お気に召すまま - 31 - | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



「櫻井君、ちょっといい?」

大野に呼ばれたのは水曜日の昼休み。

「え~、翔ちゃんだけ~?」

雅紀がいらぬチャチャを入れる。

キッと歯を剥いて威嚇し、大野にクルッと向き直る。

俺がこうやって呼び出されるのも今週まで。

翔子にフラれたら、俺になんか話し掛けるの嫌だろうから。

普通、嫌だろ?

フラれた相手の兄弟なんて!

俺が大野の腕を掴んで教室を出ると、雅紀と潤の声が追いかけてくる。

「翔ちゃん、ほっぺたにブチュッまでならいいよ~!」

ひゃひゃひゃと笑う雅紀の声。

お前らは普通にするもんな。

俺には無理だけどなっ!

「大野、襲ってもいいぞ~!

 翔ちゃん、結構可愛くなるから!」

潤、お前に何がわかる?

本当に可愛いんだぞ、俺は!

「ごめんな。あいつらふざけすぎ。」

首を竦めて言う俺に、大野は笑って流してくれる。

「んふふ、楽しいよね~、二人とも。」

ほんと、いい奴。

あんな奴らを楽しいなんて。

戻ったらきっちり締めるから!

二人並んでピロティのいつもの所に行く。

気持ちのいい風が抜け、今日の校庭はサッカー部が独占。

「聞いてるかもしれないけど、翔子ちゃん誘ってみた。」

「ん。」

知ってる。

サッカー部の練習を眺めながらうなずく。

「頑張って自分の気持ちを……話してみる。」

あんまり頑張らなくていいよ。

なんなら告白しなくても。

「ちゃんと言わないと、自分にもけじめがつかないし。」

けじめなんてつけなきゃいいのに。

「そうか。」

でも、つけたいんだよな。

わかる。

俺だってつけたい!

つけたいけどつけたくない!

ん?でも待てよ?

けじめつけたいってことは、大野もフラれるのわかってる?

けじめつけるってそういうことじゃない?

けじめつけて、ちゃんと付き合いたいって、そういう考え方もあるか?

「櫻井君は……土曜日空いてる?」

土曜?

翔子と会う日だろ?

まさか、その場に俺を呼びたい?

俺を立会人にしたいとか?

バカか!

結婚の申し込みでもあるまいし!

どっちにしろ、絶対無理だけど。

「無理無理。二人で遊びに行くんじゃないの?」

「そうなんだけど……。」

「俺、それほどヤボじゃないし、暇じゃない。」

「そ、そうだよね……。

 できれば翔子ちゃんと会った後、櫻井君に会いたかったんだけど……。」

はぁ?

俺に翔子とのこと報告するつもり?

上手く行ったら「お兄さん、よろしくお願いします!」

ダメだったら「櫻井く~んっ!」て泣き着くつもり!?

勘弁!

確実に、泣きたいのは俺の方なんだから!

「じゃ、次の日なら……いい?」

次の日……日曜?

そんなに俺に会いたい?

翔子にフラれた大野に会う……。

何か複雑。

複雑すぎて……やっぱ無理。

「ごめん、日曜も……。」

「……そっか。」

大野が寂しそうに笑うから、悪いことしたような気になってくる。

「あ、いや……午後少しなら……。」

「うん、少しでもいい。」

大野の顔が明るくなって、複雑な胸の中がギュッとなる。

ふにゃっと笑った大野の顔。

やっぱ好きなんだよなぁ。

好きの気持ちは、閉じ込めようとしても閉じ込められない。

きっと大野も同じなんだよな。

翔子への気持ち。

好きで好きで、俺みたいに寝る前に考えちゃったり、

ちょっとぼぉっとすると、顔が浮かんできちゃったり。

これが翔子じゃなかったら、頑張って応援してあげるのかなぁ、俺。

翔子が俺じゃなかったら、こんな気持ちにもならなかったのかなぁ。

買ってもらったスピーカーが日曜日に届く。

俺、どんな気持ちで聞くんだろ。

セッティングする気に、なれる気がしない。

「じゃ、櫻井君、日曜日に。」

「あ、ああ。」

俺がぼぉっとしてる間に、大野が日曜日の約束を決めてくれて。

日曜3時に原宿のキオスクで待ち合わせ。

この間と一緒。

はぁ……。

早く土曜日になって欲しいような、なって欲しくないような。

そもそも俺、ちゃんと大野に断れんのか?

あの顔見て、「ごめんなさい」って言えるのか!?

あ~、考えるとどんどん気が滅入って来る。

「櫻井君、戻らないの?」

「あ、ごめんごめん、戻る。」

大野の前に少し出て歩き出すと、安心したように大野も後をついて来る。

「具合悪い?」

大野が俺の顔を覗き込んでくる。

「え、あ、そんなことないよ。

 ちょっと寝不足なんだよ。」

笑ってごまかしたけど、大野の顔は変わらない。

「保健室、付き合うよ?」

「あ、本当に大丈夫だから。」

そう言いながら、つま先が引っかかってつんのめる。

うわっ、これじゃ本当に具合悪いみたいじゃないか!

もう片足で踏ん張る前に大野の腕が延びてくる。

ガシッと腰を捕まえる大野の腕。

細いのに意外としっかりした大野の腕が、グッと俺を抱きとめる。

「ほら、やっぱり具合悪いんじゃないの?」

大野の顔がすぐ隣にあって、カァッと顔が熱くなる。

「マジ、本当に大丈夫っ!」

慌てて顔を隠して、大野の腕を払う。

こんなタイミングで王子様オーラ出すなよっ!

「俺、先行く!」

振り返らずに教室まで走る。

大野が心配そうに俺を見てるのが、背中でわかる。

教室に戻った俺は、雅紀の前で怒鳴る。

「もう、あんなこと二度と言うんじゃねぇぞ。」

「あんなことって?」

「ほっぺにブチュッとか、襲ってもとか!」

「はぁ?そんなのいつものことじゃん。」

潤が雅紀の隣に並ぶ。

「いつもすんなって言ってんの!」

「何一人でイラついてんだよ。」

「潤君、やめなって!」

雅紀が間に入って来る。

「イラついてなんかねぇよ!」

ドスッと席に着き、二人に背を向ける。

わかってる。八つ当たりだって。

そんなことしたってイライラは募るばかりだってことも。