Believe -14- | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



「兄さんの為なら何でもする。兄さんの命(めい)だから……、

 ガンディアを守って、離れて暮らすことも受け入れた。」

両手の指を組んで肘を付く。

細くて長い綺麗な指。

何もしたことのない……女のような指。

「その兄さんの寵愛を一身に受けてるって聞いて……。

 なのに、あんなに切なくピアノを弾いて……。」

「寵愛って……。」

僕はガンディア公の指を見ながら考える。

僕の夜の仕事が、みんなに勘違いさせてることは知っていた。

でも、みんな口に出しては言わない。

あいつは聖職者だから。

男同士は……認められない。

ガンディア公も勘違いしてる?

僕とあいつが愛し合っていて、でも、結ばれることはないって悲観してると思った?

あのピアノからそういう切なさを読み取ったってこと……?

「あのピアノはね、僕と被ったんだよ。

 どんなに憧れても僕は兄さんにはなれない。

 どんなに大事に想っても、兄さんへの気持ちを伝えることもできない……。」

ガンディア公……。

「でも君は僕よりはまし。一緒にいられる。

 寵愛を貰うこともできる……。

 だから、少し意地悪したくなった。」

ガンディア公が、組んだ両手に顎を乗せて笑う。

「僕と兄さんの間に入ることはできないって……見せつけたかったのかな。」

誰よりも優しくて、誠実なはずのガンディア公。

その心の中にも……嫉妬が顔を覗かせる?

ばかな。

そんな必要、全然ないのに。

「僕は……。」

しゃべろうとした僕を遮るようにガンディア公が手を翳す。

「兄さんは僕と母上の為に、父上の側で暮らすことを選んだ。

 僕たちが平和に暮らせるように……。」

ガンディア公は、ふっと天井を見上げる。

「誰よりも優しくて情に厚い。優しいから、全てを自分で背負おうとする。

 背負って、足が地に埋まっても立ち続ける……。」

ガンディア公の顔から笑顔が消える。

「今度は僕も背負わせてもらおうと思ってる。」

「ガンディア公……。」

「だから、僕の分も……兄さんを支えてあげて欲しい……。」

ガンディア公はグラスを手にすると、ワインを一気に飲み干す。

「兄さんは不器用だから……。」

ニコッと笑うガンディア公は、口を拭いてフルーツを摘まむ。

「僕にそんな話……。」

正直、僕は戸惑っていた。

あいつは憎い敵で、冷酷無比で人を殺めることに何のためらいもなくて……。

そう思っていたのに、ガンディア公の語るあいつは……。

「兄さんが君を大事にしてるのがわかったから……。

 悔しいけど。」

ガンディア公はもう一つ、赤いフルーツを口に入れる。

「そんなことない!あいつは……僕の敵だ。」

「ふふふ。そうなんだ?兄さんが憎い?」

「憎い。」

「憎くて憎くてたまらない?」

「もちろん……。」

もちろんだ。憎くて憎くてたまらない相手……それがあいつだ。

それがあいつのはずだ!

ガンディア公が微かに笑う。

「僕は……あなたから見たら、まだまだ子供に見えるはずなのに、

 どうしてこんな話を?」

ガンディア公は、ん?と眉を上げる。

「子供も大人も関係ないよ。誰も、自分の気持ちに嘘は付けない。

 どんなにごまかしても、自分が自分を裏切ることもできない。

 それは大人も子供も変わりない。

 大人だから好きになる、子供だから好きになるってわけじゃないしね?」

ガンディア公が紫色のフルーツを摘まもうとすると、

食堂の扉が開いてあいつが戻ってきた。

「マサキ!どういうことだ!」

あいつの顔が険しい。

何があった?

「どういうことって?」

ガンディア公はあいつの顔を見ずに、フルーツを口の中で転がす。

「スフォルツァと結婚だと!?」

あいつはガンディア公の隣に立つと、バンッとテーブルを叩く。

「もう耳に届いたの?兄さんは耳が早いな。」

「わかっているのか?これは結婚という名の……。」

「人質ってことでしょ?わかってるよ。」

ガンディア公は、まるで誰かの噂話でもするような、軽い口調で答える。

「だったらなぜ承諾した!」

「兄さん、僕は兄さんみたいに戦うことはできない。

 だったら、この身を使うしかないじゃない?」

「そんな必要はない。お前はガンディアを守っていればいいんだ!」

「兄さんを犠牲にして?」

ガンディア公が強い眼差しであいつを見つめる。

「犠牲だなんて……思ったこともない。」

「僕も、兄さんを助けたいんだ。僕にできることは……このくらいしかない。」

「マサキ!」

「もう決めたことだから。」

ガンディア公は口を丁寧に拭いて立ち上がると、あいつの後ろを通って扉に向かう。

「待て!まだ話は終わってない!」

あいつが背中に向かって叫ぶ。

「無駄だよ。何を言っても、もう変えられない。」

ガンディア公は両手で扉を広げ、優雅な仕草で部屋を出て行く。

「マサキ……。」

あいつは項垂れて、ガンディア公が座っていた椅子にドカッと体を落とす。

テーブルに肘を付き、組んだ両手を顎に当て、苦しそうに目を閉じる。

僕は黙ってあいつを見つめる。

さっき、ガンディア公がしていたのと同じポーズのあいつを。