鉄板焼のひとりごと考

鉄板焼のひとりごと考

鉄板焼をこよなく愛する全ての方々へ贈ります。

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   鉄板焼一筋で全国を渡り歩く猛者が日本にいらっしゃるかどうかわかりませんが、もしおられるなら、実はこんな人が最も

  鉄板焼を知り尽くした方ではないかと思います。

   なんとなれば、全国にある全ての条件を経験してされているからです。つまり、様々の条件の中でお客様の前(だけとは

  限らないかもしれませんが)で調理をする。鉄板のサイズ、熱源の違い、鉄板の厚さ、地方独特の食材、お客様の地域性など

  様々の条件の下で適合しなければならないのですから。

   私も一度やってみたかったですね。1年~2年くらいかけて全国の鉄板焼店での経験を積み重ねる、いいね。

   待てよ、今だったら出来るかも。

   おいおい、もともと体力の限界を感じて業界を引退したんじゃないの。ですね。

 

   そこで、自分がその猛者にはなれませんが、全国を渡り歩く鉄板焼の職人として、ドラマ仕立てでもう少し先に進んでみます。

   これから先はフィクションの世界です。

 

       人物像としては、全国の鉄板焼店を渡り歩いた猛者です。現在40才前後としておきましょう。

   全国を歩いていることもあって、独身です。ただし各地各地に彼女アリ。

   九州・福岡の生まれです。

 

    さあ、これより20年ほど前、鉄板焼きに初め関わることになったところからお話に入ることにしましょう。

    鉄板焼一筋の人生ドラマの始まりは、意外なところからの始まりでした。

    20才のころ仕事もなくブラブラしていましたが、このままじゃとの思いから、街をあてもなく歩いてました。特になんの経験もなく

   飲食街を歩いていると募集の張り紙。みると鉄板焼とありました。このころの自分は食い物にもさして興味はありませんでしたが、

   「まあ、いいか」とドアーを押しました。

 

    店の中は外からの印象より案外広く、すぐに横に長い鉄板が目に飛び込んできました。

    そしてその鉄板を若い人がゴシゴシ磨いていました。

    レジのこっちも若いお姉さんが「いらっしゃいませ」と弾む声で迎えてくれました。

    それで、つい慌てて「いや、食べるんじゃなくて外のポスターを見てきました」とドキドキです。

    言った途端、お店のみなさんが一斉にこちらを見てます。

    が、数秒間でまた元の仕事にもどります。ちょっと怖かったのを今でも覚えています。

    お姉さんの案内で鉄板のあるところの椅子をすすめてくれ、ちょこんと座って待っていると、奥から経営者らしい人が出て

   きました。そこで持参した履歴書をわたすと熱心にみていました。

    その間、やることもないので店のなかを見回してみると、入ってきた時と違い店の様子がよくわかりました。

    長い鉄板の奥のほうには、何かの料理を作っているひと、自分に近いひとは鉄板を磨いています。お店の奥のほうには

   お婆さんみたいなひとがたばこを吸っています。レジのお姉さんはハキハキした活発なひとのようです。

    経営者のようなひとは、まだ履歴書をみていますが、その時、ハッと気付いたことは「ここは一体何をするとこ?」でしたね。

    自分はここで何が出来るんだあ、でしたね。ちょっと不安になってきました。

 

 

 

 

    相変わらずの下手くそな絵ですが、お店の平面図を見てください。

    上部1/3が調理場と冷蔵・冷凍庫と料理や下げもの、棚とワインセラーにお手洗い。

    中央が長い鉄板カウンター。下部1/3がテーブル2台にテーブルの中央には保温板がついていました。

    ちょっと変わったお店のようです。

 

    この不安を解消してくれたのが経営者の方でした。「ちょっとこっちへ来いよ」と言われて鉄板のある方へ行き「この鉄板の上で

   野菜を焼いたりステーキを焼くんだよ」と教えられた。ここでやっとこの店の仕事の一端がわかり少しだけ安心しましたが、

   「ええ~、ステーキ。」俺の人生の中でステーキは余り縁のない料理で、普段はもっぱら魚だらけの人生だった。

   「ではこちら側は?」と聞くと、「こちら側にお客様がお座りになって我々の仕事を見ているんだよ」「我々は鉄板の上で調理をしたり

   目の前のお客様と一時の会話を楽しむ、そんな仕事が鉄板焼の仕事なんだよ」と言われた。

 

    いきなりいろいろの情報で頭の中が混乱していた。

    そんな中で面接が始まりました。

    飲食店は初めての経験で、どこに興味があったか、とか将来はどうするのか、とか、給料はけっして高くはないし一日は長いし

   休みは週に一日と、やる気を削ぐような話ばかりでした。

    今なら「もう少し他店(よそ)もみて考えます」なんて言えそうだし。

    でも鉄板磨いている人も何だか楽しそうだし、もうすこし年配の人もすごく鉄板に向かって何かを作っている。

    奥の方ではおばあさんみたいな人が一仕事終わっているのかタバコを吸っている。お年寄りのタバコを吸う雰囲気には

   人に安心感を与えると思いませんか。

    レジ係のお姉さんは、仕事をしている人の横にいっては何やらおしゃべりしているが、ニコニコしている。

    この店の雰囲気、悪くない。

   

    正直この店に来る前、和食の店や洋食の店にも面接に行ったが、何だか緊張感でいっぱいだった。

    やっぱり店で提供するものによって働く従業員の雰囲気も変わるのかなあ。

    でも、これはちょっとだけどよい経験になった。

 

    さて、どうするか。とこちらの悩んでいる気持ちを察したか、経営者の方が「そこに座って」と言って、店の若い人に一言二言

   何か言うと、さらに俺の方に向かって「折角来たんだから食べて行けよ。」と言ってくれました。

    そこで若い人に「面接に来た人にはみんなこうするんですか」と聞くと、「こんなこと滅多にないよ。ただ、何となく気が合ったんじゃ

   ないの。遠慮するな。」

    後日、この日のことを先輩に尋ねると、実は今この店で働いている全員が食べたらしい。

    そしてこのことは、経営者の目にかかった人だけが受けられる特権なんだそうだ。

    帰る時、はいお会計です、なんて言われるんじゃないかとドキドキしていました。

 

    サラダが出て、いかやホタテ、そして野菜、最後に鉄板焼のステーキ。生まれて初めてのご馳走だった。肉はやっぱりうまかった。

    最後にデザートまで出してくれて、胃袋は大満足。なんだか気持ちも大きくなり経営者の方に「こんなに美味しいものを出している

   お店なら、お世話になります。」と言ってしまった。

 

    実際、いまの自分の味覚ではとてもとても届くレベルではない事だけははっきりしたことで、お世話になることにしました。

 

 

  

 

    勤務先が決まったのでお店の方々の紹介をします。

 

    店名は 「鉄板焼 海月亭(くらげてい)」

    場所は 東京・新橋

    経営者は、マスターの高橋さん   43歳

           1番弟子の出雲さん   28歳

           2番弟子のさとるさん  23歳

           洗い場のとめさん    68歳

           レジ係のさゆりさん   22歳

           新人のあきらくん    21歳

 

    ここでおことわりです。あんまり画が上手ではないので、私の愛読書の「銀座 柳寿司 三代目  江戸前の旬」 

                                       原作 九十九 森さん  劇画 さとう 輝さん

                                       の画を参考にさせて頂きました。

 

 

     全てにおいて最初と言うのは最も重要だと思いませんか。

     おそらくこのあきら君の一生の味覚の多くは、この店から教わるんだろうと想像します。

     だからこそ教えてくれる先輩方にもあきら君に対しての責任が発生することになります。

     特にマスターの高橋さんの教え方や考え方が、これから鉄板焼の調理人を目指すあきら君にとっては、重要な立場の人に

    なるんですね。高橋さんの考え方は、出雲さんやさとるさんにも伝わっているだろうし、さゆりさんやとめさんの一言一言が

    あきら君の人生に影響を与えることになるんでしょうね。

     このことは店舗の規模や人数だけではないと思います。

     人との縁(えにし)も人生のなかでは大切な事でしょう。

 

     さて、この先どういった展開になるのかわかりませんが、鉄板焼の挑戦をお話ししていく上で私自身の考えを、この方々に

    代弁していただくと言う事で、

    いざ、出発しましょう。

 

         ただ、もう一言いい訳になりますが、実際どんなふうに文章にすればいいのか全くのド素人です。次の公開が何時になるのか

   わかりません。(今回の面接編も1月に始めてここまでかかりました)。

 

    でも、乞うご期待です。