば暫く泊まって御手伝ひ致しましょう」
との事に保名の喜びはいかばかり、感謝の言葉もまともに口へは出ない程でありました。
 医師の手当てと葛乃葉の、痒い所に手の届く介抱に日一日と快方に向かい
今は殆ど全快に近づきましたが葛乃葉は帰ろうとはいたしませんでした
 
「それ男女和合は天地自然の理にて森羅万象何ものかこれなからむ」
 保名と葛乃葉も互いの心が通じ合いいつしか離れられぬ仲となり夏去り秋去り、
 その年の暮れには葛乃葉は保名の種を宿し妊娠の身となつておりました。
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「歳月とは流れる水の如し」とか保名と葛乃葉の間にもうけた一子、
 童子丸(後の安倍晴明)は疱瘡も無事に済み早や五つの春を迎えたのです。

その秋も中ごろ葛乃葉は我が子を寝かせ秋風の肌に心地よいまま
 縁先に腰をおろし、庭に咲き乱れた乱菊の花を見るにつけ、
 六年前立ち出たまま帰らぬ信太の森の棲家のことなど恍惚と考えるうち
 いつしか神通力がゆるんだのでしょうか化性の姿を顕したのに少しも気がつきませんでした。
 「母様こわい」 ワッと泣き出す童子丸の声に
 ハッと我が身にかえった時はもう取り返しがつきませんでした。
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その夜いよいよこの家を去る決心をした葛乃葉は我が子の寝顔を打ちまもり
 「コレ童子丸、今この母が申すことをしかと聞き覚えよ、
 我はもと人間ならず、六年前 信太の森にて悪右衛門(狩人の隊長)のため狩り出され、
 死ぬる命を汝の父保名どのに助けられし狐ぞやその恩に報ゆるもさる事ながら保名殿は
 信太の森大明神に信仰なし、安倍家の再興を念じたまう故にその真心感心ましまし、
 我は稲荷大明神の仰せを受け仮に女の姿と変じ保名どのと契りを結びそなたをもうけしは、
 安倍の家名を興さしめんためなり、それ夫婦親子の愛は愚痴なる畜生三界とて変わりないぞや、
 せめてそなたが十になるまで居りたけれど、我が本性を見られし上は しばしも止り難し、
 これから後は父上の云う事をよく聞いて手習学問に精出し仁義の道を忘れずに成人せよ、
 そなたにあげるこの宝玉は大事にして肌身離さず持たれば必ず役立つこともあるぞ…」
 と童子丸の枕元へ置いて立ちあがりましたが今別れてはいつの世に又逢えるかと
 別離の涙に暮れたことでした。

 せめて夫への形見に一筆書き残さんと傍らの障子に
口に筆をくわえて書き残したのが世に有名な左の一首です。
恋しくば 尋ねきて見よ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉

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かくして葛乃葉は 「我が子よ 我が夫よさらば」
 と絞る悲痛の声と共に白狐の姿と変じて
 行方も知れず飛び立ったのです。

 この物音に目を覚ました保名は、葛乃葉の姿が見えぬので驚きあたりを見廻すと、
傍の障子にかの歌が書いてありますので保名「さては今のは正夢であったか
 六年このかた連れ添うて来た妻の葛乃葉は
 稲荷大明神の御神慮を蒙りし白狐の化身であったのか」有難くも辱ぢけない、
 さりながら今日より母のいない童子丸がいとしくて男泣きに泣きいるのでした。

 保名はなおも諦めきれず その日童子丸を連れて信太の森に詣でてみますと
 今まで無かった葛が社頭一面に生い茂っているのでした。
保名は有難き、忝けなさに この葛の葉(信太森葛葉稲荷の紋章)を
 給わり童子丸のお守りとして養育しました。

 この祈子こそのちの安倍晴明です。

全く不思議な稲荷には色んな力が備わっているみたいで、
昨夜もちょっと違うお客様がお越しになっていたと言うか…(>_<)
 
何度も足を運びたくなる懐かしいお稲荷さんでした~(#^.^#)