ひとりじゃないさ 中 | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



高校の勉強は、ほんと全然わかんなくて。

面倒見のいい奈良君が、根気よく教えてくれたからなんとか単位は取れたけど。

「大野は5教科以外で持ってるな。」

同級生なのに先輩みたいな奈良君に言われるまでもなく。

小学校の頃からそうだった。

でも特別どうのと言うほどではなく、そこそこ。

体育だってサッカーやってるやつにサッカーで勝てるわけはなく。

音楽だって、歌はまぁまぁ褒められたけど、楽器になったらまるでダメ。

そんなもん。

5教科に至っては目も当てられない。

数学なんて特に。

母ちゃんが額買って来て飾ってくれたテストの点数は2点。

そんな俺が高校入れただけでも奇跡みたいなもん。

今は毎日、絵を描く為に学校に行ってる。

絵を描いてると無になれる。

無になって、描きたいもののことだけ考えられる。

あ、これって無って言わないか。

「大野が今描いてるやつ。」

「ん~?」

奈良君が数学を教えてくれてる時にポツリと言った。

「すっごい好きなの?」

「……そうでもないよ。」

「すっげぇキレイじゃん。」

「ふはは。」

全然わからない数学の式を書いてた鉛筆を置く。

「キレイかな。」

両手を頭の後ろで組んて、ちょっと背を逸らす。

ギーと音を立て、少し椅子の前が浮く。

「お前の中にある、キレイな部分って感じ。」

キレイな部分……。

俺の中にキレイなところなんてあったんだ。

いっつも誰かに迷惑かけてなんとかなってる俺。

褒められたのだって、絵が初めて。

それも、先生と奈良君、二人だけ。

「できあがるの楽しみにしてるよ。

 ほら、続きやっちゃえ。」

奈良君に促されて、数式の続きを書き写す。

「え……これ、0じゃないの?」

奈良君が、俺の手元の式をチラッと見る。

「あ~、それね。0じゃないよ。0/0は分子と分母が同じだから1になるんだ。」

え……0じゃない?

「小学校で0だって教えられたじゃん。」

「そうなんだけど……。」

奈良君がポリポリと頭を掻く。

「ジャンルや環境で答えは変わるんだよ。

 計算機で0÷0やってみ?」

スマホを取り出し、計算機をタップする。

0÷0……。

「エラー?0でも1でもないの?」

そうそうと言うように二度うなずいた奈良君が、俺の書いた数式を指さす。

「一つの式の答えが、0にも1にもエラーにもなる。

 全部正解。全部正しい。絵みたいに。」

0/0の答えは0だけじゃない!

思わず立ち上がったら、椅子が倒れて、ガタンとすごい音をさせた。

「ごめん、今日は終り!俺、行くとこある!」

急いでノートと教科書を鞄に詰め、教室を飛び出る。

「部活はぁ?」

「休む!」

それだけ言って廊下を走る。

すぐに、今すぐ!

先生に会いたかった。



陽が落ちるのが早い冬の夕暮れ。

まだ空に赤味は残ってるけど、もうすぐ陽が沈む。

先生はやっぱりまだ帰ってなくて。

家の前で待ってるのもなんだから、この間先生に声を掛けられた信号の所に行った。

ここから先生の家は目と鼻の先。

でも、帰りに買い物とかして、裏から帰って来たらどうしよう?

すっごく残業してたり……。

吐く息が白くて、両手を口の前に持って行って温める。

少し温まった手をポケットに突っ込んでボォーっと信号を見つめる。

赤から青に変わる。

信号待ちしてた人が動き出す。

先生が帰ってくるはずの方角に顔を向け、先生の姿を探す。

もう、空に赤味はなくなってる。

このままここで何時まで待てんだろ?

会えなかったら凍死しちゃうんじゃね?

あ~、アドレスくらい聞いておけばよかった!

信号が変わったのはこれで何度目だろ。

もう、空には星が瞬いてる。

薄暗い交差点を、見覚えのある姿が歩いて来る。

グレーのコートに青いマフラーを巻いた……先生!

声を掛ける前に、先生が俺に気付く。

「大野?」

ちょっと小首を傾げたまま近づいて来る。

「先生!」

駆け寄って、先生の顔をじっと見つめる。

びっくりした顔がやっぱり可愛い!

「どうした?」

「0/0の答え、わかった!」

先生がクシャッと笑う。

「そうか。」

先生の手が俺の肩を掴んで、俺の体が冷えてることにまた驚いた顔して。

「寒いだろ?まずは温まろ。」

俺の肩を抱えるようにして、先生は俺を部屋に連れて行った。








 

 

強引に2話で終わらせるより、のんびり3話にした~(笑)

予定通りにいかなくてごめん~。でも、区切りもいいし!